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2006年12月06日09:49

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【音楽】SL聴き比べ:Brahms: Ballades Op.10

20世紀を代表する二人の聴き比べだ。因みに二人とも既に故人である。

ブラームス: 4つのバラード作品10から第1番ニ短調

ピアノ: ギレリス、ミケランジェリ

バラードとは本来は中世ヨーロッパの古い詩の一形式を言うのだが、歌曲や歌謡曲、ジャズのジャンルとしても確立されている。和名では譚詩曲と書くがあまり一般的ではない。

また、器楽曲におけるバラードはショパンが最初に作ったものとされている。彼のピアノ作品は中世ヨーロッパの歴史を唱った詩歌にインスパイアされて書かれたものとされており、その点ではヨーロッパ民族舞曲から暗示を受けたとされるマズルカやポーランド民謡から派生したポロネーズと似ていると言える。

バラードはショパンのあとにリスト、また今回取り上げるブラームスなどが有名だが、ピアノ教則本であるブルグミューラーに収録されている短いバラード(ハ短調)はピアノ初心者の間では有名かも知れない。

さて、本題。この4分余りの暗鬱なバラードは、A-B-A(a-a'-b-b'-aの再現部)という形をしている。a'は第二主題っぽくおり、短いながら一応はソナタ形式、即ちソナチネと言って良い。

A-B-Aは暗-明-暗また緩-急-緩の体裁をとる。主題提示のA部は付点4分音符の緩やかなシンコペーションではじまる。長調への転調しただに主題のa'部を持つものの、基本は暗く憂鬱な短調で深い闇を暗示している様だ。B部は転じて長調となってA部の展開部を成し、闇に差し込む明るい陽光と飛翔を思わせる。しかしそれもつかの間、短調の展開部であるb'を経由して、短めの再現部aへと戻っていき、短いコーダの後、こときれるように静かに曲は閉じる。

ギレリスの解釈は暗く、しかもひたすら重い。元々正確でソリッドなピアニズムが売りであるギレリスの真骨頂と言える、どうしようもなく絶望的なバラードだ。展開部のB部についてもA部のテンポを忠実に継承し重々しく荘厳に弾いている。

対するミケランジェリは淡々とした解釈であり、必要以上に深刻には弾いていない。A部は割と強いタッチで始めるが運指は軽やかだ。B部はアチェレランドを効かせて軽快に弾き抜けておりまさに飛翔するかの如くの爽快感を漂わせている。最後のaの再現部はスタッカートを交えて更に軽やかに、何かを諦念したかのさっぱりとした終わり方だ。
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