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2006年07月21日10:28

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【音楽】読響カリニャーニ@サントリー

カリニャーニを聴くのも昨晩で3回目になった。

第451回定演 7月20日(木) 午後7時開演 サントリーホール(赤坂)

指揮:パオロ・カリニャーニ
ソプラノ=半田美和子

■ウェーベルン:夏風の中で
■ベルク:〈ルル〉組曲
■シェーンベルク:管弦楽のための5つの小品
■モーツァルト:交響曲第40番

ウェーベルンは叙情豊かで情景描写が目に見える様が良かった。確かに夏風なんだな、これが・・・(^_^)(^_^)。

ベルク、シェーンベルクははっきり言って良く分からない。曲自体でいうとベルクの方は辛うじて旋律を留めていてロマン派最終期の雰囲気はある。しかしバルトークよりは更に後期の気配。ただ、半田美和子のコロラテューラ・ソプラノは声量、音程の安定感ともに素晴らしかった。恐らく旋律としてはとんでもなく無謀なものだと想像した。それを事も無げに謳い切った。席が1階8列35番という事でソリストがカリニャーニに良く遮られる場所だったのが残念。それでもビームが容赦なく耳に届いていた。

休憩を挟んでのシェーンベルクに至っては無調性、無旋律なので楽器の音そのものと楽音が重なるテクスチャ及びその推移を純粋に味わうことぐらいしか出来ず、これでもいわゆる音楽なのかも知れないが、世間で言うところの「曲」の体を成していない。終わりも良く分からず、何となく気まずい沈黙の後にパラパラと拍手(^^ゞ

最後は何故か脈絡無く(というか、Mozart yearだからだろうけど)一気に古典派へ逆戻りし、ステージ上では楽器が減って寂しくなった器楽編成でモーツァルト40番。これまでの現代曲プログラムは、この名曲を優雅に甘美に聞かせるための捨て石だったのか? と思わせるくらいカリニャーニの芸風が変わった。やっぱ、この人は歌劇場の指揮者なのだ。

一楽章冒頭、ファーストバトンを入れるやいなや、彼は腕をだらんと下げて指揮台の上を所狭しと踊り回った。いやはや・・、ん?、でもその効果は絶大で、この40番という耽美にして壮麗なシンフォニーに更に劇場チックな味付けを加えていく。オーバーアクションがオケに乗り移ったかの如く過剰なほどのデュナーミクが加えられていて、これは楽譜表記上の強弱符号の数を超える微細なコントロールだ。

しかし、今までのカリニャーニのようにアゴーギク(ルバート、アチェレランドなど時間軸方向の揺らぎ)は極端に排除したリードは意外であった。そしてテンポは全体的にやや速めで、一定速度で駆け抜けて行った。

三楽章のメヌエットは割とあっさり淡泊にやり過ごした感があり、4楽章アレグロ・アッサイは再びデュナーミクの嵐で突き抜けたが、これも前楽章との対比が効いているためだろう。

全体を通じて、カリニャーニ・シリーズにおける読響は美音であった。この40番もまさに美音であり、デュナーミクの効いた軽く弾むような速いパッセージにはパリ管やストラスブールの楽想を想起させられた。

(音質評)
サントリーホールは今年で落成20周年を迎えた。しかしここのところ音質傾向が開館当初とは随分と変わって聞こえる。落ち着いたと言うべきかデッドな響きになったというか・・・。

永田音響設計が手がけたクラシック専用の大型現代ホールは首都圏では池袋芸劇、みなとみらい、ミューザ川崎、墨田トリフォニー、そしてここサントリーと、5つのホールを数える(ミューザは未聴、またNHK技研が戦後設計した東京文化は最近になって永田が改修を担当、これも未聴)。

尚、満席時の残響時間はどのホールでも極端な差異はなく現代ロマン的ホールに分類できる。特にみなとみらい、芸劇、サントリーの満席残響時間は共に2.1秒であり特性上の違いはない。墨トリはちょっと短く1.8秒で近代調と言える(他のホールは情報無し)。

それらを色々な客席で聴き比べるに、明るさという点においては墨トリと芸劇が突出して高照度、みなとみらいは中庸、サントリーは当初とは打って変わって暗い印象だ。

ヒューミッド加減では芸劇は乾燥傾向、墨トリとみなとみらいは中庸、サントリーは湿潤傾向である。

楽器の太さという点においては、みなとみらいが図太く実体的、芸劇は中庸で明晰、墨トリは若干細身だが透明、サントリーはかなり細く、独特の高雅な薫りがすると言える。

この様に見ていくと、サントリーは、暗めでしっとり湿潤な空間に楽器が細く浮き出るタイプのホールであると言えると思う。大規模編成の近世作品(マーラー、ブルックナー等)よりはモーツァルトやシューベルト、ベートーヴェン等の中編成曲をしっとり聴くには適しているような気がする。

逆に、芸劇やみなとみらいの方が豪放磊落な傾向のため、前回プロであった幻想などは適している気がする。
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