ここのところ公私ともに忙しく、音楽は聴いてはいるがなかなか気の効いたインプレッションが書けずにいる。なんだかここはB級グルメ専門サイトか? と誤解を被るような状況なのだが来週は幾つかシリーズものを書きたいと思う。
今日の土曜はそれ程暑くなかった。昼間は横浜駅の東口方面に用事があった。ちょっと遅い昼食はこの界隈では最も斬新なベイクォーターでとることに。
この店の本店は今は無き横濱カレミューにも出店していた時期があったが未食に終わった。このところ仕事の関係で九段下や神保町、小川町に行くことが多いのだが、こちらは神田小川町の名店(因みに意外に歴史は古くなく昭和63年創業という)の横浜への出店だ。本店は前を通るだけで勿論食べたことはないのだが(今度は食べようと思う・・)、このベイクォーターの店は実にライトでブライトな中規模店舗で帷子川の河口部に面したオープンテラスを擁するお洒落な空間だ。
店に着いたのは13時を回っていたせいか空いていた。先客は30代と思われるカップル一組だけ、我々二人が着席した直後には親子5人組が私たちのテーブルに程近いボックス席に陣取った。小さな子供が三人ということで結構喧しい。父親が大声を張り上げて指導を飛ばす。
ゆっくりとメニュー選びをしたかったので取り敢えず頼んだのはタンドリーフライドチキンという謎の単品。タンドリー×××という料理は普通はタンドリー窯の高温で蒸し焼きにした料理に冠される接頭辞だが、なぜかこのメニューは最終的にはフライドらしい。怪訝に思いつつ美味しいハートランドがあったのでそれも頼む。冷たいビールがサーブされると同時に出て来たのはどう見ても見覚えのある鶏の唐揚げだ。
一口頬張ってメニューのネーミングの意味が分かった。要するにタンドリーチキンに常用されるガラムマサラ的なミックススパイスを練り込んだ上で粉を叩いてから唐揚げにしたものなのだ。味はタンドリーチキン、調理法はフライというわけだ。これとともに供されたのは辛くて酸っぱいヴィンダール・ペースト(赤い色のペースト)だが、これがこの唐揚げに良く合うのだ。このインド風唐揚げはビールのみならずユニバーサルなお酒のお供として秀逸と思った。
私が頼んだのはインド風チキンカリー、家内の方はインド風野菜カリー。辛さは0〜70まで選べるという。通常の辛口に相当するのは3だとのとで、その助言に従い二人とも3で頼んだ。チキンカリーは滋味豊かな鶏もも肉が大量に入ったものでシンプルだがボリューム満点、野菜の方はブロッコリー、ニンジン、タマネギ、オクラなど季節野菜がふんだんに盛られた青みと風味が豊かなな逸品だ。尚、カリーには全てジャガ芋の付け合わせが付く。注文時に茹でジャが、または揚げジャガを選択できるが今回は二人とも茹でたジャガ芋にした。出て来たジャガ芋はコロコロとした美形の小型馬鈴薯でバターが添えられていた。
ご飯は十五穀ということで色んな雑穀が粒々に混ざったニワっとした食感およびパラっとした食感が両立したもので、尚かつ香りの良いもの。量的には男性には少ないかも知れないが女性にとってはちょっと多いかも知れないという微妙な設定量だ。
このカリー、全12種のスパイスを調合して野菜とともに長時間熟成したとあるが、これは典型的な北インドのカリーであり、私が日頃自宅で拵えているカリーと使用スパイス及びその配合比率が極めて似ているので非常に驚いた。私のスパイス調合は様々な試行錯誤と経験の末に収斂した独自調合なのだが、これと同じような境地に至っていた先達がいたとは驚異だし逆に尊敬の念を抱く。
感じられたスパイスは・・クミン、コリアンダー、クローブス、ターメリック、カルダモン、フェンネル、シナモン、黒胡椒、マスタードシードだ。これで9週類で、後三つは何かは判然としない。恐らく酸味系のハーブまたはタマリンド系が幾つか入っているかも知れない。割と強い苦みを感じたのでカカオ豆パウダーも入っているかも知れない。
とにかく安心して心の鎧を外して楽しめる洗練された北インドカリーだ。隙がない旨味とスパイシー・テイスト、それでいてワイルドなプレゼンスに溢れた絶品カリーだ。昨今こういった正攻法に出会ったのは久し振り。因みに、辛さ=3では殆ど辛味が感じられなかったので次回食べる時には是非とも二桁で行きたいところ。今後は機会あらば足繁く通いそうな予感を感じた店。名店と言って良い。
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