思い起こせばこのアルバムが昨年末頃からMusicArenaの論評が滞留する原因だったのだ。というのも、このデゼールのアルバムは10月初旬にリリースされて私宛にHMVから早々にデリバリーされる予定だったのである。しかし、この一枚が数十枚のオーダーに紛れていたために到着が度々延伸され、結果、年明けまでベタ遅れとなってしまったといういわくがついた。しかし、待っただけのことはあって期待を裏切らない、いや、もうこれ以上を望むべくもない素晴らしい音楽が手に入ったのだ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3925285
Abendmusik
Robert Schumann: Bunte Blätter, Op.99
Clara Schumann: Variations sur un thème de Robert Schumann, Op.20
Johannes Brahms: Variations on a theme by Schumann in F sharp minor, Op.9
Claire Désert (piano)
・シューマン:色とりどりの小品Op.99
・クララ・シューマン:ロベルト・シューマンの主題による変奏曲Op.20
・ブラームス:シューマンの主題による変奏曲 Op.9
クレール・デゼール(ピアノ)
このアルバムのタイトルはAbendmusikとなっており、ジャケット表面には作曲家の名前は小さくクレジットされているだけである。その理由は、ロベルト・シューマンのコンピレーション作品集であるBunte Blätter(邦題=色とりどりの小品)を先頭に置きつつも、その中に含まれるある一曲の主題をクララ・ヴィーク(シューマンの妻=クララ)とヨハネス・ブラームスが変奏曲として膨らませて書き下ろした作品がこのアルバムのテーマであるからだ。つまり、シューマンだけではなくてその時代の著名作家の足跡を紹介するという意図があったということ。
シューマンとクララの夫婦関係は言うに及ばず、ブラームスとロベルト、そしてクララとブラームスの関係は親密にして濃厚であったと言われている。クララとブラームスは、ロベルトが精神を病んで自己の見境がつかなくなった後に特定の親密関係に陥ったと噂されるほど仲が良かったとされるが、その特定関係を証明する物証は一切残されていない。現在のところそれは当時からのスキャンダル好きな人々が囃し立てた一種のロマンス信仰だったと言う説が有力だ。
そんなつまらない噂を払拭するに値する一角をこのアルバムで担っている。シューマンのOp.99は以下の小曲から構成されている。アルバムタイトルは第12曲目である。
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