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2009年02月18日10:12

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【音楽】Medtner: Tales & Poems@Ivanilova,Savenko,Berezovsky

MIRAREの新譜から、珍しいメトネルの歌曲集。ピアノはお馴染みのボリス・ベレゾフスキー。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2790530

・3つのロマンス Op.3〜第2曲『のぞみの日々も流れ去り』(プーシキン)��
・4つのおとぎ話 Op.34〜第2曲ホ短調
・プーシキンの7つの詩 Op.29〜第4曲『馬』��
・3つのおとぎ話 Op.42〜第1曲ヘ短調
・8つの詩 Op.24〜『なぜ水の上に柳は垂れる』(チュッチェフ)��
・プーシキンの詩による7つの歌 Op.52〜第2曲『カラス』��
・フェート、ブリューソフ、チュッチェフによる7つの詩 Op.28〜第5曲『春の静けさ』(ウーラント/チュッチェフ)��
・2つのおとぎ話 Op.14〜ヘ短調『オフィーリアの歌』
・2つのおとぎ話 Op.14〜ホ短調『騎士の行進』
・4つのおとぎ話 Op.35〜第4曲ニ短調
・2つのおとぎ話 Op.48〜第2曲ト短調『妖精のおとぎ話』
・ゲーテの詩による9つの歌 Op.6〜第3曲『妖精の歌』��
・ハイネの3つの詩 Op.12〜第1曲『いとしい恋人、君の手を』��
・ゲーテの詩による9つの歌 Op.6〜第5曲『可愛い子供よ』��
・8つの詩 Op.24〜第1曲『昼と夜』(チュッチェフ)��
・3つのロマンス Op.3〜第1曲『聖なる僧院の門の傍らに』(レールモントフ)��
・8つの詩 Op.24〜第4曲『夕暮』(チュッチェフ)��
・8つの詩 Op.24〜第7曲『ささやき、微かな吐息』(フェート)��
・プーシキンの6つの詩 Op.36〜第2曲『花』��
・チュッチェフとフェートによる5つの詩 Op.37〜第4曲ヘ短調��
・4つのおとぎ話 Op.26〜第2曲変ホ長調
・チュッチェフとフェートによる5つの詩Op.37〜第1曲『眠れずに』(チュッチェフ)��
・プーシキンの7つの詩 Op.29〜第7曲『呪文』��
・2つの詩 Op.13〜第1曲『冬の夕べ』(プーシキン)��
・2つのおとぎ話 Op.20〜第2曲ロ短調『鐘』

 ボリス・ベレゾフスキー(ピアノ)
 イヤナ・イヴァニロヴァ(ソプラノ)��
 ヴァシリー・サヴェンコ(バリトン)��

 録音:2007年12月(デジタル)

プロコフィエフが自分よりも優れた天才的ピアニストと称し、ラフマニノフは自らを超える作曲家だと称えたメトネル(1880-1951)は長い間、世間からは無視されて来た。ロシア革命が起き、そして戦争に巻き込まれ、といった理由で彼は1920年代にはベルリンへ、そして1930年代にはパリへと移住して順応することを余儀なくされ、このときの苦渋の体験こそがメトネルの音楽への現代性を育む二つの温床となったと見られる。メトネルは結局どちらにも馴染むことが出来ずイギリスに渡り、終生をそこで過ごすこととなった。

高名な詩人・作家の書いた詩にメトネルが曲を付けたもの、及び無言の(=ピアノだけの)お伽話と題された曲をミルフィーユ状に交互に配置したアルバム。歌曲はバリトンとソプラノで交互に歌われ、二人で歌う合唱パートはない。尚、言語はロシア語とドイツ語が入り交じる。このアルバムに含まれる曲はどれもが沈鬱で仄暗い心象を湛えていて、例えばメジューエワが弾くメトネルのピアノ作品 http://musicarena.exblog.jp/7467836 のような強い色彩感や高度で複雑な和声展開は見られない。

歌詞の英訳を読みながら聴いていくと、曲想はまさにドイツとロシア、そして諧謔性が少し感じられるフランスの薫りが入り交じったものであり、メトネルがロシア革命以降に強いられた複数文化の影響を色濃く感じ取ることが出来る。中には短く明るい曲もあるが、やはり根底に横たわる暗い絶望感や暗澹たる苦悩と言った精神世界へと引っ張られていくのだ。

独唱者はいずれもオペラなどで活躍する一線級の人たちで、とても柔らかだが浸透性のある歌い方、そしてベレゾフスキーの深く沈んだピアノの弾き方が印象に残る。この曲集は聴き手にもある種の感情移入を求める面があり、漫然と聞き流すならただただ暗い歌たちが並んでいるだけのつまらないアルバムだろう。ロシアのショパンと言われるメトネルという人の別の一面を垣間見た気がする。

(録音評)
MIRARE、MIR059、通常CD。録音は少々前で2007年12月、Studio Flagey, Bruxelles(ブリュッセル)とある。ライナーには小さく「Prise de son et montage: Erdo Groot - Polyhymnia」と書かれており、収録と編集はあちこちで活躍する録音ファームであるポリヒムニア・インターナショナルが担当したことを示す。音質は曲想と同じで仄暗い。しかしスタジオ録音とは思われないほど自然なアンビエントと澄明な音場空間が入っておりなかなか秀逸な仕上がり。いつもの高解像度MIRAREとは違う傾向の音であるが、これはこれで良い出来映えだ。

※本日は午後外出→帰宅が遅いので明日は音楽日記はお休み(今週はこれでおしまい)。
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