井上真偽『白雪姫と五枚の絵』(小学館)を読みました。
著者は、ミステリ作家であり、本書は前作の『ぎんなみ商店街の事件簿』Sister編とBrother編の続編となっています。ちなみに、私はどちらも読んでいます。
本作品では、認知症を発症してぎんなみ総合病院に入院中の八百谷雪子が、病室にある絵の魔女を指さして、「盗んだの。私から、大事なお金を」、「一億円」といい出すところから始まります。八百谷雪子は八百谷青果店の娘だったその昔には、「ぎんなみ商店街の白雪姫」と呼ばれ、商店街関係者の「こびと」から恋心とともに慕われていました。
本書は5章から構成され、「白雪姫」、「3匹の子豚」、「赤い靴」、「ヘンゼルとグレーテル」、「雪女」が見立て絵として、各章のモチーフとなっています。見立て絵となる絵は、絵本作家で木暮4兄弟の亡くなった母親である木暮怜が描いて、八百谷雪子を経由して八百谷雪子を慕う商店街の経営者などの男性=「こびと」に送られたものであることが判明し、串真佐の内山3姉妹が木暮4兄弟ともに真相解明に当たります。なお、その見立て絵5枚は本書の冒頭にカラーで収録されています。
あらすじ、というほどではありませんが、簡単に各章と見立て絵の送り先の「こびと」を振り返ります。まず、第1章のカギとなる「白雪姫」の絵を送られたのは萬田商店社長の萬田富男、第2章のカギである「3匹の子豚」の絵を送られたのはハシオスポーツの走尾馳雄ですが、本書の中で亡くなります。第3章のモチーフの「赤い靴」を送られていたのは阿久津靴店の阿久津踏治、第4章の青い鳥の「ヘンゼルとグレーテル」の絵を送られていたのは花梨堂菓子店の花梨橿夫、そして最後の第5章でカギとなる「雪女」の絵を送られたのはぎんなみクリニック/ぎんなみ総合病院の石田仁太郎、となります。
何せ、内山3姉妹と木暮4兄弟の計7人がいますから、それぞれ絵を送られた商店街の関係者の孫や何やに同級生がいる確率は高いわけです。そういった人的なつながりも含めていろんな事実が解明されていきます。さらに、5枚の絵はそれぞれに見立て絵なのですが、その5枚がすべてそろうと、別の構図も見えてくるというメタな構造もなかなかいい出来だったと思います。
ただ、舞台が横浜という都会であるにもかかわらず世代的に2代3代に渡って人的関係が濃厚で、その点に少し違和感を感じないでもありません。前作から商店街の人々の小説ですので、それもアリなのかという気はします。しかも、この作品は前作と違って時代的にかなりさかのぼりますから、いろいろと複雑な要因がからみあっていたりもします。その意味で、ある程度の読解力を必要とします。
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