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2026年01月17日09:02

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瀬尾まいこ『夏が君を走らせる』(新潮文庫)を読みました。

瀬尾まいこ『夏が君を走らせる』(新潮文庫)を読みました。
作者は人気の小説家であり、その作者の三部作といわれる作品のうちのひとつです。一応、本書は『あと少し、もう少し』の後日譚で、三部作残りの作品はスピンオフともいえる『その扉をたたく音』だそうで、私は未読ながら、『あと少し、もう少し』からつながりがあるらしいです。本書『夏が君を走らせる』は『あと少し、もう少し』で駅伝を走った大田くんが主人公であり、陸上部の上原先生も登場します。
市野中学校3年生で駅伝を走った大田くんは、なかなか勉強がはかどらずに、白羽ケ丘高校というやや荒れた高校に入学し、陸上部に入部したものの続かず、金髪にピアスで眉毛をそって目つきも悪く、2年生になっても学校に行かず喫煙したりして、いわゆる不良に戻っています。そこに中武先輩からバイトの誘いがあり、夏休みのうちのひと月の間1歳10か月になる先輩の子どもである鈴香の面倒を見ることになります。第2子出産予定の先輩の奥さんが切迫流産のおそれがあり、緊急入院することになったからです。
母親と別れて最初は泣いてばかりで、ごはんも食べなかった鈴香ですが、だんだんと大田くんに慣れ、公園でほかの子どもとも機嫌よく遊ぶようになります。大田くんも積み木を買ってやったり、絵本を読み聞かせしたりして、潜在的な人間力の高さがうかがわれます。最後の方では、お約束のように、上原先生と市野中学校の陸上部の生徒も登場し、大田くんと3000メートルのタイムトライアルをしたりします。
相変わらず、まったく悪人が登場しない瀬尾作品で、それだけに、やや底が浅い気がしないでもありません。例えば、公園のママ友の中に意地悪な女性、あるいは、大田くんの人相風体を怪しむ女性がいてもおかしくありませんが、そうはなっていません。でも、たとえ底が浅くとも、逆に、安心できる読書です。三部作残りの『その扉をたたく音』も機会があれば読みたいと思います。

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