今日はラヴェルのダフ・クロ全曲である。
以前に第二部を収めたバレンボイムの古い録音
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=145977592&owner_id=3696997 を取り上げたが、今日のこれは全曲版である。
http://info.hmv.co.jp/p/t/1063/871.html
これは国内版に遅れること半年で今月発売となったユーロ輸入盤である。
チョン・ミュンフン/ラヴェル:バレエ音楽《ダフニスとクロエ》全曲(3部分からなる舞踊交響曲)
フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団と合唱団
指揮: チョン・ミュンフン
録音:2004年11月 パリ〈デジタル録音〉
国内版はUCCG-1286で3月に出ている。
ミュンフンのラヴェルは興味があったが、なかなかの出来映えである。思ったよりもオリジナルを崩さず、割とストイックな基調でサラサラと流れるダフクロだ。
しかし要所でのデュナーミクは過度にならずともしっかりと押さえている。コーラスの歌わせ方が独特のうねりを伴っておりヴェルディの聖歌を連想させるものがある。また、France Radio Orchestraの地味ながら超絶な技巧は揺るぎなく、まさにppp〜fffまで全く破綻が無く、なにげに美しい。
全体を通してルバートの使用は控えめ、そしてパッセージは速めでアチェレランドの効いた加速度感が共通したアクセントとなっている。ドラマティックでスケールの大きな好演だ。
(録音評)
DGだが4Dのクレジットが見当たらない。国内のユニバーサルのサイトには4D録音とあるのだが、どうもそうではないと思われる。オケはフランス国営放送だが、録音スタッフもほぼ全員がフランス国営放送の人間である。DGではあるがレーベルがDGなだけであって、およそDGらしい録音とは言えない。どちらかというと地味系のDECCAに近い物がある。いや、NHKと言った方が分かりやすいかも知れない。
一聴して広大に拡がるステージも現れなければピンポイントで定位する器楽配列も見えてこない。最初はとんでもなく外れの録音だと感じられるかも知れないが、実は4Dのようにきめ細かくパートマイクを立ててからデジタルディレイで処理するという現代手法ではない録り方なのだ。極めてシンプルなデッカツリーにアンビエントマイク数本といったところだろう。それだけにディテールを積み上げて合成した分かりやすさはこの録音にはない。逆に全体をマクロ的に俯瞰する楽しみが備わったCDだ。
このCDは再生が非常に難しい。漆黒の闇からごく静かに立ち上がる木管群やVnのさざ波は並大抵のスピーカーでは再生できない。DG4Dは難無く掛かる装置であっても、このローレベルをちゃんと音として、いや音楽として識別することはかなりの困難を伴う。全編の8割がこのローレベル域で占められるので失敗すれば訳の分からない音楽となってしまうだろう。
深々としたステージの最後列に並ぶコーラス隊の姿形がオケにマスクされずに見えるようであれば、また、楽団員全体を無理なく俯瞰できるようであれば、あなたのオーディオ装置はまずまずのローレベル解像度を持っていると言うことだ。
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