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2009年08月26日08:34

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【バレエ】世界バレエフェス「ガラ」(その2)


師匠情報によると、マールイ夏ガラに参加していた
サンクト・ペテルブルグ高等音楽院付きバレエ団には、
一部プロのダンサーが加入しているようです。

ガイジンが日本人の年齢はわから〜ん!
と言うように、私もロシア人の歳はよくわかりませんが、(^o^)
舞台を眺めていて、なんとなく学生にしては老けてる?
ように思える人が何人かいました。やはりそうだったのかぁ。

日本のお教室バレエと異なり、
あちらのバレエ学校は職業訓練校的な意味合いが強いでしょうから、
経験値アップとPRを兼ねて積極的に学外公演を行っているのでしょう。

ただし学生たちだけでは力量不足なので、
客引き兼実演してくれる講師として、
プロのダンサーと契約しているのでしょうね。
さしずめ「のだめ」のライジング・スター・オケ? (^o^)

       *     *     *

【第3部】

★「ラ・シルフィード」(振付:オーギュスト・ブルノンヴィル)
 ナターリヤ・オシポワ
 レオニード・サラファーノフ

1月公演のプロモーションかな?

サラファーノフくんはキルトの衣装が似合ってて、制服姿の少年みたい。
ブルノンヴィルかどうかは置いといて、跳躍が高くて滞空時間が長いので、
脚捌きに余裕がある。足音もしないし、なかなか見事。

オシポワちゃんは、衣装とキャラが似合うか微妙なところなんだけど、
踊りに優雅さが出てきたので、軽さと跳躍の高さと合間って、
なかなか捕まえられないすばしっこい妖精。
蝶を捕まえる名人っぽくて、すごく素早い。かろうじて潰してはなさそうだけど。
二人それぞれは健闘していて、アイコンタクトもしっかりしているのに、
ラブラブ感が全然なく、子犬が転げ回ってじゃれて遊んでるみたい。

シルフィードの絶命が全然想像がつかない。
ヴェールを絡めている途中でハッと気付き、
振りほどいて「何すんのよ!!」と突き返す。
ジェームスが説明すると、怒りに燃えたシルフィードがマッジを攻撃。
エフィはガーンと結婚してしまうけど、
ジェームスはシルフィードと一緒に森で暮らしました、めでたし!みたいな。


★「アルミードの館」よりシャムの踊り(振付:ジョン・ノイマイヤー)
 ティアゴ・ボァディン

ブシェさんの美しさの影に隠れてしまい、
今ひとつ存在感が薄いかなとか言って、ボァディンくんゴメンナサイ。
どことなく危険な魅力をはらんだ笑顔が生き生きしていて、とても素敵だった。
雰囲気は「バフチサライの泉」みたいな、オリエンタル調。
衣装もメイクも似合ってて、ボァディンくんの新たな魅力を発揮。
タランダさんにも似合いそうだなぁ。全然別のキャラになるけど。


★「マクベス」(振付:ウラジーミル・ワシーリエフ)
 スヴェトラーナ・ザハロワ
 アンドレイ・ウヴァーロフ

前髪を下ろしてマッシュルームカットのウヴァーロフさん。
オレンジ色のマントにベージュ系の衣装だったと思う。
ザハロワさんは、前が短く後ろが長い赤いドレス。額に細いバンド飾り。
照明や衣装やメイクの雰囲気から、ソ連時代の作品? という感じがする。
同じようなマクベスの暗い雰囲気でも、他のヨーロッパ諸国の美術と
違うんだよね。観ている途中でグリゴローヴィチ版かと勘違いした。

マクベスの苦悩は伝わってきたけど、
何しろザハロワさんの美脚に視線がとらわれがちで、
うっとり見惚れているうちに終わったという感じ。
スパルタクスのエギナが想像つかなかったけど、
ザハロワさんの悪女って結構魅力的かも。観てみたいなぁ。
5月の「カルメン」が今ひとつだったのは、何故だろう?
(レポ送ってないよね。ごめん…)


★「ロミオとジュリエット」より寝室のPDD(振付:ケネス・マクミラン)
 シオマラ・レイエス
 ホセ・カレーニョ

新国のゲストで「ロミジュリ」を観た時よりも、ずっと幼い感じのジュリエット。
ロミオに、行ってはイヤだと泣きじゃくり、すがりつく。
ロミオの追放が頭でも感情でも納得できていないのかな。

ロミオは極めてノーブルで冷静。
ジュリエットを起こさないように寝台を抜け出し感慨深そうに朝日を見て、
街を出て行く決心をする。ジュリエットに泣きつかれても、
「仕方がないんだよ。わかっておくれ。必ず戻って来て会えるから。」と諭す。
…ロミオ、おまえが言うなというくらい。
こんなに賢く冷静沈着なロミオだったら、悲劇は起きなかっただろうなぁ。

質の高い踊りだったのに、
兄を慕い泣きじゃくる妹と、妹を宥める頼もしい兄に見えてしまって、
ロミジュリの世界には入れなかった。
好きなダンサーで質の高い舞台だと思うのに、
こういう現象って時々おこるんだよねぇ。
自分でも何故だか理由がわからない。


★「じゃじゃ馬馴らし」(振付:ジョン・クランコ)
 マリア・アイシュヴァルト
 フィリップ・バランキエヴィッチ

本当に「オネーギン」を踊ってた二人? というくらい、
真逆のキャラがハマっている。二人とも役者だなぁ。
エレガントさの欠片も無いような、
大らかだけどガサツで野性的なペトルーキオ。
首を少し突き出し気味にノシノシ歩く、ガラの悪いカタリーナ。

以前のフェスで、フェリさんと踊るのを観た時もおもしろかったけど、
今回も思わず笑ってしまう。
抱き寄せれば嫌がり、リフトすれば暴れる。
ちょっといい雰囲気になったかと思うと、元通り。

大きなバランキエヴィッチさんを小さいアイシュヴァルトさんが投げ飛ばし、
イテテ…と起き上がるバランキエヴィッチさんに、
アイシュヴァルトさんがファイティングポーズ。
そのタイミングと表情が絶妙。

多額の持参金目当てとはいえ、そんな扱いをされても気にせず、
結婚しようぜ〜とアプローチするところが、なんともおかしい。
最終的にはハッピーエンドにおさまる楽しいPDD。
次の来日公演で上演しないかな。

「おしとやかでない口が達者で生意気なオンナ=じゃじゃ馬を飼い慣らす」
というテーマ自体は、個人的には好きじゃないのだけどね。
書かれた時代が時代だから仕方ないけど、
妹の結婚式に未婚の姉が出席する場合は裸足で踊る辱めを受けるとか、
子供を産まない女は猿に導かれて地獄落ちの罰を受けるとか、
ペトルーキオがカタリーナを「調教」するのも、
眠らせない食べさせないとか、何それ? って感じ。

もっとも、
調教するのに暴力を振るわないペトルーキオは当時にしては珍しく、
見張ってる本人も一緒に辛い思いをしてるから、
同時代の他の「じゃじゃ馬馴らし的調教文学」よりはシェークスピアに近く、
まだマシなのかも。そのへん、現代風にアレンジしているのかな?
それともまだまだそんな考えの人もいるから、問題なしなのかな〜。


【第4部】

★「パリの炎」(振付:ワシリー・ワイノーネン)
 ヤーナ・サレンコ
 ズデネク・コンヴァリーナ

あのコチェトコワ&シムキン組と同演目って、
何の罰ゲームかと気の毒に思っていたのだけど…
失礼しました、という感じだった。二人とも気合い入ってた。
大体、超絶技巧を繰り出さずに普通の振付で踊っていたって、
バレエって十分スゴいことをやってるんだよね。

コンヴァリーナさんはパワフル系ではなく、正統派で勝負。
さすが自分の持ち味と見せ方を理解してる。
サレンコさんはA、Bプロより更に気合いが入り、
バランスや角度を変えたフェッテなどをキッチリみせた。

二人のプロ根性に、観客からも大きな拍手。
予想よりはるかに良いパフォーマンスだった。


★「三人姉妹」(振付:ケネス・マクミラン)
 マリアネラ・ヌニェス
 ティアゴ・ソアレス

ソアレスさんの演技力を活かせる、
今回のガラで一番似合った演目だったのかも。
ヌニェスさんはA、Bプロとは異なり、
キラキラした押し出しは抑え目にしっとりした雰囲気。
それでも、何となく悲劇性が感じられなくて、入り込めずに眺めてしまった。
いろいろ名演があるから難しいな。


★「ザ・ピクチャー・オブ」(振付:パトリック・ド・バナ)
 マニュエル・ルグリ

のびのびと自分の体をコントロールして踊るルグリさんは、
いつまでも観ていたいほど。定年って何だろう。
若い人の為にポジションを空ける以外には意味無いと思う。

今回のフェスで、コンテンポラリー系作品は
無音で始まるものが多いなと改めて感じたのだけど、
この作品も最初は無音。そこから音楽にいたるまでに「音」が入る。

この音、本当は鯨の鳴き声なんだけど、
ドアの軋む音というかブレーキを踏んだ音に聞こえてしまい、
どうにも耳障りで仕方がなかった。いつまで続くのかと、ウンザリ。
振付自体はもう一度観たい作品だけど、
もれなくあの音がついてくるのかと思うと躊躇するなぁ。


★「ロミオとジュリエット」(振付:アンジュラン・プレルジョカージュ)
 オレリー・デュポン
 ローラン・イレール

赤いミニドレスで舞台中央に横たわるジュリエット。
死者に赤って珍しいと思ったら、これが仮死状態にするツールだったみたい。
(プレルジョカージュ版は未見)
そこへ穴のあいたタンクトップに作業服っぽいパンツスタイルの
ロミオが駆け込んでくる。

目の前のジュリエットの姿が信じられずに、
荒々しくジュリエットの体を引きずり、動かし、様々な体勢で目覚めるか試す。
破れかぶれに赤いドレスを剥ぎ取り、
白のトップスとショートパンツ姿のジュリエットの上で、
自らのポケットから出したナイフで自害。

やがて仮死状態のツールがはぎ取られたジュリエットが目を覚ます。
こちらも荒々しくロミオの体を動かす。動物のように口で手をくわえて、
腕を自分の首に巻き付けようとしたのは、
ロミオだったかジュリエットだったか、二人ともだったか、記憶が曖昧。

ロミオの体を椅子に座らせ、
その膝上に向かって助走をつけて体当たりを繰り返す。
生前のロミオならば、ガッシリと受け止めてくれたんだろう。
落ちているナイフに気が付き、
ロミオの膝の上で手首に刃を当てるジュリエットがぐったりしたところで、幕。

荒々しさは感情の激しさ、愛情の深さの表現と頭では理解したつもりでも、
死者に対する冒涜とまでは言わないけれど、
ちょっと生理的に受け付けられなかった。

脱力している人間を相手に、
体勢を変えたりリフトするのは大変だなと感心はしたけれども、
一度引いてしまったので感動はできなかった。

プレルジョカージュは苦手だったっけ? とも考えたけど、
最近葬儀に出たりした自分のメンタリティに拠るものという気がする。
時間が経っていたら、遺体を用いた表現に対する感覚も異なっていたかも。


★「春の声」(振付:フレデリック・アシュトン)
 アリーナ・コジョカル
 ヨハン・コボー

前回も観たと思うけど、コボーさんにリフトされながら、
花びら(紙吹雪?)を撒き散らすコジョカルさんが、
春の妖精のように可憐で愛らしい。
二人とも調子が良さそうで、脚捌きも動きも軽やか。
幸せいっぱいで、観ている方も思わず頬が緩む。

以前は自分の芸術表現を真面目に、
でもどこかマイペースに探求という感じも受けたコジョカルさん。
今回はA、Bプロ、ガラも含めてパートナーシップがしっかりしていて、
コボーさんが一方通行になってしまうことがなかった。
PDDはかくあるべし、の見本のような、
こうじゃなきゃ二人で踊る意味が無いよね、みたいなラブラブっぷり。
シェスタコワ&シャドルーヒン組の「ライモンダ」に通じるものがあった。


★「ドン・キホーテ」(振付:マリウス・プティパ)
 上野 水香
 デヴィッド・マッカテリ

かなりゆったりとしたテンポで、ワルツのように華やかにアレンジした曲調。

*師匠から補足が届きました。
 ランチベリー編曲のヌレエフ版だそうです。
 先日放映された、ルグリさんの市販映像と同じですね。 

赤い上着に金の縁どりの白バジルに対し、
赤いレースアップのボディにグラデーションで白になっていくチュチュの腰に、
大きなコサージュ付きのキトリ。東バの衣装でも観たことがないから、
フェス用の華やかな音楽にあわせて新調したのかな?

この二人でオシポワ&サラファーノフ組のノリノリパフォーマンスに対抗するのも、
ザハロワ&ウヴァーロフ組の格調高いプティパに対抗するのも無謀なので、
うまく考えたなと思った。
リフトもダイブも無いのでアクロバティックな盛り上がりには欠けるものの、
優雅にアレンジされた音楽には無くても不自然ではないし、
ハラハラしないですむからね。

バジルのヴァリエーションは多少重いのが残念だけど、
改めてスタイルが良いダンサーだと思った。
シュピレフスキーくんよりは踊りは良いけど、もったいない。

パートナーシップも、即席ではルグリ&デュポン・ペアに敵うはずもなく、
踊りの流れや端々の美しさは比べようもない。
でも上野さんはデュポンさんより踊りに重さが無いし、
ブレのないバランスも上野さんの方が良い。

上野さんは音感が今ひとつなのか、音楽に乗る感じがしないのだけど、
改めてバランスが強いと思った。ポーズを決めたまま微動だにしない。
秒数は数えていないけど、かなり長いバランスだった。
他の人ならもっと早くに拍手が起こっていたのに、
なかなか起きないからキープし続けてやっと拍手、みたいな感じ。

そのキープしている間、ぐらつかないのはスゴい。
コジョカルさんやロホさんもキープは長かったし、
上野さんよりも長かったのかもしれないけど、
ここまで不動ではなかったように思う。
ぐらつきながらの長〜いバランスよりも、
微動だにしないうちに終わらせる適度に長い方が見た目は良い。

フェッテでも扇を開閉したりと技を入れていたけど、拍手は少なめ。
何でこんなにアウェイなんだ。
ホームは祭典演目に入らない東バ公演だけなのか…。

以前から祭典演目の東バ公演は、ゲスト以外には冷たいなと思っていたけど、
上野さんの日はバレエ少女やアキバ系男子(男子というよりオッサンか…)、
東バファンもいるので比じゃないアウェイ感。

マールイ冬公演にゲスト参加したクテポワさんみたいだ。
でも、彼女の場合は「よその国」であって、本国でじゃないものね。
気持ちの凹みようが違うだろうな。
それにマールイ公演には「バレエ初めてです」みたいな人も多いし、
そういう人にはクテポワさんは「キレイなバレリーナ」だから、
疎外感はもっとヒドい感じ。

ただ、正直なところ、
バランスやフェッテで冷める観客の気持ちも理解できなくは無い。
彼女の意地もあってのアピールだとは思うのだけど、
「無理しなくていいよ〜。それより基本をきちんと丁寧に見せようよ。
この状態でいくら頑張っても小手先の技にしか見えなくて、叩かれちゃよ…。」
と、ハラハラしながら見ていたのも事実だから。
テクニックに感心していたわけではないんだよね。

拍手も義理的で少なめ、盛り上がらないトリになってしまい、
ダンサーにも観客に対しても疑問が残るプログラムだった。

*仄聞する限り、上野さんの扱いに関しては失敗でしたね。
 せめて古典よりはまだ得意なベジャールものを持ってくるなり、
 どうしても自前のダンサーを目立つ順番で躍らせたいのなら、
 第4部のアタマくらいで手を打つべきだったように思います。
 
 現在、ササチューさんの著書を読んでいますが、
 言ってることとやってることが違うじゃないか、という感じ。
 もし本人のプロデュースだとしたら、残念ですが、
 引くべき時が来たようです...。
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