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2010年11月18日18:04

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【音楽】Franck: Sonata for Vn & Pf Etc@Mariko Senju,Kazuoki Fujii

今年初めのEMIの新譜で、出たことは知っていたが買わずに来た。千住は、ここに収録されているフランクのVnソナタに関しては、NHKのクラシックミステリー「名曲探偵アマデウス」というテレビ番組にPfの藤井一興と一緒に出演してコメントをしていたのを思い出し、聴いてみようという気になった。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3712648

・フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
・フォーレ:ヴァイオリン・ソナタ第1番イ長調Op.13
・モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第28番 ホ短調 K.304(300c)
・サムワン・トゥ・ウォッチ・オーヴァー・ミー(野村不動産『プラウド』TVCM曲)

 千住真理子(ヴァイオリン)
 藤井一興(ピアノ:フランク、フォーレ、モーツァルト)
 山洞智(ピアノ:サムワン〜)

千住真理子のVnは、飛び切り巧いわけではなく、そして世界で活躍する一線級のソリストたちと比肩できるほどの高い実力があるとも思っていない。しかし、その辺のお嬢様ソリストやタレント・ビジュアル系のソリストとは一線を画していて、いわゆる職業ヴァイオリニストとしてはそれ相応の立ち位置とプレゼンスを占めており、そしてなによりひたむきで真面目、奇を衒わない誠実で実直な演奏が身上なのだ。また、年齢的に近いこともあって幼い頃から個人的にはずっと応援してきているソリストの一人だ。

このフランクだが、余り期待してはならない。さりとて全くの愚作ということではなくちゃんと筋の通った佳作と言える。なにが残念なのかというと華やかで胸踊るようなワクワク感が足りない。生真面目に譜面をトレースしていくのはいつのも千住の手法だが、この曲はそれだけではつまらないのだ。とくに一楽章のテンションが低くて危うい雰囲気が漂う。しかし、3楽章の中盤からポップさが出てきて、Pfとの絡み方も有機的になり、フィナーレはそれなりに情感的に熱く、そしてお洒落な雰囲気の中で閉じられる。

モーツァルトのこの小品は良い。テーマ的には悲しくて作者の慟哭が聞こえるような旋律と和声なのだが千住は完全にモーツァルトになりきって弾いているようだ。そして、フォーレの出来映えは素晴らしい。千住はフランクよりもこちらの曲への把握力・支配力の方が強いようで、この何とも言えないフォーレ独特の浮遊する、そしていかにも茫洋とした色彩感、世界観を巧みに表現しているのだ。

ピアノの藤井一興は破綻のないおとなしいPfを弾く人物だが、フランクの方はもうちょっと頑張って絡んで欲しかった。あとは特段の癖もなく千住を巧くサポートしていると言えよう。国内の単発Vnソナタアルバムは珍しいジャンルと思うが、このチャレンジャブルな内容に喝采を送る。

(録音評)
EMI TOCE56267、通常CD+DVD。録音は2009年11月(フランク、フォーレ、モーツァルト)、2009年9月(サムワン〜)、場所は草津音楽の森国際コンサートホール (フランク、フォーレ、モーツァルト)、サウンドシティ・スタジオ(サムワン〜)とある。音質はそこそこのもので特段の高音質盤とは言えないが安心できるカマボコ型の帯域に仕上がっており、背伸びしない潔さはある。どちらかというと携帯メモリプレーヤー向けの調音、音場展開なのかもしれない。


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