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2009年03月02日10:31

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【音楽】Mozart: Requiem@Karl Böhm/VPO

今日は古い盤で、休日に納戸から探し出して聴いていたもの。ネット仲間のRさんからモツレクの推薦盤はどれか? という問い合わせをちょうど一月前に頂いていて、その時に不朽の名演ならこれだろう、とご紹介申し上げたもの。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/139834

・モーツァルト:レクィエム ニ短調 K.626

 エディット・マティス(S)
 ユリア・ハマリ(Ms)
 ヴィエスワフ・オフマン(T)
 カール・リッダーブッシュ(Bs)

 ハンス・ハーゼルベック(Org)

 ウィーン国立歌劇場合唱連盟
 ノルベルト・バラッチュ(合唱指揮)

 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 カール・ベーム(指揮)

モーツァルトのレクイエムはヴェルディ、フォーレの作品と共に3大レクイエムと称されている。この曲はモーツァルトが最晩年に着手した未完の曲であり、彼自身の手で完成させていたのは現在残る14曲のうちの2曲にしか過ぎない。残りの曲はモーツァルトが残していたとされるスケッチの断片などから弟子たちが補筆、いや作風を模して完成させたものだ。従って純粋なモーツァルト作品に分類するのはどうかと思うのだが世の中的には大いに認められている大作だ。しかし、レクイエムや第10交響曲の呪いという話しが興味本位で語られるが、この作品もやはり例に漏れずモーツァルト最後の作品となったわけだ。

モーツァルトは若い頃よく聴いたが長大で陰鬱なこのレクイエムは余り得意ではなかった。大学に入り東京に出て来て暫く経った頃、確か1980年だと記憶しているが、カール・ベームがVPOと来日した時にN響を客演してモツレクをやったのだ。どういう経緯だったかは忘れたがNHKホールのこのコンサートのチケットが回ってきて聴きに行った。

足もともおぼつかないベーム翁が介助されながら袖から出て来た時、万雷の拍手が鳴りやまずなかなか演奏に入れない。指揮台に上り腕をゆっくり上げた瞬間、ホールは水を打ったように静まりかえった。腕の振りは小さく、そして元々小さかった身振りも更に小さく、というか静止しているだけのように見えるその後姿だったが視線だけは鋭く行き渡っており、指揮台を頻繁に窺うN響楽団員の真剣で必死な眼差しが印象的だった。結果的にこれが最後の来日となったベーム翁が最晩年に見せた枯れたモツレクは素晴らしかった。

ということがあってその後はモツレクを何枚か買ってよく聴いていた時期があった。そして、その中でいまだに名演だと思うのがこれだった。プチプチと言うスクラッチノイズに埋もれがちのポリドール国内プレス盤を磨り減るほど聴いたものだ。

改めてこの古い録音を聴いてみるとN響の演奏が脳裏に蘇る。独唱はこんなに美声でじょうずではなかったが心の籠もったとても哀しい演奏だった。そしてVPOのこれもまたゆっくりと哀しい演奏である。

(録音評)
DG、4135532、録音は1971年4月、楽友協会大ホールでのセッション録音で、当然のことながらADDだ。プロデューサー:ヴォルフガング・ローゼ、エンジニア:ギュンター・ヘルマンスとある。最近では高音質盤(SHM-CD)と銘打った高価な盤 http://www.hmv.co.jp/product/detail/2622713 も出ているが、手元のこれは古い盤だ。DGらしいというか、笑ってしまうほどポリドールらしい音である。音質はゴージャスで今聴いても繊細かつブリリアントな録音。ちょっと低域が膨らんでいるのはテープ録音の典型的な特徴だ。ノイズ処理をしたのか、dbxを使った録音だったのかは良く分からないがヒスノイズが殆ど聴き取れないくらいだ。

これをLPレコードで聴いていた時代はトーンアームのインサイド・フォースやラテラルバランス、カートリッジのスタイラスの調子などに気を配り、大変な思いをしながら聴いていたものだが今は盤をトレイに載せてボタンをポンと押すだけ。隔世の感がある。

(あとがき)
今朝は久し振りに太陽が顔をのぞかせた。空気は澄んでおり自宅前から冠雪した富士山がくっきりと見えた。しかし、この天気も長続きせず明日は早速雪なのだそうだ。どうなっているのだか・・。

古い盤を聴くのも良いものだ。こうして一枚一枚ストックから取り出しては眺めているとそれぞれに思い入れや思い出があったことを想起する。ここのところ主に新譜をウォッチしてきていて、高音質録音というのは枚挙にいとまがないのだが、不朽の名演奏となるとこれはなかなかそうは行かない。さりとて過去の名指揮者といわれる人たちの○○枚組・遺産全集を買ってきて聴こうという気も起きないのである。


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