中北浩爾『現代日本政治史』(有斐閣)を読みました。
著者は、中央大学法学部教授であり、ご専門は日本政治史、現代日本政治論だそうです。まずは、そのあたりの第一人者ではないか、と私は考えています。
本書は、タイトル通りに、戦後から最近の高市内閣までの日本の政治史を取りまとめています。ただ、出版社からして学術書か、といわれれば、必ずしもそうではなく、本書冒頭でも大学での1セメスターの講義向けに13章構成としている旨が明記されていて、初学者や一般向けにも十分適用できるのではないかと私は考えています。
まず、終戦直後の日本の政治の特徴については、これは高校くらいでも教えているのではないかという気がしますが、占領主体は連合軍というよりも、ほぼほぼ米軍が単独で担っていて、しかも、直接の軍政、沖縄のような軍政ではなく間接統治であった、という点が上げられています。前者の米軍単独占領に比較対象されるべきは、同じ敗戦国のドイツであり、ドイツの場合はソ連軍も占領に加わり、東西ドイツに分割して統治されたのは広く知られている通りです。
米軍占領下の日本統治では、非軍事化とそのための民主化の目標を実現するため、5大改革司令が出されています。すなわち、女性参政権、労働組合、教育、秘密警察廃止、経済民主化、ということになります。そして、私も大学の授業で取り上げている経済改革としては、この5大改革司令にやや重複するものの、本書では財閥解体、労働改革、農地改革の順で指摘しています。
日本の占領下での政治については、東西冷戦の激化、特に、中国における共産党政権の成立などの影響もあり、いわゆる「逆コース」が進められた、占領軍だけでなく、独立後の保守政権下でも「逆コース」が進んだ、という理解が一般的ではないかと思うのですが、本書では憲法改正が出来なかったことなどを根拠に、逆コースは失敗であった、と結論しています。
その後、いわゆる55年体制の成立、すなわち、左右の社会党が合同し、自民党が結成される、というのは広く知られている通りです。このあたりの1960年くらいまではまさに戦後政治史の激動の時期ではないか、と専門外のシロートながら、私は考えています。
なお、1980年代前半には私はすでに国家公務員として政府部内でお仕事を始めています。私が経済企画庁に就職した際は、中曽根内閣の下で河本副総理が経済企画庁長官でした。ですから、本書第10章では転換点が1989年であるとしていますが、1990年前後の動き、すなわち、経済的には消費税の導入、政治的には小選挙区制などは政府内部から見ていますし、専門外とはいえ、それなりの情報には接してきたつもりです。
1994年から約1年半に渡って社会党の村山内閣が活動していた時期には、経済企画庁の政務次官も社会党からお迎えし、夏休みの時期のご外遊を手配した経験もあったりします。そして、今世紀に入ってからの小泉内閣における新自由主義的な経済政策、竹中大臣の下で経済政策については、郵政民営化こそ横から眺めていただけですが、それなりに見知っている部分も少なくありません。
本書は政治史といいつつも、もちろん、経済政策の部分も少なくなく、例えば、p.120図表5-2にあるような戦後日本の経済計画一覧、とか、予算編成プロセス、労働慣行、などなど、エコノミストにも勉強になる内容も多く含まれています。ただ、補章の天皇制に関しては異論を持つ読者もいそうな気がします。
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