随分前(2004年)にハルモニア・ムンディから出ていたCDで、イザベル・ファウストが弾くドヴォルザークVnコンから。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1807205
・ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲 イ短調 Op.53
イザベル・ファウスト(Vn)
イルジー・ビエロフラーヴェク(指)プラハ・フィルハーモニア
・ドヴォルザーク:ピアノ三重奏曲 ヘ短調 Op.65
イザベル・ファウスト(Vn)
ジャン=ギアン・ケラス(Vc),アレクサンダー・メルニコフ(P)
というのは、先日取り上げたケラスの弾くドヴォルザークVcコンのアルバム
http://musicarena.exblog.jp/13418259/ の後段ドゥムキーにファウストが出ていて非常に好印象だったというのと、なんとよくよく見るとオケも指揮者も収録場所もPトリオのパーソネル(=ファウスト&ケラス&メルニコフ)も作家(=ドヴォルザーク)も同じということで、時間軸上は逆となるけれど「双子関係」にあるこちらのアルバムも買い揃えたというわけだ。
少年期のドヴォルザークは音楽作品的にはワーグナーに心酔していたようだが、成長して楽壇デビューした後、1878年に邂逅が実現したブラームスからの影響は計り知れないものがある。これについては旋律や和声、そして聴いただけの感覚でも窺い知れると言うことはスターバト・マーテル
http://musicarena.exblog.jp/10151628 の時にも書いたと思う。そういった中にあって書かれたこのVnコンは、老獪かつ壮大なことで知られるVcコンとは違ったある種の仄暗さと厳しさがある作品だ。そういった点においてはブラームスの作風と瓜二つであって旋律進行のさせ方まで似ている気がしてくるのは不思議なこと。
ここでのファウストはそれを知ってか知らないかは分からないが、とても厳しく作品に対峙している風であり極端に抑制された色彩感および飛翔感は、普段は熟練と大スケールの立ち居振舞いを見せるファウストとしては珍しい芸風だ。全楽章ともかなりストイックだが演奏や解釈自体が矮小化しているわけではなく、統制のとれたマルカート基調で潔癖な演奏なのだ。
後段のPトリオ3番もまた暗く陰鬱な曲ではあるが、これに激烈さとある種の熱気も加わった大規模な作品となっている。ファウストの老獪な弦捌きが炸裂し、そこにケラスの野太いVcサポート、フェザータッチの高速鍵盤・メルニコフも加わって、聴く側は息継ぎも出来ないほどの緊迫を強いられる超絶の三重奏が進行する。3楽章のPoco adagioが唯一息抜きできるゆったり目の展開で、この緩徐楽章では三者の美しく静かな和声をしんみりと堪能できる。
(録音評)
Harmonia Mundi HMC901833、通常CD。この録音も古くて2003年9月と12月とある。音質はこれまた典型的Harmonia Mundiで、前回のケラスのアルバムとほぼ同等クラスの透明度。場所はVnコンがプラハ・ルドルフィヌム、Pトリオ3番がテルデック・スタジオでの録音と、これもケラスの時と同じ。やはりテルデック・スタジオでの収録は高解像度であって滲みのない素晴らしい録音だ。
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