OEHMSの新譜からオペラの名場面抜粋集。元来オペラのCDは長いのと歌詞が分からないのと画面が見えないのとでずっと忌避している苦手科目なのだが、デュエットの抜粋ということで何となく手にして買ってみた。これはOEHMSといっても珍しく国内盤と輸入盤の双方が設定されている盤だが、日本語歌詞カードを見たいため少々高かったが国内盤を買った。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2724183
ワーグナー: 楽劇「トリスタンとイゾルデ」より、デュエット場面集
(第1幕第5場、第2幕第2場、第2幕第3場より)
デボラ・ポラスキー(Sp)、ヨハン・ボータ(T)
ベルトラン・ド・ビリー(指揮)、ウィーン放送交響楽団
ハイデ・ブルンナー(Ms)
この手の音楽には全く詳しくないので、説明は上のURLにある日本BMGの解説に譲るが、結論的には恐れていたほど難解で退屈なものではなく通しでゆったりと楽しめたのである。
このポラスキーという人はワグナー歌いの第一人者の一人らしいが、なるほど上手だし、ボータというテノールもなかなか伸びのある美しい声で感心する。Msだと思うのだが、時折遠くの方から切々とした歌声が混ざってきて重唱になる場面が美しい。二人のデュエットそのものがとにかくひたすら美しく、オケの旋律、和声ともに夢のように綺麗な進行なのだ。トリスタンとイゾルデは題名だけは知っているものの通しでは勿論聴いたことはなく、恐らくその中から美しい場面だけを集めたのであろう。
(録音評)
OEHMSレーベル(日本BMGの国内盤)、BVCO37452(EU盤はOC626)、SACDハイブリッド。録音は2004〜2005年オーストリア放送クルターハウスとあり、恐らくフルセットの録音から抜粋して編集したもの。DSDマスタリングとあるのでハイサンプリングPCMでのレコーディングだろう。かっちりとした隈取りで清潔感溢れる録音。
このソリッドな密度感はDSD録音ではなくPCMの雰囲気だが音質はDSDに勝るとも劣らない極めて優秀なものだ。最初は巧く鳴らずオケ・パートも寂しく、ソプラノもテノールも痩せていた。しかし数回掛けるうちに見晴らしが良くなり、そのうちスピーカーを設置している側の壁にポッカリと大きな穴が開いた状態になって深く広い音場が出現するようになった。トリスタンとイゾルデ役のソリスト二人の発する鋭いビームと、Msが遠方より語り掛ける妙は最高の臨場感だ。オケの分離、ディテール再現も素晴らしく、これはガーシュイン/ロジェの盤に通ずるものだ。
CD-DAレイヤーとSACDレイヤーの差異は空間の広さにあるが、それ以外の顕著な差を見つけることはできなかった。
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