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2010年05月17日00:28

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【音楽】Ginastera: Popol Vuh,Cantata para América Mágica@Asbury/WDR

NEOSレーベルの新譜でアルベルト・ヒナステラの現代音楽作品を収めた秀作SACDハイブリッド。演奏はステファン・アスバリー指揮、WDR(ケルン放送交響楽団)。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3734602

Ginastera:
 Popol Vuh - The Creation of the Mayan World, Op. 44
 Cantata para América Mágica

Rayanne Dupuis (soprano), Schlagzeugensemble der Musikhochschule Köln, Bugallo-Williams Piano Duo, Ensemble S
WDR Symphony Orchestra Cologne, Stefan Asbury

ヒナステラ:
・『ポポル・ヴー』〜マヤの世界創造 (1975-83)
・『魔術的アメリカに寄せるカンタータ』〜ドラマティック・ソプラノ、打楽器オーケストラのための (1960)
 ライアンヌ・デュプワ(ソプラノ)
 ブガロ=ウィリアムズ・ピアノ・デュオ
 アンサンブルS
 ケルン音楽大学打楽器アンサンブル
 ケルン放送交響楽団
 ステファン・アスバリー(指揮)

現代音楽は不協和音やら突発的な異音やらで難解かつ不愉快、という向きは多いだろう。このヒナステラという人のこの作品集はそういった点においては最右翼で、まさに不愉快サウンドの極致かも知れない。

しかし、何度も聴き込むとその前衛性とあっと驚愕する様な戦慄展開、いや戦慄の走るメロディーライン(?)、異様な和声、リトミック、さざめく微分音たちが魔術の様な音世界を構築していることに気が付く。パッと聴いた印象ではサスペンスドラマやSF映画、ホラー映画の背景音楽、いや背景効果音そのものではないだろうかと思わせられるドラマティックな音楽(=否、音と言った方がよいかも知れない)が眼前に拡がるのだ。

以前から何度も言っている様に現代音楽に関しては余り多くを語ることは出来ないが、これらはちょっと違っていて、現代社会全体が内包する多様性と複雑性、面倒な各種の関係性、決して解決できない無限連鎖のエニグマを見え透く様な写実性で抉りだしている様に思われるのだ。デジャブとはよく言ったもので、ある特定パッセージを聴いた瞬間に過去のある時点で自身に発生した事象、即ち厄災・達成・失望・希望・畏れ・安息・憂い・・・など、色んな情景が次々と脳裏をフラッシュバックで襲う様になるのだ。

WDRの巧さというか、現代オーケストラの音表現能力の幅広さ=ダイナミックレンジといったら並大抵でないことが示されている一枚でもある。音と情感が調和する精妙な古典派/ロマン派作品たちだけではなく、こういった前衛作品における爆発力、破壊力をも自在に出し分けるオケという存在はやはり人類が生み出した最高の音表現システムなんだろうと思う。

これ以上文字で語ることは無意味と思われ、是非是非これは実際に耳にして欲しいと思う作品なのだ。

(録音評)
NEOSレーベル、NEOS10918、SACDハイブリッド。録音は、ポポル・ヴーの方は2007年5月9日、Musikhochschule Köln、魔術的アメリカに寄せるカンタータの方は2007年6月9日、Kölner Philharmonie、PCM 24bit/48kHzからDSDへのコンバートを経てのマスタリングとある。

音質は恐ろしく良く、恐らく現代の数ある録音の中でもその優秀性はどのファクターをとってみても比類なき最高峰。緻密でありながらダイナミック、そして見え透く様な広大なサウンドステージに展開される目眩く実在性のある音場世界は普通の高音質ディスクたちとはちょっと違っていて異様なほどリアル世界だ。CDレイヤーも非常に優秀な音質だがこれは是非SACDで聴いて欲しい。


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