このところ嵌っているBR Klassikの昨秋の新譜から、バーンスタイン作曲の歌劇「タヒチの騒動」全曲とシンフォニック・ダンスという曲を収めたアルバム。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3670860
バーンスタイン:
・『ウェスト・サイド物語』からのシンフォニック・ダンス
・歌劇『タヒチの騒動』全曲
キム・クリスウェル(メゾ・ソプラノ)
ロッド・ギルフリー(バリトン)
マルティーネ・グリムソン(ソプラノ)
エードリアン・ドゥワイヤー(テノール)
ローナン・コレット(バリトン)
ミュンヘン放送管弦楽団
ウルフ・シルマー(指揮)
レニー(=バーンスタインの愛称)は指揮者としての名声は勿論、12音的な現代作品、また歌劇や戯曲風作品、初期のミュージカル曲などの作曲家としても有名だが、私自身は食指が動いていなくて(現在も・・)、殆どの作品は聴いたことがない。バーンスタインは米国東海岸のマサチューセッツで生を受けたユダヤ系で、確かな米国の香り溢れる音楽家だった。ガーシュインの指揮・ピアノ演奏は白眉とされ(=個人的にはバタ臭いと思っているのであるが)、いまでもラプソディー〜、パリ〜 などはスタンダード演奏として名声を確たるものとしている風だ。
そのレニーの手になる作品群だが、やはりビッグバンドジャズの範疇にぴたりと収まる格好のゴージャスかつ厚みある音作りは独特で、音階や和声などが云々、と論評するのが莫迦らしくなるくらいの底抜けに楽しく浮き浮きとした作品なのだ。東海岸出身のレニーは若かりし頃は様々な土地を点々としたらしいがやはり大西洋の寒風吹きすさぶあの地域の出身らしくて、曲のなかで使われるコード展開にはくすんだ鈍色の雰囲気と、そして当時から隆盛を極めていたであろうマンハッタンの喧騒および華美なサクセス臭が漂っているのである。
ウェスト・サイド物語〜 は言うに及ばないくらい有名な曲で。ここでは中堅・気鋭(変な言い方か?)のウルフ・シルマーがスリムな筋肉質であるミュンヘンROをこれまでか、と言うほどにドライブして鳴らしきっている。タヒチの騒動は変な曲だが、何とも言えないダルで頽廃ムードが独特の作品。これに至るともうクラシックとは言えないであろうが、純正フルオケで鳴らされる古典ジャズは清潔感があって心地良いものだ。重箱の隅を余り突かずに肩の力を抜いて軽く聴きたい好アルバム。
(録音評)
Br Klassik、403571900300、通常CD。これまた普通のCD-DAにして優れた録音だ。ビッグバンドジャズの録音は荒れたオンマイクでどれもが楽器をデフォルメしていて不満だ・・、という人には打って付けのゴージャス・アルバム。音楽的な完成度はもとより、変な調音に走らない端正な正攻法録音は厚塗り系変態録音とのレベル差を明瞭に示してくれる好例と言えよう。オフ会には必携のアイテムと見た。
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シルマー&ミュンヘン放送管、クリスウェル、R.ギルフリー(2008 ステレオ)
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