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2009年08月11日14:21

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【音楽】Weiss: L`Infidèle@Eduardo Egüez

MAレコーディングスの春の新譜から、シルヴィウス・レオポルト・ヴァイスのリュート作品集。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3544113

ヴァイス:
・組曲「異邦人」(ロンドン手稿譜、Add. 30387)
 (アントレ/クーラント/サラバンド/メヌエット/ミュゼット/イザンヌ)
・組曲ヘ長調(ドレスデン手稿譜、Mus.2841-V-I)
・ロジー伯爵の墓(ロンドン手稿譜、add. 30387)
・組曲ニ短調(ドレスデン手稿譜、Mus.2841-V-I)

エドゥアルド・エグエス(バロック・リュート)

ヴァイスはバロック期のドイツの高名なリュート奏者で、600曲ほどの作品を書いたとされるが、その殆どは散逸しており現在において完全な原形を留める物はごく少数だそうだ。ヴァイスはバッハと同時代を生きていて親交があり、互いにそれぞれの音楽作品に影響を及ぼし合ったという研究結果もあるそうだ(VnとCemのための組曲 BWV1025はヴァイスの旋律からの借用だという説)。

L`Infidèle(異邦人=異教徒?)とはトルコ人のことを意味しているのだそうで、これは、1680年代にウィーンを占拠していた帝政トルコ軍の敗退、ウィーン解放を喜んで書かれた作品ではないかという見方だ。バロック期の作品というよりヘレニズム風やルネサンス調に感じられる部分、また中東イスラム的な和声も感じられたりして、これはヴァイスがクロス・カルチャ志向を持っていた事に由来するのかも知れない。

組曲へ長調は大規模なソナタ的な組曲でシークェンス(同型反復)が印象的な作品だ。全体に明るく奔放で自由な旋律が飛び交う。最終楽章としているプレストは聴き手に専念しても分かるほどの超絶技巧が駆使されており演奏は極めて困難だろうが、この奏者=エグエスは難なく弾き進む。

ロジー伯爵の墓は一転して陰鬱で重い曲だ。ロジーとはヨハン・アントン・フォン・ロジムタール伯爵(1650-1721)の事だそうで(どんな人かは知らないが・・)、この人物がヴァイスに与えた音楽的影響は大きいらしく、その死を悼むヴァイスが書いた最高の葬送曲だったのだろう。全体に仄暗い進行だが旋律も和声もしっとりと美しい。

全体を通して聴いていてバロック期の音楽とは到底思われないようなはっとするような新鮮で格式張らない抑揚感が感じられる作品達だ。古典派やロマン派時代に比べれば仕掛けは多くはなく、シンプルで分かり易い和声で聴きやすい。色彩感はちょっと違うが、ダウランドや若き日のクープランに通じるものがあるかも知れない。

(録音評)
MA Recordingsレーベル、MA078A、通常CD。録音時期はちょっと古く、2005年6月、場所はサン・ベルナルディーノ・デ・シエナ教会(ピエモンテ、イタリア)、録音エンジニアはタッド・ガーフィンクルとある。例によって音質に拘ったMAレコーディングスの典型的な録音だ。B&Kカプセルを用いて自作されたオリジナルのDC電源マイクを2本だけ使ったワンポイント録音、dCS904 A/Dコンバータ、Fostex FR-2メモリ・レコーダー、Pyramix編集システムを経ての制作はMAの十八番だ。

音質は悪くはない。ワンポイントという割には定位ははっきりとはしないが鮮明でリアルなリュートは捉えられている。トラックごとに微妙に音質は異なる。後半の方が澄明でクリアな音場表現である。


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