ゲストが國村隼の回の『人生最高レストラン』 (TBS:2025年2月15日放送)を録画で観た。この番組はスタジオに招かれたゲスト(今夜のごちそう様)がMCの加藤浩次にインタビューを受けながら、「これまでの人生で最高に美味しかった料理」を紹介するもので、ゲストは思い出に残る三品を「献立表」の上に提示する。「献立表」は縦軸に「高い⇔安い」、横軸に「旨い」のラインが引かれたグラフで、ゲストのほとんどは「安くて旨い」「高くて旨い」料理をバランス良く提示するのだが、國村隼はなんと、三品の全てが「安くて旨い」だった。大阪出身の國村隼らしい粋なセレクトに感心した。
私は食べ歩きが大好きで、敬愛するB級グルメ道の先人・浅田次郎(作家)の影響もあり「高くて旨いは当たり前。安くて旨いことにこそ価値がある」と思っている。番組で紹介される逸品が「安くて旨い」なら、機会があれば食べに行きたいが、「高くて旨い」だと興味がわかない。だいたい、ゲストが芸能人だけに「高くて旨い」は時にとんでもないお値段で、予約必至の超人気店が紹介されることがある。庶民が出かけるにはハードルが高過ぎて、唖然とする。好きなゲストが超がつく高級店の、びっくりするほど高い逸品を紹介したりすると、視聴者の金銭感覚との違いを痛感し、ちょっと冷めてしまう。その点、國村隼は良かった。
普段は標準語で台詞をしゃべる彼が、関西弁を交えてインタビューに答える語り口は優しく、役者として思い出に残る劇団活動や映画のエピソードは興味深いものがあった。「安くて旨い」三品をセレクトした背景も楽しい。役者生活48年を迎える「俳優 國村隼」の人間的な魅力を見事に伝えていた。
エピソードの中で特に印象に残ったのは、映画初出演から10年間鳴かず飛ばずで低迷していた時、リドリー・スコット監督の映画『ブラック・レイン』(1989年)のオーディションを受け、その結果次第では「役者を辞めよう」としていた話。役者として求められていないのであれば、役者を辞め、他の道を進むべきと「リドリーに下駄を預けるつもりでオーディションに向かった」という。見事、合格して、國村は松田優作の子分を演じた。『キル・ビル』(2003年)出演時は、クエンティン・タランティーノ監督から呼び出され、ホテルの彼の部屋で直接、オーディションをされたことや、韓国映画『コクソン』(2016年)出演時の苦労話も面白かった。
國村隼が紹介したお店はどれも庶民的で、大阪に出かけることがあれば、ぶらりと寄ってみたいと思う。『人生最高レストラン』の「居酒屋 大御所」はちょっと離れているが、「うまい屋」と「千草」は徒歩5分と近いのもありがたい。
1.「居酒屋 大御所」 なにわのどて焼き(2本 360円)
大阪・森ノ宮駅徒歩1分 大阪市東成区中道1-1-33 定休日:日曜、祝日
2.「たこ焼き うまい屋」 たこ焼き(8個 520円)
大阪・天五中崎商店街 大阪市北区浪花町4-21 定休日:火曜日
3.「お好み焼き 千草」 イカ玉(800円)
大阪・天神橋筋商店街 大阪市北区天神橋4-11-18 定休日:火曜日
ログインしてコメントを確認・投稿する