お気に入りMIRAREの新譜からボリス・ベレゾフスキー/パリ室内管弦楽団によるショパンのPコン。ボリス・ベレゾフスキーという同姓同名のロシア事業家がいるが、このCDで弾いている人物はそれとは別人だ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2667931
Chopin: Piano Concerto No.1, No.2
Boris Berezovsky(P)
John Nelson(Cond), Ensemble Orchestral de Paris
La Folle Journee au Japonにもたびたび登場するロシアの気鋭ヴィルトォーゾ、ベレゾフスキーが弾く華麗なPコンだ。その甘いマスクからか日本のご婦人方の間でも静かなブームのようだ。バックのパリ室内管弦楽団は半民半官で運営される比較的新しい楽団だ。
この人、予想したよりも豪腕をならすピアニストではなかったが、確かに技巧的には素晴らしいものがある。ロマンティックな弾き方でもなく、求道的というか、殆どアゴーギクを使わず直進性の強い解釈が主体で歯切れは良い。
ショパンもリストも殊更ピアノ曲に特徴を見せた作曲家であったが、なぜか二人ともPソナタはそれぞれ3曲、1曲、Pコンに関しては2曲しか書いておらず、それも名曲中の名曲に数えられるだけに演奏機会も録音機会も多い。
そんななか、これはなかなかにフレッシュなアルバムと言って良いだろう。ネルソン/EOPの演奏はデュナーミクに富んだダイナミックで若々しいもので、ちょっと荒れた弦と統制を半ば無視して咆哮するホーン・セクションはライブ的な趣である。名門オケの洗練された霞たなびく老獪な演奏スタイルとは無縁だ。
それをバックにショパン特有のメロディアスな旋律を弾くベレゾフスキーはオケとは対照的に大人しくて少々抑制が効きすぎという感もある。もうちょっと音量を出してデュナーミクを盛り立ててもいい気がするが、この冷静さがこの人の持ち味なのかもしれない。硬軟を鮮やかに使い分けるアンスネスとどことなく比較してしまっている聴き方が良くないのかもしれないが。しかし、パッセージをことごとく精密な運指でもって超高速に弾き抜けていく様は爽快だ。
(録音評)
MIRAREレーベル MIR047、通常CD。笑ってしまうほど楽器が見える。ざらついた弦が更にザラザラに、ちょっとバラバラにまとまりを欠くオケの粗をこれでもかと言うほどに抉り出している。
極めて高S/Nの背景音場はとても深く、音像はキリリと締まってディテールの解像度は生半可なものではない。そしてこのホールの残響の消え入り際の美しさが非常に印象的。
パースペクティブとしてはホール客席の最前列から7〜10列目位から聴いている雰囲気であり、スタインウェイが鋼が弾けるように生々しい音を出している姿もはっきりと映し込まれている。久々に目が覚めるほどのリアリスティックな収録だ。
いよいよDP-85がその威力を発揮し始めたと言える最初の未体験ゾーンであった。1トラックから最後のトラックまで、何かに吸い込まれるように一気に聴かされてしまった。MIRAREの録音は恐るべしである。
※今晩は外出のため明日の音楽日記はお休み
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