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2008年12月03日08:16

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【バレエ】東京バレエ団 ベジャール「くるみ割り人形」(その2・9日)

昨日に続いて、師匠の感想です。(^^)
...DVD、買っちゃおうかな〜。(^^;)
でも、この舞台の暖かさまでは収録されてないだろうからなぁ。

       *     *     *

主要キャストのフェリックスに小笠原さんが居るので、
一緒に舞台にいるビム役の氷室さん、
ママ役の高木さんには申し訳ないけど、なかなか目がいかない。
さすがにMの中島さんには目が引き寄せられるけど。

小笠原さんのしなやかな動き、かわいいんだけど、
なかなかなつかない感じが猫にぴったり。
気まぐれで小生意気な、かわいい猫。
冒頭でゆっくりと片足を床の上で揺らす様は、
本当にシッポを揺らしているようだ。クルミとじゃれる様も猫っぽい。

踊りもバッチリ…と報告したいところだけど、
実は見せ場のバレエクラスでのヴァリエーションでミス、
脚がつっかかったような形でバランスを崩し、片手を着いてしまう。
持ち直して、最後はきれいに決めていたけれど、
フィギュアスケートならば、かなり痛い減点になるようなものだった。

普段は安定しているのに、ジゼルのパ・ド・ユイットでのミスといい、
大きなチャンスに少し弱いタイプなんだろうか。
(…応援するあまり、私がヘンな念を送ってるとかだったら…。(=.=))

ただ、その後もキレイに踊っているけれど、どこか精彩を欠いた感じ。
出だしの感じとは違う。(後に怪我と判明。(T_T))

ファウストごっこまでは踊っていたと思うけど、
時計の音が鳴る時には、もう松下さんだったみたい。
どうりで時計の音に合わせてポーズを決めるバタつき感と余裕の無さが、
初日と同じだと思ったんだよなぁ。

高木さんは、若いけれど落ち着きのある古風な美人なので、
若いなりにママ役を健闘していたと思う。
優しく包み込む感じで、透明感ではなく現実感のある、暖かいママ。

氷室さんも、初役とはいえ少年らしさが自然。
高橋さんよりおとなしめで、少し内向的な感じの少年。
無邪気な笑顔が、高橋ビムより幼く見える。踊りも安定している。

ただ、バレエクラスの場面やボーイスカウトの場面では、
群舞に埋もれて分からなくなる。気付くと、いつの間にか見失っている。
確かに小柄だけど、そのせいだけではないと思うので、そこが課題かなぁ。
存在感を醸し出すって、難しいよね。

存在感といえば、今日はダントツで中島さん。鋭いキレと迫力で、圧倒される。
腕はきれいだけども、軌跡が見える動きとは少し違う。もっと鋭利な動き。
でも、バタつかない。そして、脚がきれい〜。シャープな動きとキレイな爪先。
踊り出すと、舞台をさらっていく。迫力に気圧される。
少し力が入りすぎな感じもあったけど、許容範囲。

ボーイスカウトの場面では、
男性ダンサーが『ラ・バヤデール』の影の王国みたいに、
アラベスク、パンシェを繰り返す振付が、初めて観た時は新鮮だった。
スロープは無いし、照明も暗くないので、
ダンサーもバヤほど辛くはないだろうな。
幽玄の世界を醸し出していないけど。

光の天使は、平野さんがノリノリ。
マジックキユーピーの手品に、「まぁ、すてき♪」とハートを飛ばしてる。

マジックキユーピーとか光の天使とか、
制服の子ども達(『恐るべき子供たち』みたいな感じ)とか、
脈絡無く登場してくるようだけど、子どもの夢だし、
子供時代の印象的な事があれこれ一度に出てきても、
意外と違和感がない。

妖精は、奈良さんと田中さん。
柔らかいイメージが無い田中さんの方が、
意外にもモンローウォークなどが思い切りよく、似合ってた。
反対に、2幕の男装の麗人は、
キリッとした田中さんの方が似合うと思っていたけれど、
個人的には初日の奈良さんの方が好みだった。

イメージ通りのこともあるし、観てみると意外なこともある。
おもしろいものだね。キャスト違いが止められない〜。(^_^;)

氷室ビムが一生懸命巨大ヴィーナス像によじ登るのがいじらしい。
思わず応援モード。
そのせいもあって、ヴィーナス像から滑り落ちたビムを突き放すMに、
ヒドいと思ってしまう。(^_^;)
敢えて我が子を突き放す獅子の心境なんだろうけど。
ママが居なくても大丈夫な強い子にしなくては。
男の子なんだし逞しく育てなくては、という父親の心情なんだろうね。

1幕のビムとママのPDDは、ママを慕う少年の喜びと、
ビムに会いたかった母親の喜びが一体になって、暖かいPDDだった。

あのヴィーナス像の祠って、中に飾り付けが施されていて、
ちょっとグロテスクにも見えるんだけど、それを狙ってるのかな?
キレイに飾り付けただけのつもりなのかな〜?

休憩明けに、
小笠原さんの怪我降板及び松下さん代役のアナウンスが入り、動揺。
かなり落ち込み、動揺したので、2幕前半は集中力が激減。(←しっかりしろ)

氷室さんのビムはママと一緒が嬉しくて、無邪気にハシャぐのがかわいい。
高木さんママは、少女というほどには年齢が変わらないかな。
衣装と髪型が変わったから、少し雰囲気が違うのね、くらいの感じ。
実際、若いエレガントなママから少女になるって、至難の業だよねぇ。

松下さんがフェリックスに入ってしまったので、
闘牛士が高橋さんと宮本さんの二人になってしまった。
初日の闘牛士、小笠原さんは怪我、氷室さんは今日のビム、
松下さんがフェリックス代役、とフル回転なのでカバー出来なかった様子。
高橋さんと宮本さんの頑張り、特にこの場を支える高橋さんの迫力で、
元々二人体制と見えなくも無いのだけど、
途中で加わる女性が三人なので不在感が出てしまう。

中国は高村さん。
佐伯さんとダブルが多く、ファーストの印象なので、
若手の日の脇を固めるための2日目? と思って見ていたら、
今回バトンの余裕は佐伯さんの方があったかも。
もちろん、高村さんも可愛かったし、ミスがあったわけでも無いのだけど。

ロシア(ソ連)は、横内さんと小出さん。小出さんがきれい〜。

小笠原さんのフェリックスで観たかったパストラル。
松下さんが初日より断然良くなっていて、
時には余裕も見せるくらい踊りこなして大喝采。
百回のリハーサルより一回の本番というけど、
舞台は回数だということをここまで体現されるとは。素晴らしい。

小笠原さんのフェリックスは生意気で気まぐれな可愛い猫だけど、
松下さんのフェリックスって素直で人懐っこい感じが、
どちらかというと犬っぽい。
帰宅したら尻尾振って玄関まで迎えに来てくれそう。
小笠原フェリックスは、こちらが部屋まで撫でにいく感じ。

パリは井脇さんと木村さん。
この二人の組み合わせは、信頼感とプロの気概があって好き。
二人とも真面目なんだろうな。
井脇さんのパリがカッコ良くて、大好き。
木村さんのパリは、…何か違う。(^_^;)
生真面目な人が無理して伊達男を気取っているような。
役人の人民服が似合い過ぎだけど、
くるみの中国だと自転車に乗るだけだからな〜。
被っていた帽子が早々に取れて、ゴムでぶら下がり状態に。
(↑遊びに夢中の園児状態)

被り直すのかと思ったら、投げ捨ててた。
まるで演出みたいにキザでカッコ良い。
…その前の園児状態が無ければ。(^_^;)
踊りはさすがに2人でキメてきた。

中島さんも、甘さと落ち着きのある素敵な声だな〜。

この日はGPDDの後藤さんの怪我により、
松下さんがヴァリエーションを踊ることが事前に伝えられていた。
背の高い上野さんが相手なので、
松下さんでは完全な代役にはなれないということなんだろう。

上野さんは登場するだけで華やかさが目を引く。
でも、チュチュ姿より、その前のユニタードみたいな衣装の方が好き。
日本人ばなれしたスタイルが引き立つから。

アダージョを観る限りでは、後藤さんの怪我は深刻なものではなさそうだけど、
リフトは少し辛そうだった。

ヴァリエーションをどうやって入れ替わるのかと思ったら、
光の天使が登場。(たぶん平野さん)
舞台袖に向かって、チョイチョイと手招き。
松下フェリックスが、「何?」と出てくる。
やっぱり尻尾振った犬みたいな素直さだ。(^o^)

「踊って見せて。(^^)」と、光の天使。
「ええ?僕が?無理だよ〜。」
「いいじゃない。踊って〜。(^^)」
「わかった、踊るよ!」(←やっぱり素直)

という小芝居が入り、
舞台中央で猫のポーズをしてから、ヴァリエーションに入る。
袖にはける光の天使は、「頑張って〜」とエールを送るのを忘れない。

タキシード軍団の演出は無かったけど、アクシデントの不自然さは無く、
上手く繋げたものだと思う。初見で事前告知が無かったら、
わからないんじゃないかな。
それというのも、松下さんがしっかり丁寧に、生き生きと踊りきったから。
観客からも大きな暖かい拍手が送られた。
本人も満足の出来だったのか嬉しそうに拍手に応えて、
でも出過ぎず、また猫になってはけていった。
この公演で確実に株を上げたな〜。

コーダも踊る部分は上野さんとフェリックスが元気に踊り、
このまま? 大丈夫? (最後はリフトで決めるから)と思っていると、
本当に最後のキメだけ後藤さんに交替。
フェリックスはお茶目に、はけていった。
くるみ割り人形と王子が入れ替わる版みたいに、不自然さが無かった。

今日のビムの着替えには、フェリックスの邪魔は入らなかった。
傍で見てるだけ。氷室さんが必死に着替えていたからね。(^_^;)

カーテンコールではモニターが降りてきて、
ベジャールさんも一緒のカーテンコール。

やられた…と思いつつ、何かこみ上げるものがあるね。

初役が多い中、アクシデントも重なった大変な公演だったと思うけど、
一丸になって舞台を乗り越えた感のある、良い公演だった。
3年後に、また観たいな。今度こそ小笠原フェリックスで!
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