シベリウス交響曲@フランシスコ響@ブロムシュテットの四枚目で最終回。
http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=964727&GOODS_SORT_CD=102
シベリウス:交響曲 全集
CD1
交響曲 第1番 ホ短調 作品39、交響曲 第7番 ハ長調 作品105
CD2
交響曲 第2番 ニ長調 作品43
交響詩 「タピオラ」 作品112、悲しいワルツ 作品44-1
CD3
交響曲 第3番 ハ長調 作品52、交響曲 第6番 ニ短調 作品104
CD4
交響曲 第4番 イ短調 作品63、交響曲 第5番 変ホ長調 作品82
サンフランシスコ交響楽団
指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
録音:1989〜95年
4番だが、なかなかに陰鬱な曲だ。シベリウスは自身でこの曲を「心理的交響曲」と呼んだそうだが、その経緯と詳細はウィキペディアに書いてある。各楽章ともに明示的な強い主題がなかなか感じ取れなく、ややもするとシェーンベルクなどの現代音楽における無旋律の作品に聞こえてしまう。最終楽章に鐘(グロッケン)が多用されているところが特徴的だ。
対する5番は明瞭な主題と、明るく高らかに吹き上げられるマーチのような、そして生命への謳歌がひしひしと感じられる壮大な曲。癌を克服したという当時のシベリウスの歓喜がはっきりと表れた三楽章形式、というか3〜4楽章を連接させた作品だ。この5番の続編としてあの高名な6番が存在し得たと個人的には思っている。
(録音評)
デッカの優秀録音で、年代は古いが現代の最新優秀録音にも比肩する素晴らしいバランスを誇る作品だ。弦と管ともに美音であり空間の奥行き感も素晴らしい。パーカッションのスピード感も秀逸で、打撃音は一切のスポイルなしにストレートに響く。
DG4Dに慣れた耳には多少地味な傾向と取られるかも知れないが艶消しで渋い解釈と相俟って驚くほどの解像度を秘めた録音だ。凄いの一言だ。
いずれの曲もSFSOの本拠地であるDavies Symphony Hallで数年掛けて収録されたものだが各曲によるバラツキは非常に少ない。管楽器が活躍する近〜現代曲ではとかく弦楽器が管にマスクされがちなのだが、この録音では弦楽パートが非常に明晰かつ美しく捉えられていて混濁もカブリもない。
弱音部が大勢を占めるシベリウスの交響曲は微小領域の再現性が鍵となる。闇のような弱音部から一気に嵐のように吹き上がる強奏部、またその嵐から一気に静寂へと戻るという強弱表現が縦横無尽に配置されているため、このCDに含まれるダイナミズムを余すところなく描き出すには装置のベーシックスキルが試されることとなろう。
リベラルな曲の解釈と緊迫感漂う素晴らしい演奏、そして出色の録音とともにシベリウス交響曲の決定盤として推奨できる名盤だ。
(了)
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