BISの新譜でSACDハイブリッド、ヴァンスカが振るベートーヴェンの1番と田園だ。HMVの店頭に密やかに置いてあるのを見つけたときには小躍りした。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2665191
ベートーヴェン:
・交響曲第6番ヘ長調 Op.68『田園』
・交響曲第1番ハ長調 Op.21
ミネソタ管弦楽団
オスモ・ヴァンスカ(指揮)
ヴァンスカ/ミネソタ管は今までかなりの録音をBISレーベルに残してきたが、2006年リリースのベト9合唱はグラミー賞・交響曲部門にノミネートされた快挙は記憶に新しい。残念ながらこのときは受賞は逃したのだが。
さてさて今回の1番と6番だが、どんな出来映えか・・。1番は割と単調で軽く流す解釈が主流かと思われるが、ヴァンスカは精一杯飛び跳ねて元気いっぱいのリードをしている。コンサートにおいても前座の定番と化しているのであるが、簡明で程よい長さのこの曲は爽やかにして闊達な名曲なのであった。
で、問題の田園だが、ここへ来てヴァンスカ節が一気に炸裂である。随所に仕掛けた特異なスタッカートと全体を通してのマルカート奏法で隈取り深くまとめるなかなか変な田園、いや、ポップな田園なのだ。4楽章のやるせない第一主題で使われるポルタメントすら階段状のスタッカートが効いているなんて聴いたことがない。また5楽章は割と歩が速いがリズム取りが明晰なためか急いでいる感じはしない。エネルギーに満ち溢れ、それでいて冷涼で爽快感満点の新解釈はヴァンスカらしいといえばらしいのだ。この際、シベリウス的な解釈だ、などと無粋なことは言わない約束だ。
田園はベートーヴェンの交響曲の中では唯一の表題音楽にして5楽章形式。ベートーヴェンがハイリゲンシュタットの里山や畑の一本道、小川の畔の小径をスキップしながら散歩している、なんて言う光景が目に浮かんだりして笑った。
賛否は分かれ、ま、嫌いな人は嫌いだろう。個人的にはこの前衛的な解釈には快哉を送る。伝統的な巨匠たちが身上としてきた流麗かつ華麗な光沢を伴った滑らかな叙情解釈を一刀両断にぶった切る潔さが痛快だ。個人的にはナンバーワン・パストラル。
(録音評)
スウェーデンBISレーベル、BISSA1716、SACDハイブリッド。音質は極めて優秀であり各パート、残響とも巧妙なバランスにして最高度のレゾリューションである。
弦の器楽配列が奇妙で、ステージに向かって左から時計回りに、1stVn、Vc、Cb、2ndVn、Vaという並びだ。Cbがど真ん中に定位するのも奇妙だが、この千鳥配列だと随所で音がバラバラに分解されて飛散する。
非常に良い音質と器楽配列が相俟って、まさに楽器が一台一台見える録音だ。ステージの奥行きも非常に深いし残響も極めて美しく捉えられている。CDレイヤーはSACDレイヤーと音質的に殆ど変わらないが、臨場感が僅かに後退し、CbなどのアタックやHrのビームが太くなる傾向だ。
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