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2026年10月28日07:36

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カレン・ハオ『Empire of AI』(東洋経済)を読みました

カレン・ハオ『Empire of AI』(東洋経済)を読みました。
著者は、作家、ジャーナリストであり、オープンAIを詳細に取材した初めてのジャーナリストとされています。本書は、したがって、オープンAIのサム・アルトマンCEOの解任劇から始まります。このあたり、オープンAIが非営利法人なのか、営利を追求する株式会社なのか、といったせめぎあいは広く報じられている通りかと思います。
本書は、オープンAIとサム・アルトマンCEOに関するノンフィクションのドキュメンタリーとなっています。繰返しになりますが、アルトマンCEOの解任劇から始めて、極めて素朴、というか、ユートピア的な理想から始められたオープンAIが、いかにして巨大なAI競争に巻き込まれていったのかを解き明かそうと試みています。
経営陣の秘密主義、AIとデータセンターの環境負荷などをキーワードとして読み解くことができるかと思います。私が聞き及んでいる範囲では、話題になった『監視資本主義』の著者であるズボフ教授やノーベル賞エコノミストのアセモグル教授などから絶賛されているようで、ご両人ともAIに対して批判的な視点を持つ有識者だという気がします。その理由は本書がそもそもAIに対して批判的な見方をしているためであると考えられます。
ただし、本来ジャーナリストとは、こういった世間一般の見方に対して批判的な議論を展開するのが重要な役割のひとつであり、日本のジャーナリストのようにある種の権威や権力からの情報を無批判に垂れ流すのは、ジャーナリズムの本来の姿ではない、というべきかもしれません。目を国内に転じると、というか何というか、AI開発が大きく遅れている日本では、AI開発の内幕に関する興味から読まれているような気すらします。
本書がAI開発に批判的な視点としては、データセンターにおける膨大な土地や電力や水への需要に言及し、アフリカや南米でのデータラベリングに低賃金労働を搾取し、開発や利益追求のために安全性が後回しにされている、といったものが上げられます。取材の結果だろうと受け止めていますが、AIに関する「マンハッタン計画」なんていい方がされたり、決してポジな評価だけではない点が伺えます。
ただ、エピローグでは少数言語を復興させる取組みなども紹介されていて、AIの開発ストップといった過激な方向性が打ち出されているわけではなく、あくまで、日本でも「xxとハサミは使いよう」という言葉があるように、人類にとって可能性を広げてくれるツールとして評価をしている印象を私は持ちました。
私自身は今夏に執筆した紀要論文でAI開発には規制が必要、という考えを明らかにしましたが、昨今では、おそらくAIを使ったであろう情報流出事案が続出していることも事実ですし、「AIの暴走」だけをうまくコントロールした上で開発を進める、というのは何とも難易度が高いと感じています。
遠からず、人類がどんな規制をしたところで、AIがその人類の規制をすり抜ける可能性が高まります。そうならないうちに何らかのAI開発規制が必要です。本書を読んで、その考えが強まりました。

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