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2026年01月26日08:57

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萩原伸次郎[監修]「米国経済白書 2025」(蒼天社)を読みました。

萩原伸次郎[監修]「米国経済白書 2025」(蒼天社)を読みました。
著者は、米国大統領経済諮問委員会であり、萩原教授が組織する翻訳研究会が邦訳をしています。その研究会の一員が我が同僚の立命館大学経済学部教授であり、昨年版の「米国経済白書 2024」の研究会が立命館大学で開催された際には、私も出席していたりします。
国立情報学研究所のCiNiiで見る限り、「米国経済白書」が現在の形で邦訳され、蒼天社から出版されるようになったのは2014年からのようです。私の記憶が正しければ、私が役所に入った1980年代前半くらいは経済企画庁で邦訳を担当していたと思います。ただし、私がその邦訳の担当課であった経済企画庁調査局海外調査課に異動した1990年ころにはもう邦訳はしていませんでした。
英語の原題は Economic Report of the President 2025であり、米国政府刊行物ですので、日本の政府白書などと同じように、全文がpdfでダウンロードできます。ただ、この2025年版は出版が昨年2025年1月9日、すなわち、トランプ大統領就任直前のバイデン前大統領の政権末期となります。
ですので、バイデン大統領の4年間の施政を総括する分析の第1章に始まって、第2章ではリモートワーク、第3章では国際租税システム、第4章では医療保険、第5章ではカーボンニュートラル、第6章では国際資本移動、最後の第7章ではK-12の初等中等教育、についてそれぞれ経済分析を試みています。バイデン政権期を対象にしていますから、当然ながら、4年間の前半はコロナのパンデミック期と重なります。
第2章のリモートワークや第4章の医療保険などはコロナ期の分析も含まれています。ですので、リモートワークは地域的な労働需給のミスマッチの程度を軽減する一方で、リモートワーク可能な労働者は元々が高所得を得ており、リモートワークがそれ自体として格差の拡大の縮小につながるものではない、という指摘はもっともです。
第3章のグローバル化とともにデジタル化も大きく進んだ国際社会の課税を考える必要性も、現在のトランプ政権のような米国の利益一辺倒ではない考えが示されています。第4章の医療システムや第5章のカーボンニュートラルなんかは、現在のトランプ政権はバイデン-ハリス政権とは方向性が大きく違うのだろう、ということは広く報じられている通りだと思います。第6章の国際公共財の提供についても、米国ファーストではない視点が示されています。最終章でも、高等教育だけではなく初等中等教育を重視する視点が示されています。
最後に、2点だけ指摘しておくと、元が英文ですので、いわゆるabbreviationが頻出します。Inflation Reduction Act=IRAなんて、一般にはそれほど広く認識されていませんし、American Rescue Plan Act=ARPもご同様です。3人の邦訳者は何年かご担当になって慣れ親しんでいるのかもしれませんが、邦訳版にはabbreviation一覧のようなものをオマケで付けていただくわけには行かないものでしょうか。世銀などの国際機関のリポートなんかではよく見かけるので、そう難しくはないと思います。
第2に、通常このリポートは毎年1月中には公表されますが、今年2026年はまだです。トランプ政権になってから大きく経済政策が転換されたのは広く認識されている通りです。どのような分析が登場するか、怖いようでもありますが、エコノミストとして興味はあります。

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