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2026年02月09日11:12

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藤川清史・渡邉隆俊『産業連関分析入門』(日本評論社)を読みました。

藤川清史・渡邉隆俊『産業連関分析入門』(日本評論社)を読みました。
著者は、いずれも愛知学院大学経済学部の教授です。タイトル通りの本です。
産業連関表とかIO表と呼ばれるマクロ経済の分析手法を学ぶことを主眼としています。ある程度のマクロ経済学に関する基礎知識があって、BASICのプログラムコードの理解があれば、なおよいのですが、BASICのコードについてはサンプルが豊富に収録されていますので、初心者でも十分取り組みやすいように工夫されています。
ものすごく基本的な産業連関表の使い方は、何らかのショックがあった際に、レオンティエフ逆行列からマクロ経済全体への波及効果を計算することです。基本は行列式の計算ですから、高校の数学で習っているはずですが、私の経験上、我が立命館大学クラスであっても、高校レベルの行列に関して十分な理解を持っている経済学部生はそれほど多くありません。私は高校の数学の先生ではありませんので、高校の数学に関して教えられる範囲は限定的であり、本書についても、基礎学習を終えた段階の大学生を対象にしているようですが、そのあたりの数学的な基礎がないと苦しいかもしれません。
ただ、本書では図解をいくつか工夫していて、例えば、第8章では需要曲線が垂直で、供給曲線が水平、なんてグラフを持ち出して、均衡価格決定モデルを説明しています。なるほど、と思いました。
最後に2点だけ本書に関連して、産業連関分析についての私の感想です。第1に、本書のp.114にもあるのですが、ショックの波及に関して、ケインズ的な乗数分析では無限の波及を想定して限界消費性向の逆数だけの大きさの乗数を考える一方で、産業連関分析では波及は1回限りと見なす向きがありますが、これは正しくありません。産業連関分析ではケインズ的な無限の波及を終えた段階でのショックの広がり=総和を考えているのであって、決して1回限りの波及というわけではないと私は考えています。
第2に、産業連関分析は固定係数ですから、生産関数が同じという条件での分析です。ですから、それほど長期の分析には向かないと考えるべきです。20年も30年も固定係数=技術革新がなく同じ生産関数のまま、と想定するのはムリがあります。だからこそ、産業連関表はおおむね5年毎に改定されているわけです。阪神タイガース優勝の経済効果ぐらいでしたらともかく、日本の人口減少や高齢化の未来を考えるに当たって、どこまで長期に適用するかは十分に見定めて使うべきだと私は考えています。

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