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2006年07月24日10:10

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【音楽】Grimaud/Credo 4

グリモーのアルバムについては賛否両論あるだろう。曰くコンセプトが統一されていて素晴らしい・・・、反面、その逆も常にあり得るわけである

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今日はこれの最後となる。7トラック目がアルバムタイトルになっている、

ピアノ、混声合唱と管弦楽のための《クレド》/アルヴォ・ペルト作曲

ライナーノーツからの抜粋で、ペルトという存命の現代作曲家について少し・・・

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ペルトはバルト三国のひとつであるエストニアのパイデという小さな町に生まれ、放送局の音響技師をしながら、1963年に28歳でタリン音楽院を卒業した。当時、エストニアはソ連の治下にあったので、西欧の前衛音楽は禁止されていたし、むろん宗教的な作品も許可されていなかった。そうした環境の中で、彼はクシェネックの十二音音楽の教本や、わずかに手に入るブーレーズ、ノーノなどの録音テープなどから音列技法を学び、さらに偶然性やコラージュなど西欧のさまざまな現代音楽の技法を取り入れて、自分の音楽を探求していくのである。

 しかし、この約10年間の作品は、今日一般に知られているペルトの音楽とはおよそ違ったものである。《ペルペトゥム・モビレ》(ノーノに献呈)や第1交響曲はいわゆる西欧的な現代音楽であるし、第3交響曲は擬古典的といってもよい調性音楽であり、そこには好ましからぬ作曲家としてソ連の当局の一種の監視下にあるペルトの試行錯誤のようなものが見て取れる。ことに、擬バロックと現代音楽のさまざまな技法をコラージュしたチェロ協奏曲《プロ・エ・コントラ(賛・否》(ロストロポーヴィチに献呈されている)は、まさにペルトのアイロニーをはっきりと表に出したような作品である。

 そして1968年から6年間、ペルトは沈黙した。あるとき東方教会の単旋律聖歌を聴いて、複雑な音楽こそ優れた音楽だと思っていたが、実は逆であった、と気づくのである。この6年の間、ペルトはグレゴリオ聖歌や中世・ルネッサンスの音楽の研究に没頭する。そうして得たものが、ペルト独特のティンティナブリ様式の音楽だったのである。

 そのペルトの音楽を発見し世界に知らしめたのは、クラシック・レーベルではなく、あのコンテンポラリー・ジャズのレーベルECMのプロデューサー、マンフレート・アイヒャーであった。アイヒャーは、ピアノにキース・ジャレット、ヴァイオリンにギドン・クレーメル、プリペアド・ピアノに作曲家のアルフレード・シュニトケというユニークな取り合わせで、最初のアルバム《タブラ・ラサ(「白紙の心」の意)》を1984年にリリースした。そうしてアルヴォ・ペルトの名は、一挙に世界にひろまっていったのである。
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この曲の第一主題は、誰もが知っている有名な曲が原典だ。これは要するに著名曲からの変奏曲(つまりパクリ)なのであり、現代曲にはありがちなことである。

さて、その原曲とは、バッハの平均律クラヴィーア曲集・第1巻の1番、BWV846のプレリュードから取ったものなのだ。これは、平均律云々と言うより、グノーのアヴェ・マリアと言った方が通りが良いかも知れない。グリモーが奏でるピアノの第一主題はオーケストラと共に徐々に規模を拡大しつつ美しい一つの調和を見せる。

第二主題は、第一主題を鏡状にひっくり返したと思われる不安定な旋律で突如現れる。そして打楽器、弦楽器の強奏、そして不気味な合唱を伴い、やがて不規則で無旋律の展開部へと入っていくが、この部分は無秩序の極致を表現している。

混沌とした展開部の頂点を過ぎると、規則的に中断される強奏が徐々にそのなりを潜めて行き、再び旋律が姿を現して調和と秩序を取り戻していく。

最終部は第一主題の再現部となっており、硬質なピアノ旋律が美しい合唱と共にクラヴィーア1番プレリュードの終焉へと戻っていく。

最終トラックには原曲がピアノ独奏でリフレインされ、この希有な構成のアルバムは終わる。

(録音評)
DGの4D録音であり、ことさら音質は良い。特に合唱幻想曲の合唱及びオケと最前列の独唱、ちょっと後ろのグリモーのピアノとのパースペクティブが素晴らしく、このステージ上の距離感の適正な再生がこのアルバムを上手に聴く鍵となる。クレドにおいては展開部の打楽器、特にティンパニとグランカッサの定位とローエンドまでの伸びが鍵となる。ピアノは全編を通じて硬質ながら透き通った小さな音像を維持しているが、これを濁りなく、また肥大なく再生させることが肝要である。

(了)
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