前にも述べた通り、MusicArenaの更新が追いついておらず、その間にグラミー賞も発表となってしまった。時を逸した感があるが、昨年度のGrammy Awards Best Classical AlbumのウィナーをとったSACDハイブリッドだ。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3875019
Verdi: Requiem
Barbara Frittoli (soprano), Olga Borodina (mezzo),
Mario Zeffiri (tenor), Ildar Abdrazakov (bass)
Chicago Symphony Chorus & Orchestra, Riccardo Muti(Cond)
・ヴェルディ:レクィエム
バルバラ・フリットリ(ソプラノ)
オリガ・ボロディナ(メゾ・ソプラノ)
マリオ・ゼッフィリ(テノール)
イリダール・アブドラザーコフ(バス)
シカゴ交響合唱団(合唱指揮:デュアイン・ウルフ)
シカゴ交響楽団
リッカルド・ムーティ(指揮)
余りにベタであるが、ムーティのベルレクは燻し銀の素晴らしさである。但し超絶的または求道的なキリキリのチューニングを施した演奏ではなく、どちらかというと一般に受け入れやすいゴージャスでメロゥ、そしてツボの押さえどころを熟知した老獪な解釈である。
ディエス・イレの出来映えはまずまずの盛り上がりであるが、特筆すべきはCSOの精密機械のような演奏で、そこかしこでソリッドでハイスピードな瞬発力を爆発させ、困難で複雑なテクスチャを事も無げに楽々と構築していくのだ。CSOの新しいボスであるムーティの真骨頂であるメロディアスでダイナミックなロマン派ど真ん中の芸風はCSOとはちょっと合わないかも知れないという危惧は杞憂であったようだ。優れたオケはやはり指揮者の曲想やスタイルに対してトランスペアレントなのだ。
二枚目のアニュス・デイとリベラ・メは予測に反して温度感が低い、比較的落ち着いた展開で、この辺がムーティの加齢を感じる辺りなのかも知れないが、決して悪い解釈ではなく寧ろ精神構造的な成熟、或いはヴェルディの原曲研究の賜なのかもしれない。静かで耽美的な幕引きもこれはこれで趣があると見た。
これを書く前に答えが出てしまっているので今更感はあるのであるが、確かにグラミー・ウィナーを獲得する資格のある数少ない優れた録音のうちの一つではある。
(録音評)
CSO Resoundレーベル、CSOR9011008、SACDハイブリッド2枚組。録音は2009年1月15,16,17日、CSOの本拠地シンフォニーセンターのオーケストラ・ホール。プロデューサーはクリストファー・オルダー、エンジニアはクリストファー・ウィリスとある。
音質自体は優れているが、透徹されたシンフォニー・センターの音ではなくちょっと雑駁な感じが拭えないライブ収録だ。本来はもうちょっと透明度が高くてもよいホールではある。しかし、楽音自体の優秀性およびCSOのいつものパワフルなサウンドはちゃんと捉えていてその辺は抜かりはない。特にブラスセクションが放射するエナジー/音圧、ディエス・イレにおけるグランカッサの咆哮は昨今のベルレク録音の中でもかなり優秀でリアルなものだ。出来れば空気感がより強く漂うSACDレイヤーで聴いて欲しい盤である。
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