今日は、怖いもの見たさの二枚目。
http://www.universal-music.de/inhalt/musik/kuenstler/KLASSIK/Alfred%20Brendel/90540/produkt/23396/
CD-2:
・ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ変ホ長調 作品22
録音:1968年5月13日(放送録音)
・メンデルスゾーン:厳格な変奏曲ニ短調 作品54
録音:1990年3月25日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール(ライヴ)
・ブゾーニ:7つのエレジー集〜第3番『わが魂は汝に望みを託す』
・ブゾーニ:7つのエレジー集〜第6番『できごと』
録音:1997年10月22日、ロイヤル・フェスティヴァル・ホール(ライヴ)
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第28番イ長調 作品101
録音:1992年11月26日、バーミンガム、シンフォニー・ホール(ライヴ)
ブゾーニは初めて聴く作品、メンデルスゾーンはちょっとつまらない。ベートーヴェンのソナタは、本人が選んだだけあり、かなりの名演だろう。
で、何が怖いのかというと、ブレンデルのショパンである。これ、現代のブーレーズがモーツァルトやベートーヴェンのチクルスをやるというのに等しい、いやそれ以上のミスマッチと言って良い。
実は、ブレンデルはレコード録音としてショパンのポロネーズ集を当時のヴァンガード・レーベルから一枚だけ出していて、それも同じ1968年の録音だ。しかし、ここに収録されているのはBBCの放送のために吹き込んだ録音だ。ブレンデル自身が何故これを自らの75歳の誕生記念として選んだのか、非常に謎である。
演奏は、とてもショパン作品とは思えない香りの無い、いや田舎臭さの極致のような解釈だ。技巧が下手かと言われるとそうではない。譜読みが不十分なのかと言われればそうでもなく、逆に精密な譜読みと言える。
要はショパンという一流作家の予期した音のエッセンスがまるで含まれていないのだ。技巧的に言うと、100人のピアニスト中95人までが適用するであろうアゴーギク、デュナーミクが想定される場所で全く出てこないのである。盛り上がりも盛り下がりもない平坦、かつ強い冗長さを感じさせる解釈なのだ。MIDIでもこんな下手くそなものは少ないだろう。
うーん、かなり真面目に取り組んでもこういった演奏しかできないのであれば、ショパンをやめてしまいたいと思っても仕方ない気がする。恐らくブレンデルの性格からは、典型的なショパン解釈である演技がかって女々しい弾き方を排除するとこうなってしまうのだろう。しかし真面目に取り組めば取り組むほど滑稽に聞こえてしまって困る。
このアンダンテ・スピアナートを二枚目トップに据えたのは、ブレンデルが今日まで演奏会においても録音においてもショパンを扱わない理由をリスナーに雄弁に語ったものであると思っている。
(録音評)
ショパン以外は水準と言える音質。概して一枚目の方が高音質でセンスの良い収録。ショパンの方は演奏と相俟って酷い音質だ。ひょっとしてモノラルかも知れない。たとえステレオであったとしてもセパレーションが極めて悪い。これはわざと音質を悪化させた可能性がある。1968年の放送用録音がこんなに酷い音であるはずがない。ブレンデルがアンチ・ショパンの願掛けをしてパロッたとしか考えようのない珍録音だ。
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