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2006年06月12日10:50

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【音楽】読売日響 3

休憩を挟んで英雄の生涯だ。ピアノが取り払われて指揮者がよく見える。今回は一階席前列から8列目と言うことで指揮台がよく見える位置だったのだが前半はピアノの蓋で隠れてよく見えなかった。金聖響の指揮は結構派手だ。タクトの振り下ろしはストレートで振り上げがゆっくりというのが普通のパターンとすれば、彼は逆の癖があり振り上げが急峻である。佐々木小次郎のツバメ返しといったところか? いや、松平健の暴れん坊将軍と言った方が分かりやすいかな? それで中高年婦人から人気がある・・・、という訳じゃないだろうけど(^^ゞ

この曲はRシュトラウスの作品の中でもとりわけ壮麗で大規模なものだが、最後まで緊張感を持続しつつそのパノラマ的音絵図を心底楽しめる演奏はなかなかないのが実情だろう。

加速感が心地良い英雄の生涯だった。この作品は随所に仕掛けが仕込まれている最大構成のオーケストラ曲だがコンマスの甘美なVnソロ、木管隊がピーチクとさえずり合うダイアログ、Tp三本が控え室から吹き出すファンファーレ、それに続いて大砲を描いたものとされるグランカッサの咆哮、Tbやチューバのストレートビームと聴衆を飽きさせることのない絵巻物が眼前に展開する。

ウチにあるCDで言えばBPO/ラトルの完璧な技巧には及ばないものの、前述の独特の加速感が素晴らしく、次から次へと繰り出される特異な旋律と協/不協和音を上手に繋ぎ止めながら織り込んでいくという金聖響のリードは巧みだった。この加速感は何なんだ? 恐らく後拍型のツバメ返しが何らかの効果に寄与しているのだろう。マラ1以来久しぶりに芸劇で味わう、ステージから奏者がこぼれ落ちそうな位の読売日響最大構成のド迫力全開といったところ。このダイナミックレンジを家庭用音響機器で再現することは不可能だ。

軽い脱力感を伴う大きな満足を得てロング・エスカレータに乗り、夕刻にかかる池袋の町へと出ていった。

(了)
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