今年も招待券が回ってきたので暑い中サントリーまで行ってきた。時間があったので健康のためオフィスからARKヒルズまで歩いていったが、さすがに汗が噴き出た。
さてさて、随分と前から夏の恒例行事としてPMFオーケストラを聴いてきたのだが、昨今では人気が高く、あのサントリーを満員にしてしまうほどの盛況ぶり。チケット金額は在京プロオケとさして変わらない位で、確かに招待券だから行こうとは思うが・・。10年程前まではガラガラで、どっかの大学オケの文化祭という乗りだったがここ数年の躍進ぶりは目を見張るものがある。去年はネルロ・サンティでローマ三部作、一昨年がゲルでチャイVnコンとショスタコ11番か何かだった記憶がある。
以下、アマオケ(というかノンプロ)に対する論評と言うことで、その分を差し引いて読んで欲しい。
PMFオーケストラ
ワレリー・ゲルギエフ(指揮)
ダニエル・マツカワ(ファゴット)
モーツァルト ファゴット協奏曲 変ロ長調 K. 191
ストラヴィンスキー ペトルーシュカ(1947年版)
チャイコフスキー 交響曲 第5番 ホ短調 作品64
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ゲルのモーツァルトはいかにも辛いフィーチャーだった。元々サラリと流すことが不得手な上、器楽編成が小さなFgコンでのゲルの自由度は少ない。案の定、ルバート掛けまくりでボッテリしたモーツァルトだった。
Fgのソリストはフィンガーワークという点においては優秀なんだろうが如何せん音量が足りないのと肺活量の問題かブレスが頻繁にあってカデンツァもブツ切れ、ちょっときつかったという印象。ダブルリード楽器の湿潤な美音に期待したが予想に反して乾燥したものだった。
二楽章のカデンツァでは、何やら不自然で不連続な旋律が数秒間混ざったが、これはアドリブで何か(ロシアの国歌かなにか?)で、楽団員の数人が口を押さえて笑っていたしゲルも額に手を当てて、立ったままorzをしていた(^_^)(^_^)。
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ペトルーシュカは一転ゲルの得意分野、ロシア近代物だ。今回は4管編成を3管編成に縮小した1947年版の楽譜とのことだが、ステージ上には4管編成分の人数は乗っかっているがどうしたことか?
色彩豊かなこの絵巻物をゲルがどう振っていくのかが今年の楽しみの一つだった。結論的には丁寧な指導が入ったリハと入念なゲネプロを繰り返しただろうと思われる成果は出ていた。
いつも聴いているこれ
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=133324511&owner_id=3696997 とは大きく印象を異にする高演色かつ高温度感の解釈だった。デュナーミク、特に強調しすぎたくらいの随所のスフォルツァンドが特徴であり、ブーレーズの稠密な隙のない解釈からすれば隙間だらけである。が、この隙間と対比される爆裂パートがゲルの魅力なのである。
格闘(ペトルーシュカとムーア人の喧嘩)の冒頭でティンパニが10小節ほど間違って早く入ってしまうと言うハプニングがあり、そのせいでTp、TbとCbの後拍(要するに弱起)が前拍に回ってしまうと言うチグハグが発生した。が、ゲルは焦らず拍取りを元に戻した。
各場面を結ぶ小太鼓のテケテケがちょっと図太すぎたかな?って気がする。もう一つのアクセント楽器、コントラFgは炸裂音が良く出ていた。グランカッサ、ピアノもタイミングばっちりで巧かった。
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休憩を挟んでチャイ5。一楽章の入りこそ少し遅めだが、すぐにアチェレランドを効かせ、咳き込みながら高速過激チャイコへ移行。多彩で劇的なデュナーミクをあちこちで効果的に炸裂させながら次第にゲル独特の世界へ突入。跳びはねて瞑想し踊り廻りと、いつものテレビ画面で見るゲルである。
指先の微細動がストリング隊員に乗り移って大きなヴィブラートのさざ波となり、魔術の腕の振り下ろし速度がアゴーギクとなって時間軸を自在に揺らす。CbやVc隊員は狂ったように弦に弓を叩き付けていた。但し、今年の弦は美音ではなく少しくすんで歪み感が感じられた。音量は今までで一番多いと思う。それもそのはず各パートそれぞれ楽器が数本ずつ多いのである。
一方もう一つの見せ所のホーンセクションだが、まぁまぁかな〜。TpとTb、Tubの音色と音圧は素晴らしくブリリアントで良かった。一方のHrの破綻も少なく在京プロと遜色のない無難な(ちょっと大人しいか?)さばき方でまずまずであった。木管だがFlは音が通ってかなり巧かった。FgとOb、イングリッシュホルンはちょっと音の通りが悪くはっきりしなかった。
四楽章のコーダ部の手前、ティンパニがまたやってしまった。中→低→高→中→低→高・・・、と三連符で叩くところ、普通のトレモロで叩いてしまった。まぁ大勢に影響はなかったが気づいた人はいただろう。ともかくも調性を長調に転じた「運命の主題」を高らかに謳い込みながらフィナーレを突き進み、めでたく歓喜の終わりを迎えることが出来た。因みにコーダ部には破綻はなかった。
ゲルはやはりロシアのゲルであった。
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