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2026年07月16日07:27

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ロス・トーマス『悪党たちのシチュー』(新潮文庫)を読みました

ロス・トーマス『悪党たちのシチュー』(新潮文庫)を読みました。
著者は、米国の小説家であり、すでに30年以上も前の1995年に亡くなっています。
本書の英語の原題は Missionary Stew であり、1983年の出版です。ただし、40年余りを経過して本邦初訳だそうです。
表紙画像はよくできていて、主人公は2人いると考えてよさそうです。政治家の資金調達係として暗躍し、まあ、政界のフィクサーともいえるドレイパー・ヘイル、それに、パリ生まれの米国人ジャーナリストであるモルガン・シトロンです。
小説の舞台は、基本的に、米国のカリフォルニアです。出版が1983年ですから、米国大統領はカリフォルニア州知事からホワイトハウス入りしたレーガン大統領です。私は1983年にはすでに大学を卒業して働いていましたので、そのあたりは頭に入っています。こういった時代背景を持って読むとヨサゲな気がします。
シトロンはアフリカの独裁国家の政治囚として投獄されていましたが、釈放されて米国に戻ります。戻った米国でシトロンはヘールに雇われて、現政権のスキャンダル情報、すなわち、中米トゥカモンドでCIAだか、FBIだかの麻薬取引を巡るスキャンダル情報を入手するために、2人で渡航します。でも、実際に渡航するのは邦訳書のページ数で計測したボリュームでいえば最後の30%くらいだったりします。ですから、ストーリーの大部分は米国内での出来事で占められています。
この主人公の男性2人をめぐる女性陣もとってもユニークです。シトロンの母親のグラディスは米国人ですが、フランスがナチス・ドイツに屈服した時代にパリにいて、フランス人陸軍中尉との間にモルガンをもうけるわけです。しかも、その時期のフランスでは反ナチスのパルチザンに参加し、今は米国に戻って裏社会にも大いに通じています。シトロンの恋人はチーズと同じ名を持つヴェルヴィータであり、やや天然のところがある女性で、虚言癖があったりします。父親は元麻薬王でしたから大金持ちの一家です。また、カリフォルニア州の次期知事の夫人がヘールと懇ろな仲だったりします。
1950-60年代のハードボイルド小説とはまた違うドタバタですが、麻薬や中米のわけのわからない独裁国家、それに、米国の政府機関であるハズのCIAやFBIが関係し、政治家や裏社会の麻薬王なんかが暗躍する、というまさにごった煮のシチューのようなストーリーで、それなりに楽しい本だという気がします。

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