ずっと前に買って積み上げているだけだったこれを聴いた。アマゾン掲載のは国内版らしいが、手許にあるのは紙ジャケットのユーロ輸入盤だ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000BDJ3UO
作曲: ブラームス
指揮: ラトル(サイモン)
演奏: ツィマーマン(クリスティアン), ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
ブラのPコン1は割と単調で飽きが来るのだがラトルBPOの牽引がさり気なく巧みで、これはこれでなかなかに楽しめる。この曲の場合、一般には華美で艶やかな演奏が多い中、地味暗さでは最右翼ではないだろうか。ショパンやベートーヴェン、チャイコのPコンのようにピアノが獅子奮迅の活躍をするような絢爛豪華な曲ではないが、随所でツィマーマンの巧さと、そして年功の入った落ち着きを感じる一枚。
ツィマーマンがまだ若い頃に在りし日のバーンスタインと同曲を吹き込んでいるが、それとはまるで逆の出来映えで、落ち着いたピアニズムの背景を蒼白くクールなラトルBPOが精密に旋律を刻んでいく。時折ラトルの色彩感に合わせるかのようにツィマーマンのカデンツァが色温度を上げて(即ち青く暗く)冴え渡る。このツィマーマンの楽想であればBPOかCSOしかあり得ない、と、通しで聴いてから思わず納得した。
弦は両翼配置で、VaとVcを中央に左右にVnを振っている。第一と第二Vnが別の旋律を弾くパートは左右が掛け合いとなるので面白い。そしてその中央にピアノがあるという構図。
全体として演奏には派手さはなく仄暗い。いかにも憂鬱なブラームスの心象を描いた真骨頂というべき出来だ。ツィマーマンのピアノもどこか陰影を漂わせている。BPOのタイトでクールな音色&演奏はいつも通りだ。肩を怒らせて目を剥いて聴くのではなく、リラックスし、緩慢な時間を過ごしながら聴きたい佳作だ。
(録音評)
2003年のDGの録音。4Dのクレジットはないが、どうも聴く限りは4Dもしくはそれに準じたマルチマイク録音だ。トーンマイスターはUlrich Vette、収録場所はBerlin Scoring Stageとあるから、広大なスタジオ録りということだ。
DGなのになぜにラトルが? EMIから特別にレンタルしての録音らしくDGの気合いを感じる。ジャケット裏に「Sir Simon Rattle appears by kind permission of EMI Classics.」と、ちゃんと断りを入れているありが王者DGの風格である。
音質だが、ダフクロ@ミュンフンに通ずる、地味でなにげに空間感に優れた秀逸なもの。DG特有の絢爛豪華さはないが曲風に妙にマッチした落ち着いた収録である。
特筆すべきは低域のレスポンスである。コントラバスとティンパニがこれほど美しく録られた録音はなかなか見当たらない。
対するピアノだが、ちょっとくすんだヴィンテージ・スタインウェイという感じの古風な調律であり、過度なブリリアンスを削ぎ落とした重厚なサウンドだ。
オーディオ的にもお勧めできる一枚と言える。
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