ARTSレーベルの昨秋のリリースで、シューマンの謝肉祭&ダヴィッド同盟だ。やはり昨年はシューマン・イヤーだっただけにリリースは多かったし秀作も多い気がする。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3891132
Schumann:
Carnaval Op.9
Davidsbündlertänze Op.6
Alessandra Ammara (piano)
シューマン:
・謝肉祭 Op.9
・ダヴィッド同盟舞曲集 Op.6
アレッサンドラ・アマーラ(ピアノ)
ヴィヴィッドで激しく、そして強いシューマンだ。ヒューイットのダヴィッド同盟
http://musicarena.exblog.jp/15837751/ よりかは繊細さに勝っており、さりとてエモーションとしては更に深く熱く求道的な弾き方だ。三連符やトリルの正確な打鍵と超高速パッセージを一気に駆け抜ける爽快さはここ暫くの新譜としては珍しいほど特徴に満ちたシューマンと言えようか。
また、高橋多佳子の謝肉祭
http://musicarena.exblog.jp/15728303/ が凡庸に聞こえてしまうほど鮮やかで大胆、そして稠密な描き方なのだ。キリアーナとショパンの出来映えの優秀さは目を瞠るものがあって、何度も何度も繰り返し聴きたくなる麻薬的な魅力に溢れている。事実、繰り返し繰り返し聴いていると、この超絶的なシンコペーションとハイスピードで小刻みなパウゼを多用した解釈でないとダルで隙間の多い演奏に他が聞こえてくるので困ったもの。
余り多くを語りたくはない、ちょっといいものを見つけてしまった時の密やかな悦びに浸っている昨今である。超精密超高速、かつ孤高のエレガンスを両立させることに成功しているクレール・デゼール
http://musicarena.exblog.jp/7468300 との比較に於いては実に悩ましいものがある。
(録音評)
ARTSレーベル、477558、SACDハイブリッド。録音は2010年3月8〜10日、場所はヴェローナのSala Maffeianaとある。このレーベルは音質に拘ったSACDハイブリッドが特徴となり、DSDマスタリングされたオーディオファイル・レコーディングと自ら銘打った製品群となる。しかし、ライナーの解説を見ると、フロントエンドはPCM 24bit/88.2kHzのPrism Sound製ADA8 XRをオンステージADCとして用いたラインナップとなっており、その後ろにヤマハ 02R96をミキサーとして置いて、後続を今時は珍しいSADiE編集システムとしている様だ。マイクはSenheiser MKH-8020、Schoeps MK-4Vxt、DPA 4004、Schoeps MK-2S linear、Schoeps KM-41などの記載があり、きめ細やかなアレンジでスタインウェイを狙っているようだ。
音質は仄暗くて緻密、そして驚くほどの臨場感と重量感を伴うスーパー・リアリズムの世界が現出する。自称オーディオファイル・クォリティに恥じない素晴らしい出来映えだ。このPCMライクな実在感溢れる録音は、フェザータッチで質量感を殆ど感じさせない優秀DSD録音、例えばレスチェンコのavanti盤
http://musicarena.exblog.jp/7468361 とは対極を成すもので、どちらがよいかは個人の感受性によるであろう。いずれにせよ素晴らしい録音。
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