チャイ4は以前にバーンスタインのものを取り上げた。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=149977578&owner_id=3696997
曲の概要やその他の名盤についてはこちらに書いてあるので今日はグダグダとは書かない。
で、ここに来て、たまたま買ったチャイ4でちょっと気に留めた演奏があったので紹介。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000A8AXQI/503-2416567-2696701?v=glance&n=561956&s=classical
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 Op.36
チャイコフスキー:「イタリア奇想曲」Op.45
ダニエレ・ガッティ(指揮)、ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
従来のどのチャイ4よりもロマンティックではないドライで冷涼な解釈、演奏である。このクソ暑い時期に一服の清涼剤と言えるかも知れない。
譜面の速度記号以外のルバートが介在しない、譜面の強弱記号以外のデュナーミクが介在しない、というストレートかつピュア・テーストなチャイ4なのだ。
一楽章のファンファーレから緊迫のパッセージの連続、それも遊びが一切無い。とにかくテンポが速いのだ。実際に演奏時間を見ても相当速い部類に入るだろう。緩徐楽章はそれなりに遅いのだが緩徐部と緩徐部の間をつなぐ展開部はアチェレランドで掛ける蹴るように密着して短い(というか素早く移動、という感じ)。
最終楽章のfff炸裂からもう既にアクセル全開で飛ばしている。パラグラフの終わりの「ドン!」は通常だと余韻を引きながら十分な間合いを、無音のフェルマータを使って表現するのだが、ガッティのこれは非常に短いドン!である。ほんの僅かな無音域に続いてすぐに咳き込むように次の主題を奏で始めるという具合に、肩の力を抜く瞬間が最後の最後までやってこないのである。
各パートがこれほど速いパッセージを要求されているにも拘わらず演奏上の安定感は素晴らしく、シンセサイザーで刻んでいるのではないかと思われるほどテンポは一定している。
これはエモーショナルな情感表現を一切排したハイスピード・チャイコフスキーであり昨今の解釈例としては大変に珍しいと思うし、是非は分かれるだろう。
それと、このチャイ4は器楽配置が特異である。Vnの古楽配列(両翼配置ともいわれている、1Vnが左翼、2Vnが右翼)は割と一般的だが、VcとVaを真ん中に挟みCbが通常の右ではなく中央奥に陣取る、その前恐らくその直前の雛壇にHr、その左右にTpとTb、Tubaが並ぶ。木管隊の位置ははっきりしないが弦と金管の間に疎らに座っているのではないか。そしてティンパニは極端な右翼、その他のパーカッションが左翼最後段に陣取るという、シンメトリーを意識したと思われる配置である。ストコフスキー配置の「左高右低」の黄金バランスに馴れた耳には新鮮であり、却って落ち着けない人もいるかも知れない。
(録音評)
米国HARMONIA MUNDIレーベル、2004年12月13、14日の収録とある。同じ内容でSACDハイブリッドも併売されているようだ。
このCDの音質的特徴は金管楽器のビーム照射にある。楽器の位置が精密に定位し、またベルの向きまでも分かるような鮮明な音録りである。反面、弦には艶が一切無く、どちらかというとデッドな環境で取られていると思う。DGの高演色で艶々な弦を聴き慣れているためか実に素っ気のないVnである。しかし、よくよく考えると現物の弦楽隊の音色とはこの様な実に地味なものであることの方が多いかも知れない。
重層的に奥へと展開するステージに金管楽器がズラリと並びチャイ4のモチーフであるファンファーレを突き抜けるようなハイテンポで吹き鳴らして行く。その爽快感たるや他に類例がないほどだ。弦は過度な輝きこそないが正確で軽やかに高速テンポで旋律をトレースしていく。
金管に弦や木管がマスクされがち、またティンパニが痩せ気味に響いたり、高音金管がピーキーに歪んだりと、割と再生は難しいかも知れない。CDPには基本的に色付けのない空間再現能力の高い機種を選びたいもの。
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