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2006年12月05日09:54

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【音楽】SL聴き比べ:Schumann: Kreisleriana op.16

今日もシューマンの曲。結構大規模な曲で、主題性の無いピアノ組曲とでも形容すべき作品だ。

シューマン: クライスレリアーナ
Schumann:  Kreisleriana op.16

ピアノ: 内田光子、ホロヴィッツ

以下、某Webから解説を引用させてもらう。
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曲名のKreislerianaとは、ホフマンの音楽評論集の題名、またそこに登場する”楽長クライスラー”から取ったとされる。シューマンは自分より年長のホフマンを敬愛していて、成就出来ない恋愛を描いた彼の小説と、自身と恋人クララとの恋愛を重ねていたようだ。この作品が書かれたのは周囲からクララとの結婚に反対され悩んでいた時期であり、作曲活動が唯一の慰めとも言えるこの時代にはピアノ曲の佳作が多く書かれた。

一つの共通主題を基に、これを展開して作品集に収斂させていく独特のスタイルはシューマンお得意のパターンだが、この作品はソナタでも変奏曲でも小曲集でもなく、各曲それぞれの固有表現が自ずと統一的調和へと辿り着くという素晴らしい作品だ。
 割と単純な和声進行がリズムを変えたり意外な展開が施されたりして、曲想は徐々に大胆に拡張されていく。情熱的ではあるが決して感傷には浸らず、リリカルな情念が実に躍動的に描かれていく。

第1曲 Agitatissimo ニ短調
3連符の分散和音がアクセントを伴って激しく駆け回る主部と、幾分穏やかな中間部からなる。

第2曲 Con molta espressione,non troppo presto 変ロ長調
田園風の音楽。全く違う曲想の2つのインテルメッツォが挿入されている。なお、初版と第2版では形式的に大きく体裁が異なる。

第3曲 Molto agitato ト短調 
拍節構造が明確な、3連符を含む鋭いリズムが上昇したり下降したりする。中間部では、対してレガートな山型を描く。

第4曲 Lento assai 変ロ長調
間奏曲風のゆったりした音楽。

第5曲 Vivace assai ト短調
前半4小節のモティーフから発展した鋭い付点リズムが対位法によって何回も覆いかぶさり、緊張感が増す。その音型がやがて大きな山型を描き、白熱する。中間部も情熱的な問いかけと答えのようなパッセージが繰り広げられ、1つのクライマックスを成す。

第6曲 Lento assai 変ロ長調
深く瞑想するような主題が内声部に歌われる。連符を含む鋭いリズムで音階の上下を繰り返す様は、何かを訴えているようである。中間部は静かな盛り上がりを見せるが、冒頭の主題の再現のあと、すぐに終わる。

第7曲 Molto presto ハ短調
激しいアクセントを持つ、アルペッジョの下降音型が繰り返される。中間部は、フガートにより開始されるが長くは続かず、主部の熱狂へ戻される。その後フィナーレへの、印象的な橋渡しの部分が続く。

第8曲 Vivace e scherzando ト短調
シューマンは、曲集を諧謔的な音楽で結んだ。途中に執拗に同一リズムの反復される部分があり、盛り上がるが、初めの主題が戻り、静かに全曲は閉じられる。なお。この主題は後に、自身の交響曲第1番「春」へ転用されている。


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内田光子の解釈は例に漏れず深く内省的であり非常に洗練度の高いものである。対するホロヴィッツは、これまた例に漏れず時に荒く時に抑揚を激しく付けた怒涛の解釈である。

この全八曲で構成される作品は、どの曲も心象を深く抉ったり内的な苦悩を描いたりと、いすれも高い精神性を内包するものであるが、その中にあって白眉は第6〜7曲目であろう。

第6曲だが、内田は5分以上を掛けて実に丹念にシューマンの心の襞を描いている様だ。内省的で瞑想的な素晴らしい解釈で、息を呑むほど均整の取れたピアノの音が鮮烈だ。これに対しホロヴィッツはなんと3分少々で弾ききっている。ちょっとパッセージが速すぎるきらいがあるし、表現もサラリとし過ぎ、やっつけ仕事という感じだ。

第7曲は両者ともほぼ同じ演奏時間を掛けているが、中身が違う。内田は最初から最後までプレストを突き通しているが、ホロヴィッツはある時はプレスト、ある時はプレスティッシモまで一気に加速したかと思うと急にヴィヴァーチェ程度まで減速したりと、時間軸の揺らぎ(=アゴーギク)が激しく、時に咳き込むような旋律の詰まりを感じる(=恐らく彼一流の演出だろうが)。内田のモルト・プレストは端正で正統的な演奏でありながら、その実、ホロヴィッツよりも劇的で求道的、そして沸き立つような熱い感動を呼ぶ。
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