六角橋交差点の花月が閉店し、その跡には福生の美豚というつけ麺・ラーメン店が入るらしいとCozyさんの掲示板で知ったのは暫く前のこと。美豚はリングル・プロジェクトに属する店で、この辺だと尾道ラーメン「柿岡や」などと同じ仲間のはず。しかしリングルは倒産して会社更生法適用申請中の身だ。ひょっとすると美豚は、花月の経営母体であるグロービートジャパンにブランドごと身売りしたのかも知れない。真実は定かではないが・・。
日曜午後、二女を伴って三人で訪れた。変形三角敷地に建つ特徴的な店内は花月時代と殆ど同じで、最低限度の内装とブランド変更を行った居抜きに使い形態と見た。到着時には狭い店内には待ちの先客が3名。券売機で買ったのは私と二女がつけ麺チャーシュー、家内がつけ麺味玉。食券を店員に手渡したところランチタイムには味玉や半ライスが無料で付くという。後で家内が買ったつけ麺味玉のうちの味玉料金部分がリファンドされた。
ボックス席が程なく空いて家族三人ゆったりと座ることが出来た。後から後から客は入り店内は満席状態が続く。程なくサーブされたつけ麺は見た目には現在ではポピュラーとなった姿形とそれほどの違いはない。但し、最初から強烈な魚介の香りが鼻を突く。麺は太くてちょっと黒ずんだもので、タピオカ粉末を練り込んだという自家製麺のチュルチュル食感。二女の指摘通り小麦粉の香りが殆どせずそれが残念な点かも知れない。要するに秋葉原でブレークした缶入りラーメン(蒟蒻麺)のような風情なのだ。
スープは紛れもない動物魚介のダブルであるが、まず、添加されている魚粉の量が半端ではなくジャリジャリな状態だ。器の壁面に脂と共に析出して付着する魚粉の量は凄まじい。それでいて魚粉の風味だけかというと動物の濃厚エキスもかなり主張していてそういった点においてはどちらの素材も強く煮出されていると言えるだろう。粘性はそこそこ強いが今流行の濃厚系ほどではない。しかし麺との絡み、持ち上げは申し分ないほどの粘性と言えようか。次に、味付けが変わっていて、とにかくしょっぱくて味は濃いめ、そして甘いのである。甘みのあるスープと言えば東池袋大勝軒系のスープも甘いが、それを凌駕する図太い甘みが特徴となるのでその辺が好みの別れるところかも知れない。
別皿でサーブされたチャーシューはスープと同様に甘辛くて味が濃いがトロトロ加減が半端なく、文句なしに旨いチャーシューだ。これはここ暫く出会っていない絶品であって単品で販売してもかなり売れると見た。これはこのままつけ麺に浸して食べるのが惜しいほどの出来映えである。
汁椀には標準仕様のスープにデフォルトと思われるチャーシューが適量、小振りで固め、褐色で歯応えの良いメンマが少量(これはもうちょっと量が欲しい・・)、それとランチサービスの味玉が沈み、そして表面には多量の刻みネギが浮く。つけ麺スープとしてはシンプルな方だ。これに例のチュルチュル麺を浸して食した瞬間、魚粉の強烈な芳香とガツンとした動物系のコクが口内を襲う。暫くして喉を通って行く太麺のガッツリとした食感がなんとも言えず豪快でよろしい。
半量まで食べ進んだところで柚胡椒とおろしニンニクを加えるとがらりと風味が変わり、深みが増すのである。これならばニンニクは最初からスープに加えるか煮出す材料とすれば更なるコクが追求できる気がする。麺がなくなったところで先ほどから気になっていた絶品のチャーシューを「ある食べ方」で味わいたくなった。ワンコインをキャッシュで手渡して半ライスを頼んだのは言うまでもない。レンゲで掬ったご飯をスープに浸し、余らせておいたチャーシューを添えて口中に投下する。スープの甘みとチャーシューの旨味が絶妙なマリッジとなる至福の瞬間だ。こういう食べ方をするならばこのスープの過剰な甘みはなるほど納得できるのであった。
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