今日はブーレーズのマーラー・チクルス中盤戦から一枚。
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マーラー 交響曲 第5番 嬰ハ短調
ピエール・ブーレーズ指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
発売: 2002/9/25
完成は1902年とされ、マーラーがウィーンに在住した時代の絶頂期の作品。2番〜4番までが角笛三部作と呼ばれて声楽付きであるのに対して5番〜7番は純粋なオーケストラのみの曲である。
それ程多くはない主題が各楽章へ対位法を用いた複雑な変奏を伴って継承されていく、楽章ごとに完結ぜず、全体を通して開かれた形式の大規模曲である。互いの楽章に暗黙の関連づけがされているマーラーの交響曲の特徴がより鮮明に具現されたものであって後の作品の原型となるものである。
曲は暗→明→暗→明→暗と続く5楽章形式である。この中で4楽章アダージェットはハープと弦楽器による大変美しい旋律が印象的で、ルキノヴィスコンティ監督作品・映画「ベニスに死す」の劇中で使われたことはつとに有名。耽美で叙情的な音世界に身を委ねたいところで、ここは必聴ものだ。
声楽が使われないことは前述の通りだが、随所で弦セクションによるざわめくような素早い回音が伴奏として現れて、あたかもコーラスが背後にあるかの如くの絶妙な音響効果をあげている。特に第一楽章・葬送行進曲の重層的で陰鬱な短調旋律のバックでさざめく回音は恐怖心を煽るものであり、他のどの作品にも見られない演出効果である。
(録音評)
1996年3月、ウィーンの楽友協会大ホールでのデジタル録音。この盤は国内版のグラモフォンNEW SUPER BEST 101というシリーズに属するもので、4D Audio Recordingのクレジットがある。
トーンマイスターはブーレーズ盤の常連Rainer Maillardで、例によってブリリアントで写実的な録音なのだが、何故かこの5番に関してはステージの引きが少なく奥行き感が不足している。また、楽器の定位も4Dを駆使したとは思われない割とソフトフォーカスのもので、金管の炸裂は荒々しいビームが無指向性で嵐のように吹きすさぶ。
いつものマイラートの4Dとは雰囲気が違う。4Dとあるが、実は4Dのマルチマイク録音ではなくデッカツリー+αでの収録ではなかろうか、との疑念があり、本国Universal Classicsのサイトを見たが、やはり4Dではなく普通のデジタル録音とのクレジットであった。
ユニバーサルの日本側に言いたいのだが、何でもかんでも4D Audio Recordingのクレジット入れるのは止めて欲しい。聴く人間が聴けば嘘はバレるのだ。
写真左: 国内盤で、NEW SUPER BEST 101に選ばれたあとのもの
写真中: 現行のユーロ盤
写真右: 国内盤で、BEST 101に入る前のもの
写真(中)と(右)のジャケットの右上に着目。ユーロ盤は「DIGITAL RECORDING」とあるが、国内盤は同じ箇所を4D AUDIOと書き換えているのだ。
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