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2026年08月29日07:39

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"A Macro Study of the Unequal Effects of Climate Change" と題する論文を読みました

"A Macro Study of the Unequal Effects of Climate Change" と題する論文を読みました。米国のデータから、気候変動による気温上昇が家計にもたらす分配上の影響を経済厚生から把握しようと試みています。
米国に限らないと思いますが、この論文では家計が2つのチャンネルにより気温上昇に対応するとしています。すなわち、冷暖房のためのエネルギー使用量の調整という集約的マージン(intensive margin)、および、エアコンやヒーターなどの温度調節機器を購入するか否かを決定する拡張的マージン(extensive margin)です。結果として、気候変動がもたらす家計の厚生(consumption-housing equivalent variation=CHEV)の変化を計測しています。もっとも重要な結果を示すグラフは Fig. 2. Welfare Consequences of Climate Change であり、所得10分位別で地域別、すなわち、寒地(Cold)、冷地(Cool)、温暖地(Mild)、暖地(Warm)、暑地(Hot)別の経済厚生=CHEVをプロットしています。
Fig. 2. では、まず、寒冷地では気候変動は経済的厚生の不平等を拡大させます(In colder areas, climate change increases inequality in lifetime welfare.)。冷房需要はすべての所得階層の家計で増加するものの、その負担増は低所得家計の方が大きくなるのは、それまで必要とされなかったエアコンなどの温度調整機器を購入する必要が生じるからです。ただし、温暖地域では逆のパターンが生じ、経済的厚生の不平等が縮小します(In warmer areas, the opposite pattern reduces welfare inequality.)。
少し前の朝日新聞の記事「ヨーロッパの猛暑、6カ国で死者1万9千人か 高齢者に深刻な影響」では、欧州の熱波の影響などが報じられています。これも朝日新聞記事「炎暑、欧州覆う エアコン普及20%止まり パリ、葬儀場受け入れ限界」などで広く報じられているように、欧州ではエアコンがそれほど普及していない、という現実もあります。ですから、寒冷地の低所得家計では気温上昇によりエアコン購入負担が重いわけです。他方で、温暖地では不平等が縮小する、という結論に一定の妥当性もあるように見えなくもありません。でも、「ホントかね」と受け止める人も少なくないものと私は想像します。

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