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2008年12月07日11:48

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【バレエ】ボリショイ「白鳥の湖」(6日マチネ/ソワレ)

拍手のしすぎで腕が筋肉痛です。(^^;)
私の観たかったバレエって、これなんだなぁ、と実感。(*^^*)

       *     *     *

当初の予定ではソワレのみでしたが、
マリボリガラのルンキナさんが良かったので、
急遽マチネも買い足した結果、
「白鳥」6時間、待機3時間の強行軍となった次第。
それだけ時間があれば、成田からロンドンへ行けるなぁ。(^^;)
でも、終わってみれば、またまたあっと言う間でした。
ルンキナさん、お母さんになっても踊ってね。(^^)
(あれ? 2人目だったかな?)

しかし、昨日は何が驚いたかというと、
マチネとソワレの出来の差です。

まずマチネですが、
クラリネットが倍速で演奏を始めたらヤだなぁ、と思っていたら、
(師匠も同じことを考えていたそうです。(^o^;))
大丈夫でした。指揮者も登場してから一呼吸置き、
その後の演奏はむしろゆっくり目です。それもかなり。

逆に、ここはもう少し速くてもいいんじゃない?
というところが多々あるほど全般的にゆっくりで、
ダメだ〜、この指揮者とは合わないや、とその時は思いました。
オケもいまひとつ安定せず、あちこちトチってたし。
ダンサーたちも、調子がいまひとつなのか、
それともオケとリズムがあわず踊りにくいのか、
1幕は「ドンQ」と比べると精彩に欠けます。
...それでも見応え聴き応えはあるんですけどね。(^^;)

と ・ こ ・ ろ ・ が。

ほかに指揮者はいないのかな〜、
と思いつつ、夜の座席に着くと、
最初のフレーズからしてリズムは耳に馴染み、
演奏も見違えるようでした!
それに応えるように、ダンサーの動きもいいし。(^^)

昼間のアレは、なんだったんだ〜。(^^;)
そういえば、マールイもマチネよりソワレの方がいいし。
昼公演のこと、彼らはウォーミングアップとでも、
思っているのでしょうか。(^o^;)

       *     *     *

ルンキナさんの代役は、アントニーチェワさん。
パンフのプロフィールによると、91年卒業/入団とありますから、
30代半ば? メイクの影響かもしれませんが、
外国人にしては実年齢よりも若く見えます。

でも、舞台はベテランらしく綺麗に「仕上げて」いました。
オデットでも感情の起伏がはっきりわかり、踊りも丁寧です。
まさに「白鳥」のお手本のようでした。
ただ、優等生ではあるけれど、いわゆる「85点」の人。
これはグダーノフ王子にも言えることなので、
観終えた後の印象も、素晴らしいけれど、
もう一味、なにかが欲しく思えました。

そのグダーノフさん、間のつなぎ方が上手くなり、
踊りも柔らかく丁寧になっていました。(^^)
雰囲気はちょっとオジさんしてるので、
成人式を迎えてのお妃選びというよりは、
もういいかげん歳なんだから、さっさと結婚しなさい!
とお母さんに尻を叩かれている王子かな。(^^;)

その分人間性がこなれているのか、(^o^)
花嫁候補たちには丁寧に応対し、
(夜の部のシュピさんはそっけないです。)
オデットとの絡みでは、熱い想いも伝わってきました。
それだけに、ラストがせつないです。

ロットバルトはバラーノフさん。
ここの版では別名「悪の天才」と呼ばれ、
フクロウの化け物してません。
どちらかといえば、天才というよりは変質者かな。(^^;)

1幕の王子を操るような仕草の男性同士のPDDも、
グダーノフさんとの息も合っていて、
妖しげな雰囲気を醸し出していました。
それにしても、ここのロットバルトは何が目的なんだろう。
普通の版では、テリトリーに侵入してきた王子にお仕置き!
と取れますが、ここのはロットバルトからやって来ますからねぇ。

道化はロパーティンさん。
ボリショイの道化なので、筋肉質のころころした人を想像していたら、
スリムな道化でした。(^O^)
仕草がちょっとお姉系ですが、ジャンプや回転のキレも良く、
盛んに拍手をもらっていました。(^^)
「あれほど優雅な前転をする人は珍しい」とは師匠の弁。(^o^)

グリゴロ版の特徴の一つが、
キャラクター・ダンスと王女の踊りの融合です。
ハンガリーやロシア、スペインの踊りの中央を踊る人を
王女たちに置き換え、まずそれぞれの民族舞踊を
お后様にプレゼンし、その後王子とお手合わせするというもの。

これは良いアイディアですよね。(^^)
新国もルースカヤだけ特別扱いして、
「誰? あの人」と言われるようなまぬけなことしてないで、
このくらいやればいいのに。

       *     *     *

のんびり遅めのお昼を食べてから会場に戻ると、
開場時間が早まっていました。席には付けないのですが、
ホワイエには入れます。いつもそうしてくれるといいのに。

       *     *     *

さて!

夜の部は、アレクサンドロワさんの、大白鳥と、
いつから猛禽類になったのかという黒い鳥のバード・ウォッチング。
しかもオペラ・グラスなしの距離だったので、迫力は3倍増!(^O^)

清楚でガラス細工のようなオデットが好きな方には
ちょっと苦手かもしれない、体温を感じる白鳥でした。
相手はハンサムなシュピさんですから、
なにもそこまで嫌がらなくてもいいのに、
というくらい最初は避けてましたが、
例の見つめあう場面では一転、
「あら! 良く見れば良い男! アタシ好みだわ!」
というセリフが聞こえたような気が...。(^o^;)

白の踊りは大きく丁寧、威厳に満ち、
黒ではそこに迫力が加わります。
でも、昼間のアントニーチェワさんが終始上から目線の
オディールだったのに対し、彼女は時折、媚びるような、
上目遣いも織り込んだりと、ここでも情感たっぷりの演技。
32回転の見せ場では、最後にちょっと失敗してしまい、
照れたような笑顔がまたキュート。(^o^)

王子はシュピレフスキーさん。
甘いマスクに逆三の体躯、長い脚と、ほんと絵になります。
腕や脚の使い方もやわらかく丁寧で、
そういう意味では、けして下手ではなく、
他のバレエ団でなら、十分センターの大役を果たせる人です。

でも、ここでは踊りの質がひとり浮いてしまうのと、
技術的にも高くないというのが、一番の問題でしょう。
主役が男性群舞に見劣りしてしまうというのはねぇ...。(^^;)
ゆったりした踊りは、大きく優雅というよりも、
他の人が20センチ跳ぶところを10センチにして
滞空時間と移動距離を稼いでいるだけなので、
もっさり重たく見えます。
また周囲がシャキシャキテキパキ踊っている場面でも、
のた〜、もた〜と踊る統一感の欠如。

そしていちばん致命的なのは、演技が大根。
表現がすべてステレオタイプで、感情が伝わってこないのです。
眉間に皺を寄せた人形オデットが相手ならともかく、
アレクサンドロワさんのような情熱的なダンサーが相方の時は、
せっかくの感情表現が空回りしてしまいます。

また演技ではないですが、サポートも上手くはありません。
ただ、サポート直後のポージングが綺麗なので、
そこで誤魔化されてしまうのでしょう。

タデ食う虫も好き好き、彼のもろもろの欠点を了解した上で、
だけどあの風貌が好きだから、他はすべて許す!
というのなら、他人が口を挟むことではありませんが、
「上手いよ」と言うのだけは、やめてほしいなぁ。(^^;)

ロットバルトはドミトリチェンコさん。
彼もどこが具合が悪いらしく、息があがっていました。
踊りはきちんとしてましたけどね。さすがプロ。

そのほかのキャストは概ね昼間と同じで、発表後の変更は、
マチネでは王子の友人のひとりが
クリサノワさんからゴリャーチェワさんに、
ソワレではスペインの王女が
ナターリャ・オシポワさんからメシコーワさんに代わりました。
いまのところ、降板する人は少ないようです。
出演を取り止めた人も、大事ではないと良いのですが。

       *     *     *

ここから先は若干のネタばれがあります。
7日昼現在(マチネの最中ですね。(^^))、
まだ東京でも夜公演、大阪でも1公演「白鳥」があるので、
これから観る! という方は、ご注意を。


舞台中央の巨大垂れ幕や、とげとげ杯にいたるまで、
基本はDVDと同じですが、
まず1幕2場のオデット登場場面に若干の変更が。
オデットは白鳥群舞の後で登場するのではなく、
すでに白鳥群舞たちとともに垂れ幕の背後にいます。
...だもんで、拍手のタイミングがありません。(^^;)

2幕1場、オディールの場面では、
PDD中のオデットの幻影がないのは同じですが、
王子がおや? なんかヘンかも? という仕草をすると、
ロットバルトがすっと立ち位置を変えて、
オディールに指示を出します。

ただしソワレでは、シュピさんがその仕草を強調せず、
加えてロットが大仰に吃驚して移動したため、
演出としての整合性がとれなくなっていました。

ちなみに、あの垂れ幕の後ろのオデットの幻影、
サイド席ではほとんど見えないのですね。
マチネでは壁に近い席だったので、まったく観えず、
演出が変わったのかと思ったくらいでした。
いったい王子はなんでそんなにうろたえているのだろう、と。(^^;)

そしてラスト。
DVDではハッピーエンドですが、今回の演出は悲劇です。
場の終盤、例の垂れ幕が下りてきて、
ロットが倒れたオデットを抱えてその後ろに隠してしまいます。
王子は後を追おうとするもロットの妨害を受け、
最後は幕の前で絶望に打ちひしがれて幕。

あの世での再会もなければ、
ヌレエフ版のような死による救いもなく、
彼はその後の人生を、悔恨の思いを背負って生きていくという、
容赦ない終わり方でした。

グダーノフさんは、
オデットへの愛情をちゃんと表現しているので、
幕の前でひとしきり悲嘆にくれたあと床に倒れこむ様子には、
王子へ憐憫の情もわきます。

でも、シュピさんの型どおりの演技には、
おまえ、ほんとーに後悔してるのか? と突っ込みたくなり、
最後、観客席に向かって片膝をついて胸に手を合わせる仕草も、
なにひとりで酔ってんだ、このナルシストっ!
どーせ3日もすればオデットのことなんかすっかり忘れてんだろー?
...と、いぢわるな気持ちになりました。(^m^)

ああ、せっかくのアレクサンドロワさんの熱演が...。(=.=)
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