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2009年03月03日09:59

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【音楽】Mozart: Requiem@NH/CMW

RさんにはベームVPO以外にはこれをチャレンジャブルな選択肢として推薦した。2004年リリースのNH(Nikolaus Harnoncourt:ニコラウス・アーノンクール)指揮CMW(Concentus Musicus Wien:ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス)、ドイツ・ハルモニア・ムンディのSACDハイブリッド盤だ。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/1862967

・モーツァルト:レクエイムニ短調K.622[F.バイヤー版]

 クリスティーネ・シェーファー(ソプラノ)
 ベルナルダ・フィンク(アルト)
 クルト・シュトライト(テノール)
  ジェラルド・フィンレイ(バス)
 アルノルト・シェーンベルク合唱団
 [合唱指揮:エルヴィン・オルトナー]

 ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス
 指揮:ニコラウス・アーノンクール

昨日のベームVPOとは全く異なるアプローチで録られた、これまた名演と呼ぶにふさわしい渾身の演奏だ。

アーノンクールは私が敬愛するグスタフ・レオンハルトと共にバロックのオリジナル主義(=今で言うピリオド・アプローチ)に基づく古楽器の復権に大きく貢献した人物であって、現在のように古典派・ロマン派から近現代、更にはオペラといった多岐に渡るジャンルをこなせる音楽家ではないとの認識があって、個人的にはこれらバロック以降の作品演奏を忌避してきたきらいがあった。また、CMWも古楽アンサンブルから出発した小規模オケというイメージが払拭できずにいたのだが今や2管編成程度、即ちベートーヴェンやモーツァルトくらいまでなら単独でこなせるスケールを持つに至っている。

このモツレクは元々ある友人の所蔵であって、そちらのお宅で聴いて軽い脳震盪を起こすほど衝撃を受けた一枚だ。

NHが食指を伸ばして拡大してきたポスト・バロック路線とは明らかに異なった、つまりピリオド・アプローチへの先祖返りで取り組んだモツレクと言える。音の一粒一粒が際立って明晰で鮮度感が高く、そして小さな起伏をもったアーティクルを数多く塗り重ねていくやり方はバッハの管弦楽組曲などと類似の解釈なのだ。

高名なラクリモーサがモーツァルトのスケッチを元に書かれた作品か否かは今更議論しても仕方のないことだが、ここでの慟哭にも似た描き方は絶品で、確かにNHが述べているようにジュスマイヤーという一介の弟子が一人で組み上げたとは思われない傑作だと改めて気付かされる。

ラクリモーサに続くドミネ・イエス、ホスティアス、サンクトゥス、ベネディクトゥスと、これらの中核部分はベームVPOなどの絢爛豪華な大規模フルオケ版では味わえない近距離からの細密な描き込みだし、ただただスローに悲嘆を平面で捉えた解釈とは全然違う。小さな規模のアンサンブル様の疾駆感と胸を突かれるような深く激しい感動は昨今の演奏としては異例だ。

(録音評)
ドイツ・ハルモニア・ムンディ、82876587052、SACDハイブリッド。録音は2003年11月29日&30日、ウィーン、ムジークフェラインザール、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス創立50周年記念演奏会におけるライヴ・レコーディングとある。場所はベームVPOと同じ楽友協会大ホールだが、音質はまるで違って現代最高峰の解像度と音場空間の透明度、そして器楽配列のピンポイント定位を獲得している。音色は地味暗く色彩感は一切なく、ソリストたちの慟哭に似た歌声を冷徹に記録している。

手稿譜自動閲覧機能つきとあるが、これは、Windowsで音楽ファイルとして開かずデータファイルとして開く(つまりEXEファイルをダブルクリック)と画面に手書きスコアが表示され、かつ音楽も再生されるというもの。

CDレイヤーは高音が多少強調気味で、SACDレイヤーの方がそれはない。

フランスのハルモニア・ムンディは準大手として頑張っているが、ドイツのハルモニア・ムンディは今やBMGの一部門となった。ということはソニー・カンパニーと言うことであるが音質傾向はまるで異なる。尚、録音担当はテルデック・スタジオとOrf(オーストリア国営放送)のコラボレーションと記されている。

(あとがき)
結局天気がよいのは昨日だけで、今朝は夜明けからどんよりである。NH/CMWのレクイエムをiPod nanoで聴きながら出勤してきたのだが、この短調の曲想と車窓の外を流れる無彩色の景色とが奇妙にマッチしていた。

モツレクには幾つかの版があり、NHはバイヤー版というのを使っているのはHMVの解説にある通り。昨日のベームVPOは恐らくジュスマイヤー版だ。版の違いにより作風は随分と違って聞こえるのだろうが、それよりも解釈と演奏による違いの方が著しくてまるで別の曲同士を聴き比べているような2枚であった。この作品にはベームの速度で指揮すると見えてこないパッセージが数多く含まれていて今更ながら新しい発見をする。

(あとがきの追記)
今日は午後から大雪で明日の明け方までに関東南部でも積雪がある模様なので要注意と天気予報は喧しいが、現在の横浜(22:22)は降雨も降雪もなくちょっと穏やか。靄が掛かっているようだが自宅のPC机からはランドマークタワーがちゃんと目視できるのでそれ程ひどい湿度でもないだろう。

何も予報していなくてドカ雪になって交通機関が乱れて顰蹙を買うより「降るぞ!降るぞ!」と脅しておいて何事もなければそれで良し、という精神なのかも知れないが大袈裟に告知するのも如何なものかと思う。北陸出身者としては雪は降らないに越したことはないわけだが、こちら関東の土着の人は60〜70歳になったって雪は恋しいものらしい。なので毎回のように降ると叫んでは期待を裏切るのは考えものだとも思う。

明日の夕刻は外出なのだが、帰りが遅くなるとこういった天候はやはり気になる。まぁ、なるようにしかならないのだが・・。

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