mixiユーザー(id:3696997)

2006年09月07日10:50

146 view

【音楽】バルトーク:マンダリン/弦チェレ@ブーレーズCSO 2

昨日の続きで、有名な「弦チェレ」だ。

チェレスタが曲名に入ってはいるが、聴いてみると控えめなモチーフとして登場するチェレスタよりもピアノやハープの方が目立って活躍する不思議な曲だ。尚、管楽器はフィーチャーされていない。器楽編成は非常に変わっていて、弦(Vn、Va、Vc、Cb、Hrp)、打楽器(Mar、S.Dr、Dr、Cym、Tom、B.Dr、Timp、Celst)、ピアノとなる。

配列は、中央の指揮者を境に5部弦セクションを左右に両翼配置、中央にピアノ、ハープ、チェレスタ、後ろにその他の太鼓を拡げるのがバルトークの指示だが(スコアに明記されているらしい)、この録音ではハープは最右翼に配されている。後は概ね指示通りに思われるがチェレスタは少し右寄りから聞こえる。

バルトークと親しかったパウル・ザッハーが手兵バーゼル室内管弦楽団創立10周年記念として作曲を依頼、1936年9月7日完成とされる。

世界初演は1937年1月21日に委嘱者のザッハー指揮バーゼル室内管弦楽団。日本初演は1939年5月10日にヨーゼフ・ローゼンシュトック指揮の新交響楽団(アマオケの新響ではなく、現在の新日本フィルの前身)。


ライナーノートから抜粋で曲の紹介:

曲は緩(Andante tranquillo)、急(Allegro)、緩(Adagio)、急(Allegro molto)の4楽章形式。第一楽章冒頭の主題が変形されて各楽章に用いられる。

第一楽章は、拍子の定まらない変則的なフーガ形式。ミュートつきのヴィオラの半音階的な主題から始まる。続いて、完全5度ずつ上で主題が登場する。次に完全5度下(通常のフーガなら完全4度下)に主題が登場し、弦楽器群は次第に音域を扇のように広げていく。ティンパニの連打、続いてB.Dr(グランカッサ)が鳴って変ホ音のクライマクスに到達、次第に収縮し、そして開始と同じイ音で静かに閉じる。

第二楽章は、対向配置を生かしたアレグロで、弦楽器のステレオ効果の掛け合いが特徴的。ときにピアノや弦楽器も打楽器的(バルトーク・ピッツィカート)に用いられる。二つの主題を持つソナタ形式。

第三楽章は、バルトークの「夜の歌」の好例で、ティンパニのグリッサンドや木琴の即興的な音形が印象的。ABCBA のアーチ形式で、各部の経過に第一楽章主題が効果的に用いられる。

最終楽章は舞曲風アレグロ。後半はチェロのカデンツァ風ソロを経て、テンポがめまぐるしく変わる中、熱狂的に閉じる。

作曲技法・技巧的な秘密については日フィルの楽団員が書いているこれ http://www.japanphil-21.com/kikidokoro/kotaku/bartok_gencele.htm が面白い。

各楽章とも7分少々、足して約30分という演奏だが、どこでも息が抜けない緊迫した音楽である。1〜2楽章は純粋な抽象音楽といって良いと思われるが3〜4楽章はハンガリー色が強い(行ったことないので何とも言えないが・・)とされ、なるほど叙情的でやるせない旋律が断片的に現れる。ブーレーズはこういうのを振らせたらピカイチだ。感傷に走らずちょっと冷たく突き放したような尖鋭な捌き方をするのだが、それが堪らない魅力の録音と言える。

(録音評)
1994/12、Orchestra Hall, Chicagoでの収録とある。DG4D録音、トーンマイスターはRainer Maillardであり、彼がブーレーズを録る時の典型的な器楽配置がここでも再現されている。

マンダリンの方は非常に奥行き感のあるライブで明るいステージを構築し、煌びやかな管楽器のビームが心地よくリスナーに届くように設計された音場である。ストコフスキー配置の弦の重層は文句なく超一流の美音と厚みを明るい残響を伴って再現している。

弦チェレは一転してブラスセクションが無い地味な構成なのだが、こちらはちょっとデッドな暗黒のステージを構築。チェレスタの澄んだ音色が漆黒の闇に溶け込んで消えゆく様が美しい。恐ろしいS/N感である。ピアノが出しゃばることなく打楽器の一部として活躍するがオフ気味に引いたところでくっきりと定位している。両翼配置の弦は掛け合いを為し、まさにステレオフォニックのためにある曲だと思い知らされる。

両者は音質的に違いはあるが、どちらも超ハイファイな仕上がりであり、ブーレーズ録音の中でも際立った名録音の一つに数えて良い。最新のマーラー録音チクルスと比較しても遜色が無いどころか凌駕している美点が幾つか見つかるのである。

(了)
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2006年09月>
日 月 火 水 木 金 土
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930