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2008年12月14日09:39

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【バレエ】ボリショイ「明るい小川」(10日)

話が前後してしまいましたが、
見所満載、目玉が5セットは欲しくなる演目でした。(^^)
あ〜あ、DVD、出ないかなぁ。

...でも、ボリショイでないと、ダメだからねっ!(^m^)

       *     *     *

10日の主役「4人」は、
ジーナがゴリャチョーワさん。
「白鳥」で王子の友人を踊っていた人です。
ピョートルはワシーリエフ君。なんと今回が初役!
バレリーナはオシポワちゃん。
そしてバレエ・ダンサーは前日に続きフィーリンさん。

前日のクリサノワさんが清楚な若奥様という感じだったのに対し、
ゴリャーチェワさんは丸顔で小柄なせいか、
農夫の奥さんという雰囲気が自然でした。(^^)

ワシーリエフ君、さすがにまだこなれていないのと、
「ドンQ」楽日の感想に記したように、
どこか調子も悪かったのかもしれません。

あと、彼もメルクリさんも、
真面目で浮気などしそうもないですね。(^o^)
ピョートルという人物は、もうちょっといい加減というか、
お調子者なんじゃないかなぁ。誰がイメージかというと...
フランツをやってる時の熊さん? (^O^)

衣裳は、みんな見た目農村の普段着なので、
男性はちょっと踊りにくそうです。
特にワシリーエフ君、パンツがきつそう。(^^;)

バレリーナ役のオシポワちゃんとアレクサンドロワさん、
タイプはまったく違うのに、二人とも甲乙付けがたし、でした。
というのも、アレクサンドロワさん、演技も上手で、
ウィットに富み、お洒落で可愛らしい感じなのですが、風格もあるので、
団のプリンシパルがなんでこんな田舎に? という趣になります。
ジーナ役のクリサノワさんとも同期には見えないし。
先輩と後輩の関係で、クリサノワさん、パシリでもさせられてそう。(^O^)

ジーナとバレリーナ、2人が一緒に踊る場面では、
ジーナが上手く踊れば踊るほど、
プリンシパルと元バレエ学校生が同じ力量というのには、
作劇上の無理を感じます。
...コミック・バレエに理屈を求めちゃダメ?(^^;)

そういう意味では、
10日の2人はまさに学校時代の友だちという感じで、
それもつい1,2年前に卒業したばかり、
だからジーナはまだちゃんと踊れるし、
バレリーナは団の下っ端だから地方巡業に駆り出されている、
と設定に無理がありません。(^^)

それにしても、オシポワちゃん、表現力も豊かなんですね〜。(^^)
楽しげに溌剌と演じている様子は演目にマッチしていました。
かと思えば1幕2場、
農場の男たちの踊りに飛び入りする場面があるのですが、
そのときのグラン・ジュテの勢いと高さといったら、
長身の男性ダンサー顔負け!(^O^)

もっとも、踊りの丁寧さ、大きさという点では、
やはりまだまだアレクサンドロワさんの方が上で、演出的にも
田舎の農夫の奥さんと洗練された街のバレエ団のプリンシパル、
という対比を明確に出したいというのであれば、
9日の組み合わせの方がイメージには合っていました。
甲乙付けがたしというのは、そういうわけです。(^^)


1幕1場は登場人物たちの顔見せが主なので、
踊りに関してはほとんど見せ場はありませんが、
再会を喜ぶバレリーナが、ジーナに「どのくらい覚えてる?」
と水を向け、主役2人が同じ振り付けで踊る場面は必見です。
学校時代を思い出しつつ、いろいろなパを次々と繰り出すのですが、
さりげなく難易度の高いステップも織り込まれています。

2場の前半は、時刻は夕方、慰問団の歓迎会。
主要人物たちのヴァリエーションやジーナと友だちの踊り、
農夫/農婦たちの群舞と続きます。
この作品はフィナーレがあっさりしているので、
ここがディベルティスマンの山場になります。

別荘住人の初老夫婦のPDDは、まさにギャグの王道。
ロパレーヴィチさん(ドン・キホーテ)とヴィノクールさん、
ここだけでなく、最後まで笑いをとってました。(^O^)

かと思えば、ジーナと農場の友だちの踊りは、
力量あるダンサーを揃えた7人の群舞(?)なので、
見ごたえ十分。(^^)

この場面で、ゴリャチョーワさん、途中で脚を滑らせてしまいましたが、
自分のパートの終盤というタイミングにも助けられて、
笑顔で袖の待機ポジションに入ると、隣の初老夫婦に、
失敗しちゃった、てへっと肩をすくめます。
婦人もすかさず、いいのいいの、良かったわよ、と返します。
その様子があまりにも自然なので、
最初から予定されていた演出に見えたほどです。
さすがだな〜。(^^)

2場の後半は、河岸を変えて一杯やろう、と群舞は撤収し、
「お仕置きチーム」が発足されるまでのくだりとなります。
このとき、バレリーナがアイディアを出し、
かばんからバレエ・ダンサーのハンチング帽と、
自分のチュチュを出すのですが、
観るのは2度目という人たちから、くすくす笑いが漏れます。
みんな、2幕のシーンを思い出し笑いしてるのだろうな。(^O^)

作戦立案の前、バレリーナに促されて、
ジーナがみんなにフェッテを披露しますが、
それを見た仲間が腰を抜かすという、ベタなギャグがあります。
このテの笑いが苦手な人もいるでしょうが、
喜怒哀楽同様、笑いを取る演技も、
ダンサーに役者としての力がないと、面白くないんですよね。
その点、ここのダンサーたちは皆上手なんだよな〜。(^^)


2幕1場は、林に囲まれた公園の広場。
もろもろのやりとりの後、最初の見せ場は、
アコーディオン奏者と女学生ガーリャのデート・エピソード。
奏者の下心を心配するガーリャを、
トラクター運転手が犬に扮して守るという筋書きですが、
この被り物、ロイヤルのデザイナーが見たら目を白黒させそうな代物で、
デパートの屋上で風船でも配ってそうな気ぐるみ。(^O^)
どう見ても、人を騙せそうにありません。(^^;)

それでもアコーディオン奏者、吼えられると、
しっかり慌てふためいてくれます。(^O^)
ひとしきりコミカルなやりとりの後、彼も仲間に。

初日の配役は、
“ガマーシュ”サーヴィンさんと、“QP”スタシケーヴィチさん。
サーヴィンさんは、ちょっと憂いはあるものの、粋を気取るキザ男。
物腰も柔らかく、ガーリャへのアプローチも似合っています。
ただ、周囲のアクが強いので、印象が少々薄くなりがちでした。

ガーリャの衣裳は、鮮やかな緑色のミニスカワンピですが、
スタシケーヴィチさん、その長い脚を存分に魅せてくれます。(^o^)
演技もコミカルでかわいらしく、ちょっと都会の女の子風ですが、
オーチャード・ホールへ向かう途中で見かけるコたちよりも
スレてなさそう。(^O^)

10日の配役はプチョールキナさんと岩田さん。
ガーリャは、プチョールキナさんの方が、
田舎の女の子的でイメージには合っています。
大きな目をくるくるさせる彼女もまた表情豊かな芸達者。(^^)

そして岩田さん。(^^)
番組の中でラトマンスキーさんが、
「いままでにない解釈」と言っていた意味が、良くわかりました。(^O^)
戦隊モノ5人衆の黒の人、というよりは、
オレよー、昔さー、族やってたんだよなー、
みたいなノリで、プチョールキナさんも怯え気味。
西洋風のサーヴィンさんに対し、東洋風というよりは、
どうみても日本人。ロシア人にどこまで通じてるのかな。(^O^)

濃い人々との対比を考えると、彼のアプローチは効果的で、
ディズニー・チックに犬から逃げる姿には、会場大爆笑。(^O^)

最後、犬が自転車に乗ってやってくると、
サーヴィンさんは始めむすっとしてましたが、
岩田さんは最初から膝を叩いて大笑い。
キレの良い踊りと熱演に、
会場から大きな拍手をもらっていました。(^^)

一同が引き上げると、
代わって上手から自転車に乗った別荘住人(男)登場。
ライフルと弾帯を肩にかけ、腰にはウイスキー・ケトル。
...あ、中身はウォッカか。(^o^)
オケピに落ちそうになるお約束のあと、(^O^)
自転車をベンチに立てかけて、一度退場。

入れ替わり老婦人登場。
キトリのような赤い派手な衣裳が観客の笑いを誘います。
最初はニコニコですが、ダンナの自転車を発見して、
不機嫌そうに退場します。これ、その後の伏線なんですね。

再び別荘住人(男)登場。上手袖で待ち遠しそうにしていると、
背後をロマンチック・チュチュ姿のフィーリンさんが、
上手から下手へと駆け抜けていきます。
会場、大爆笑。(^O^)

これが3度繰り返されたあと、
バレエ・ファンなら抱腹絶倒の爆笑デートが始まります。(^O^)
9日の日記には「ラシル」のパロディと記しましたが、
「ジゼル」も混ざっているようですね。(^^)

ひとしきり踊ったフィーリンさん、
どっかと床に腰をおろし、指をチョイチョイ、酒よこせ、の仕草。
一口飲もうとした瞬間、自分が両脚を開いた状態なのに気付き、
片脚を後方に伸ばし半身に体勢を変え、
乙女ポーズでぐいっ! ぷはーっ!
個人的には、この場面がいちばん気に入ってます。(^O^)

ほどなく老婦人が再び登場、自分のことは棚に上げ、
ダンナの浮気をなじります。そそくさと退散するダンナ。
と、そこへ自転車犬が舞台を横切り、老婦人、卒倒。
一緒にやってきていた男装のオシポワちゃん、
フィーリンさんに促されて婦人を介抱しますが、
最初は頬を張ります。

アレクサンドロワさんは、優しくPashi Pashi でしたが、
オシポワちゃんは容赦なく Bashi Bashi !
けれど老婦人、ひるむどころか扇子を突き出し、
「これで優しく起こして」
もう、会場の笑いが途絶えません。(^O^)

男装姿は、実に男前なアレクサンドロワさんに対し、
オシポワちゃん、こんな感じの男の子、ほんとにいそうです。(^o^)
その後太った老婦人をもてあます様子は、
小柄な彼女の方が、バランスがいいですが、
大胆に突き放すアレクサンドロワさんもカッコイイ。(^O^)

舞台上の人物がいれかわり、
ジーナとピョートルのデート場面に。
バレリーナの衣裳を着て、目だけ隠す仮面を付けたジーナと、
満面に笑みをたたえたピョートルのPDDとヴァリエーション。

最初は楽しんでいるジーナですが、
奥さんとしては、この状況が面白いわけがありません。
次第に腹を立て、最後は怒りもあらわに帰ってしまいます。
なにがなんだかわからず、呆然と立ち尽くすピョートル。

クリサノワさんは、途中から怒りはじめ、
ピョートルの持ってきた花を投げ捨てたあと踏みにじってましたが、
ゴリャチョーワさんは寂しげに投げ捨て、怒るのは最後でした。

周囲の演技の濃さを考えると、
メルクリさん、ワシーリエフ君とも、もっとはじけても良かったかな。
ここは狂喜乱舞の踊りで、うわついた男心を表現してほしいところ。(^O^)

9日は、この茶番劇にどういうオチが付くのだろう、と思っていると、
男装バレリーナが、「オレの彼女に手をだすとは許せん!」
と、決闘を申し込みます。仲間がバレリーナに銃を手渡すと、
別荘住人(男)も、うろたえながらもライフルをいじりだします。
すると仲間がバケツを叩き、ライフルの暴発を装います。

タイミングをあわせて昏倒、床に大の字になるフィーリンさん。
ときおり痙攣までする芸の細かさ。(^O^)
パニック状態の老夫婦にバレリーナが畳み掛けますが、
頃合を見て種明かし。(^^)
仕掛け人チームの勝利の踊りで、1場終了。

2幕2場は、収穫祭当日。
後幕が開く前に、群舞のダンサーたちが、
超巨大な瓜やとうがらし、かぼちゃ、じゃがいも、
梨や葡萄を担いで舞台を横切ります。(^^)

幕が開き、
仮面を付けた慰問団バレリーナ「2人」の踊り。
あっけにとられるピョートル。

2人の見事なヴァリに続き、ジーナのフェッテ。
回り終えると同時に仮面を投げ捨て、
ピョートルを見て、にや〜り。(^O^)

すべてを悟り、ひざまずいて許しを乞うピョートル。
一度は拒絶するも、最後は抱き合って大団円。
短い群舞のあと、全員が舞台中央に集まり、
観客席に向かってバイバイ、幕。(^^)

       *     *     *

...ちょっと記憶のアヤシイところもありますが、
だいたい、こんな感じです。(^^)

音楽も、これがあの暗い、重い、寒いショスタコ?
というくらい明るく能天気で、舞台にぴったり。(^^)
時折、プロコフィエフチックなフレーズや、
あ、やっぱりショスタコだ的旋律も。
なるほどクラファンがわざわざバレエ公演に
足を運ぶ気持ち、わかります。(^O^)

フィーリンさんに、
すっかり喰われてしまった男性主役2人に比べ、
(もちろん、2人とも悪くなんかなかったですよ!(^^))
女性陣は新たな魅力発見の演目でした。

またオシポワちゃんの身体能力の凄さも再認識。
2幕1場後半、酔っ払いが夢にでも見そうな倒錯PDDでは、
あのフィーリンさんが彼女のペースに遅れ気味。(^^;)

そしてアレクサンドロワさんとフィーリンさんの
パートナーシップも特筆ものでした。
「息のあった2人」とは、こういうことを言うのですね。(^^)
9日のカテコでは、2人の並ぶ姿に一抹の寂しさを覚えました。

初心者が観ても面白い演目ですが、
バレエファンなら、なおさら楽しめる作品です。

       *     *     *

初日の感想のレスでも触れましたが、
ぴ〜さんが1幕2場途中までの映像を発見してくれました。
ぴ〜さん、ありがとう!!(^^)/

http://t-portal.ru/load/24-1-0-622

ジーナ(ピョートルの妻)  インナ・ペトロワ
ピョートル(農業技師)  ユーリー・クレフツォフ
クラシック・ダンサー  マリーヤ・アレクサンドロワ
クラシック・ダンサー  セルゲイ・フィーリン
アコーディオン奏者  ゲンナジー・ヤーニン
ダーチャの老人  アンドレイ・メラニン
ダーチャの老人の妻  リュボーフ・フィッリロワ
ガヴリールィチ  ヴラジーミル・モイセーエフ
ガーリャ  クセーニヤ・プチェールキナ
搾乳婦  アナスターシヤ・ヤーツェンコ
トラクター運転手  アレクサンドル・ヴォイチューク
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