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2009年10月22日08:39

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【バレエ】ニューユーク・シティ・バレエ(A/B/Cプロ) その1


8日から12日まで、オーチャード・ホールで行なわれていた、
NYCB公演の師匠感想をお届けします。(^^)

なお順番がB→C→Aとなっているのは、
師匠は11日にBとC、12日にAをご覧になったからです。

       *     *     *

★Bプロ

「コンチェルト DSCH」
音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
振付:アレクセイ・ラトマンスキー
ピアノ:シェルトン

物語バレエじゃないから、
私は説明する言葉を持ち合わせていないけど、楽しかった。
動きは基本がバレエ的でキレイに見える振付ばかりだよ。

*3行目は、
「キリアンやベジャールの振付にはヘンなポーズがあるから苦手」
と公言するぱろに対してのものです。f(^^;)

東バのバヤ祭の後だけに、幕が開いた時に骨格が違うなぁ、
男女ともがっしりしていて大きいなぁと感じた。
群舞の回転が、笑っちゃうくらいバランバランだった箇所があって、
これも影の王国を見た後では、ちょっと衝撃的に新鮮だった。(^^;)
元々揃うことを求めて観に来てないけど。

圧倒的に良かったのが、やっぱりホアキン・デ・ルースさん。
同じ振付をゴンザロ・ガルシアさんと踊ることが多いのだけど、
よりしなやかで音楽的。「音と遊ぶ」ことが出来ていたのは、
この人だけだったかも。次々にこれでもかと踊らせるから、
他のダンサーは余裕が無いし、次第にバテてくるのもわかるけど、
そういう振付でも、しなやかにキッチリ踊りながら、
音楽と戯れてくれると、観ている方は嬉しくなる。(^^)

ガルシアさんは途中の連続回転で回転軸が傾いでいくのに、
最後は真っ直ぐに戻してよろけない、という不思議なことを繰り返してた。
不安定だけど決めるところは決める人なのか、
中村祥子さんのように限界に挑んでいるのか。
デ・ルースさんと比べなければ、踊れる良いダンサーなんだと思う。

フライヤー写真でもプログラムの表紙にも使われているのは、
この作品でウェンディ・ウィーランさんが着ていた衣装。
アダージオがキレイだった。
相手を務める男性ダンサーも美しかったのだけど、
プリンシパルではなくソリストだった。今後、伸びるかな?

タイトルのDSCHは、ショスタコーヴィチのドイツ式短縮形で、
4つの音を示しているんだって。


「バーバー・ヴァイオリン・コンチェルト」
音楽:サミュエル・バーバー
振付:ピーター・マーティンス
ヴァイオリン:カート・ニッカネン

クラシック・バレエとモダン・バレエのカップルが各1組。
4人とも白い衣装で、
女性の膝丈シフォンドレスは似ているけど、モダンの方は裸足。
男性はクラシックはブラウス有り、モダンは上半身裸で裸足。

第1楽章はクラシックとモダンのそれぞれの組で踊り、
第2楽章ではモダンの男性とクラシックの女性が踊る。
途中で女性がシニヨンをほどいて金髪をなびかせて踊る。
モダンの影響を受けて自由になっていく感じ。
第3楽章はモダンの女性とクラシックの男性が踊る。
モダンの女性がアレグロで、クラシックの男性に猛烈アタック。
脚をばたつかせたりして、苦悩しているお兄さんに、
お転婆な妹が「遊んで〜! かまって〜!」と、
駄々をこねてるみたいに見える。(^o^)
面白いけど美しい動きではないから、好みは別れるかな。

音楽はきれいだけど、映画音楽っぽく聴こえることもあった。
悪くはないけど、もっと滑らかに踊るダンサーで観たら、
印象が異なったかも。


「タランテラ」
音楽:ルイス・モロー・ゴットシャルク
振付:ジョージ・バランシン
ピアノ:ナンシー・マクディル

こんなに小気味良くタンバリンを使ったタランテラ、観たことがあったかな?
絶妙なタイミングで、シンバルより大きな音を響かせて踊る、
ダニエル・ウルブリクトさんは踊りも申し分ない。
小柄ながらキレの良い大きな踊りで、ワクワクさせるダンサー。
客席の反応がおとなしいのが不思議なくらい。

ソリストのタイラー・ベックさんも相当頑張っていて、良かったと思う。
今後が楽しみなダンサーだけど、
今回は美味しい所はウルブリクトさんが持って行っちゃったかな〜。
最後の拍手は盛り上がって、幕前の挨拶が3回あった。


「チャイコフスキー・ピアノ・コンチェルト第2番」
音楽:ピョートル・チャイコフスキー
振付:ジョージ・バランシン
ピアノ:キャメロン・グラント

毎回違うピアニストに、ちょっとびっくり。
「バレエ・インペリアル」と言われた方が、しっくりくる。

この作品では、何と言ってもアシュレイ・ボーダーさん!
彼女の踊りが素晴らしい。しなやかで滑らかで、
アクセントも効かせたメリハリある明るい踊りに引き込まれた。

ソリストのテレス・レイクレンさんも、
手脚の長いプロポーションの良いきれいなダンサーで、
美しい踊りをしていたけれど、 若干上半身の動き、背中の使い方が硬め。
その為か、きれいな腕使いのはずなのに、
腕だけ振り回しているように見えた箇所があった。

ジョナサン・スタフォードさんもエレガントな踊りをするダンサーだけど、
押し出しが弱め。マールイの男性ダンサーみたい。
(プハチョフさんとかシャドルーヒンさんとか)

群舞に、パドブレの場面で他の人が4〜5歩の所を、
2歩ぐらいでガツガツ行く人がいて驚いた。大雑把すぎないか?(^^;)
同じ人か分からないけれど、何か脚使いが省エネ的な人がいて、
怪我でもしてるのかと思った。

縮こまった踊りではないけど伸びやかでもない、
省エネダンサーもチラホラ見受けられた。
あまり揃ってないのは言うまでもなく、
4人で列になって移動するはずが列になってないとか、
それでいいの? みたいな場面が何箇所も。
チマチマ踊りみたいにつまらなくはないんだけど。

男性群舞は結構頑張ってたかも。
出番少ないけど、8人並んでアントルシャも皆こなしてたし。

でも、やっぱり音と戯れてたのは、ボーダーさんだけかな。
ひとりでもこういうダンサーがいると、作品が輝くね。

ボーダーさんが踊ったエトワールも含めて、女性は膝丈シフォンドレス。
群舞はベージュからのグラデーションで、
シャーベットオレンジまたはシャーベットピンクへの2組。
レイクレンさんはアイスグレー。
その両脇のダンサーはアイスグレーからラベンダーのグラデーション。

ボーダーさんはベージュなんだけど、パッと見が群舞と一緒に見える。
グラデーションなしでティアラを乗せてるけど。
ミルクホワイトじゃダメだったのかなぁ。
男性は皆ホワイトだったと思うけど、かぶってもいいんじゃないかな。

小品の群舞付きって、ガラでもなかなか観られないから、
NYCBは作品目当てで観てる。

東バや新国が踊るNYCB作品とは明らかに違うんだけど、
ハンブルクやシュツットガルト、デンマーク・ロイヤルみたいな、
本家ならではの凄みというのが、今回も感じられなかった。
上手い所が踊ってくれれば、本家でなくてもいいなという感じ。
何でかな〜。

*同感です。ユウ姉さんは、もっと手厳しかったですよ。(^m^)

たっぷり観た〜という感じでもないし、お値段高めに感じる。
全幕ものみたいに美術の輸送コストもあまりかからなさそうだし。
何で席種も3種類で、ほとんどS席なんだろう。
直前までチケットを売ってたわりには席は埋まってたけど、
いつものバレエ客とは違う雰囲気だった。
シティバンク関係で埋めたのかな?


★Cプロ

「ワルプルギスの夜」(グノーの「ファウスト」より)〈日本初演〉
音楽:シャルル・フランソワ・グノー
振付:ジョージ・バランシン

男性ダンサーはチャールズ・アスケガードさん一人のみ。
後は群舞を含め全員女性。彼女たちは皆膝丈のシフォンドレスにシニヨン。
特筆される特徴的な振付がどれなのか、わからなかった。
後半曲調が変わると、皆シニヨンをほどいたダウンスタイルで、
長い髪をなびかせ踊るのが印象的だった。
より自由に本能的に、という感じで躍動感があったよ。

マールイの抜粋版を見慣れてしまうと、
こんなにおとなしい「ワルプルギス」もあるのかと思った。
個人的には、マールイのが面白くて楽しくて好きだな。(^^)
ちゃんと「ファウスト」を観たことがない人間が言っても、
全然説得力ないけど。(^^;)


「タランテラ」

ダンサーの怪我のため、
予定されていた「アフター・ザ・レイン」(PDD)から変更。

どちらのダンサーが怪我をしたのかは、プリントにもアナウンスにも無かった。
主催者に聞けば教えてくれたのかもしれないけど、
ブロガーさんあたりが誰かアップしてくれないかな。
バレエ・インサイト込みで。(←他人頼みの無責任発言)

日本初演の作品は楽しみだっただけに残念だけど、
マチネで良かった2人をもう一度観られるのは嬉しい。

ソワレの観客はリピーターなのか、それとも関係者が多いのか、
反応が良く登場時にも拍手があった。

そのせいもあってか、2人ともマチネよりノリが良い感じ。
タイラー・ペックさんの脚は可動範囲が広いというか、
脚先でなくキチンと股関節からバシバシ動かして決めているのが小気味良い。

ダニエル・ウルブリクトさんのノリノリな表情、
滞空時間の長い高い跳躍、キレの良い回転は、
ベックさんの小気味良さを更に上回ったパフォーマンスで客席を盛り上げる。

片手にタンバリンを持ち、両腕を繰り返し大きく回す動きが綺麗。
早いスピードで何度腕を回しても、ブレずに同じ軌道を描く。
「振り回す」という言葉の欠片もない見事な動き。
回転や跳躍より印象に残った。


「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」〈日本初演〉
音楽:フレデリック・ショパン
振付:ジェローム・ロビンズ
ピアノ:スーザン・ウォルターズ

男女各5人が、入れ替わり立ち替わりショパンの18曲で1時間近く踊る。
明確な物語があるわけではないけれど、人間模様や人生が感じられる。

必ずしも同じ色彩の衣装を着た男女が組んで踊るわけではなく、
この色とこの色を組ませちゃう? という組み合わせにしたり、
1組のみ、複数組、男性数人だけ、女性数人、ソロなど、
曲ごとに様々に変化していく。

見応えがあって、ずっと観ていたいほどだった。
というのも、身体で歌うことの出来るダンサーが多数いたからだと思う。
音に乗る乗らないではなく、物語バレエで身体が台詞を語るように、
ピアノに合わせて歌っているような、とても軽やかで心地良い踊り。

特に好みだったのが、女性では藤色衣装のジェニファー・リンガーさん。
この人が本当に歌うように音楽と戯れるダンサーだった。
次いで、アプリコットのミーガン・フェアチャイルドさん。

フェアチャイルドさんは、
マチネの「バーバー・ヴァイオリン・コンチェルト」では
それほど良いと思っていなかったので、
我ながら素人の目なんてアテにならないなと感じた。f(^^;)

グリーンのサラ・マーンズさんもフェアチャイルドさんと同様、
こちらの方がずっと良かった。

ここまで先入観無しに観てきて、
良いなと思う人は確認するとプリンシパル、
良いけれど何処かまだ甘い所が見受けられる人はソリストだったりと、
階級差が明確なバレエ団という印象を持ち始めていたところ、
プリンシパルに混じっていたブルーのキャスリン・モーガンさんが、
コール・ド・バレエなのに驚いた。
確かに、踊る場面はいちばん少なかったけれど、
並んで踊っていても特に劣るような印象は受けなかった。
次回の来日時が楽しみ。

男性では、パープルのジャード・アングルさんがエレガントで、特に好み。
ブルーのジョナサン・スタフォードさんもきれいだった。
ブラウンのベンジャミン・ミルピエさんは爪先がキレイ。
レンガ色のアントニオ・カルメナさんは甘い雰囲気と爽やかさが良い感じ。
グリーンのアマール・ラマザールさんは明るさとバネのある筋肉が魅力的だった。

この作品も女性は膝丈シフォンドレス。
タランテラ以外、シフォンドレスばかり見てる気がするな。

*ししょお、もしかしてこっそりメモとってませんかぁ。(^O^)
それにしても、凄い記憶力と識別力です。(^^)


「シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメント」
音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー
振付:ジョージ・バランシン

幕が開くと、ウエストに細いベルト付の白いレオタードにポニーテールの女性達が、
下手側手前から上手側奥へと斜めに一列に並んでいる。
近くにいた男性客が思わず「おおっ!」と声をあげてた。(^o^)
確かにシフォンドレスより身体のラインが出る衣装だし、
バレエダンサーにしては皆しっかりした体格で、
華奢ではない分、肉感的でグラマラス。
しかもポニーテール好きな男性っているらしいから、
ツボにハマったのかな?(^o^)

途中からピンクや黒のレオタードも加わる。
シフォンドレスじゃない衣装だ。新鮮。(^^)

男性はぴったりとした白いカットソーに、
タイツ素材のようにぴったりした黒のロングパンツ。
皆、体格がいいなぁ。胸筋と二の腕が逞しい。
華奢ではない女性ダンサーを危なげなくリフトしているんだから、当たり前か。

躍動感のある振付とストラヴィンスキーの音楽が、
どことなく春の祭典を思わせる。
キッチリ揃ってないから、というのもあるかも。
キレイに揃えてしまうと、ハルサイとは違って見えるのかな?

Bプロより見応えがあった気がするのは、
「ダンシズ・アット・ア・ギャザリング」が良かったからかなぁ。
でも高いよねぇ。先に書いたとおり、席は3種しかないし、
席割り観たらS席が多いんだよね。
B席なんてほんの少し。Kバレエか! (^o^;)

照明が凝ってるとかピアニスト5人とか拘りはあるにしても、
BプロもCプロもセット無いし。
衣装は綺麗だし、素材もシルクなんだろうけど、
凝った手仕事の装飾は少ないし。
高いチケット代の理由は何だろう?
シティバンクがスポンサーについてるのに。
円安の時に契約した公演とかなの?
違うんだろうなぁ…。(uu;)

(つづく)
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