kenjiさん
http://mixi.jp/show_friend.pl?id=10551345 の新居にしつらえられた石井式リスニングルームへお招き頂いた。kenjiさんは昨今流行(?)の脱ハイエンドを試行中の方で、現在のラインナップをPさんと共に聴かせて頂くこととなった。
スピーカーはKenwoodのKシリーズというミニコンポ用のスピーカーで単品売りしているもの。確か、型番はLS-K701という小型2Wayバスレフ型ブックシェルフで、売価はペア20,000円にも満たないという安価な製品だ。パワーアンプは当方強力推薦のAcoustic Reality eAR202-Refである。プリは今回故あってPさん設計制作の俗称ミニプリの貸出をうけられることとなった。CDPは東芝の小汚いDVDプレーヤで型番すら失念w
それ以外にもインタコ・ケーブル比較試聴など出し物は幾つかあったにはあったが今回は割愛で本論のみ述べる。
いやはや驚いてしまった。eAR202がグリップしたLS-K701は予想を遙かに覆す好成績。多くのハイエンダーを訪問し幾多の超高額ハイエンド・スピーカーを聴いては来たが、この超小型の吹けば吹き飛ぶようなスピーカーが堂々たる音場再生、サウンドステージ再現を行うのであってこれらの多くのハイエンド機器はこの境地には達していない。いや、ブラインドで聴いた場合、大多数はこのKenwoodをハイエンド・スピーカーと認定するであろう。
今回私が持ち込んだ試聴課題は10枚ほどで、小型システムの性能評価に向いた物を2〜3枚、残りは状態を見ながら掛けるか否かを決めようと思って持参した高難易度盤だ。
先ずは準備運動と言うことで「コントラバスマリンバ」。普通、これの出来映えには期待はしない。なぜなら多くのハイエンド宅では満足な低音は出ないし、今回のこの小型SPでは期待すべくもなかった。ところが今回は初っぱなから違っていた。30Hz以下の風圧は無理にせよ、それより上の帯域を極めてスムーズに再生しているではないか。
次いでソロ楽器のCDで定位と楽器音の正確性を判定しようと言うことでミオリン「ギターによるサティ」。定位は恐ろしくよい。ハイエンドSPでここまで精密な定位を示すことは滅多にない。
次は定番・お決まりの「謝肉祭」。この盤は小型SPから大型ハイエンドまでオールラウンドに評価するには非常に適したCDで、あらゆる楽音と演奏パターンが含まれている。最初の数分はサチって歪み気味であったが、高速で学習するこのSPはあっという間に謝肉祭に慣れてしまいほぼ完璧な音像を定位させた。
次いでブラームスのP四重奏(アルゲリッチ、クレーメル、マイスキー、バシュメット)。やはり冒頭でサチり気味な破綻を見せるのだが即座にキャッチアップして体裁が整うのだ。素晴らしいの一言。モニターオーディオの中型機、古くはプロアックのブックシェルフ、またはブリロンによく似たピンポイント定位を示す。しかしステレオフォニックのサービスエリアは非常に広く、部屋のどこで聴いてもほぼ同じ距離感でサウンドステージが再現されるのだ。
それではと言うことでオルガン「惑星」を掛けたのだが、これはさすがに無理かと思いきや、雄大な32フィートパイプが石井式リスニングルームに突如として出現、ティンパニが低音域で刻む旋律もくっきりと描き出されるのには舌を巻いた。
そしてavanti classicのリスト・リサイタル(ポリーナ・レスチェンコ)だが、鋼のようなスタインウェイを余すところなく、しかもピアノが目に見えるような描写を見せつける。これはもうハイエンドも顔色無しといったところ。
ということで、全ての試聴インプレを書くことはしないが、結局課題盤は全て鳴らし切ってしまった。
コンシューマー機器、その中でもゼネラル・オーディオと呼ばれる製品群の基本性能は素晴らしいということを改めて思い知った。昨今ではデジタル携帯プレーヤが全盛で、家にミニコンポその他を揃えてわざわざCDをゆっくり聴こうという人は確かに減って来ているかも知れない。しかし、メーカーとしてはまだ市場が存在し続け、ありとあらゆる音楽を好むユーザがいることを想定するならば、やはりオールマイティな音楽再生を目指した音質調整を施すのは定石だし、まさにこのスピーカーはそういった正攻法で設計された一品だ。
では、ハイエンド・スピーカーはまるでレーゾン・デートルを失ったのか? と言う点であるが、極一部のよく出来た大型4Wayスピーカーが再生する35Hz以下の風圧を伴った時間差のないストレートな超低域、ストレスフリーで微塵の強調感もなく、背伸びしない余裕のフルフラット中高域など、あらゆる面でゼネラルオーディオとは趣を異にする質感とプレゼンスはさすがにゼネラル・オーディオのスピーカーでは得難いものだ。
だが、その得難い再生音を常に手中に収め続けているハイエンダーは日本には殆ど存在していないというのも残念ながら動かし難い事実であろう。何を言いたいのかと言うと、その辺の○○○○カメラで買ってきた僅かペア数万円の小型スピーカーに小型ICEpowerアンプを繋ぐだけで、大部分のハイエンダーが所有する機器は撃沈されてしまうと言うことだ。
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