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2009年10月06日13:39

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【音楽】Paganini: 24 Caprices@Mayuko Kamio

RCA Read Seal(BMGジャパン)の夏の新譜で、神尾真由子の2枚目のアルバムから。尚、これは国内盤でDVD付き初回生産限定盤ということだ。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3568035

Disc1/CD
・ニコロ・パガニーニ:無伴奏ヴァイオリンのための24のカプリース(奇想曲)Op.1
 第1番ホ長調Op.1-1
 第2番変ロ短調Op.1-2
 第3番ホ短調Op.1-3
 第4番ハ短調Op.1-4
 第5番イ短調Op.1-5
 第6番ト短調Op.1-6
 第7番イ短調Op.1-7
 第8番変ホ長調Op.1-8
 第9番ホ長調Op.1-9
 第10番ト短調Op.1-10
 第11番ハ長調Op.1-11
 第12番変イ長調Op.1-12
 第13番変ロ長調Op.1-13「悪魔の笑い」
 第14番変ホ長調Op.1-14
 第15番ホ短調Op.1-15
 第16番ト短調Op.1-16
 第17番変ホ長調Op.1-17
 第18番ハ長調Op.1-18
 第19番変ホ長調Op.1-19
 第20番ニ長調Op.1-20
 第21番イ長調Op.1-21
 第22番へ長調Op.1-22
 第23番変ホ長調Op.1-23
 第24番イ短調Op.1-24

 神尾真由子(ヴァイオリン)

Disc2/DVD
・カプリース第13番「悪魔の笑い」&第24番(演奏風景)&メイキング映像
 片面1層/NTSC/カラー/16:9LB/日本語字幕付/リニアPCM/11:22

神尾は既に15年を超える職業ソリストととしてのキャリアを持つが、しかし妙齢23歳という若さだ。この若さで24のカプリース全曲録音とは快挙と言って良い。

24のカプリースは誰もが知っているパガニーニの代表作の一つ。呪術的な超絶技巧を誇ったというVnヴィルトゥオーゾ=パガニーニの野心的バイブルとも呼べる作品で、これを全曲通しで演奏することはリサイタルでも録音でもそう機会は多くないが、それは技巧的にも体力的にも困難だからだ。

この作品はパガニーニ自らの技巧を誇示するために書かれたとする説が濃厚だが、後のフランツ・リストはやはり自らのヴィルトゥオージティを誇示するためか、パガニーニによる大練習曲、また超絶技巧練習曲を書いていて、そのパガニーニへの傾倒ぶりと啓示の受け方は尋常ではなかった。それほどにパガニーニのテクニックと叙情的・扇情的な旋律には魔力があったと言うことだろう。リスト以外にも多くの作家が旋律を拝借して曲を書いているのを見ても、パガニーニのメロディ・メーカーとしての才能は測り知れないものがあったと言える。このカプリース週は全24曲であるが、リスト以外のピアノ作品で相当するものといえばショパンのOp.10とOp.25がそれにあたるかも知れない。この二つの練習曲集を足すとちょうど24曲となるし、様々な技巧を満遍なく網羅した点(勿論、VnとPfの違いこそあれ・・)で類似の小品集と言えなくもない。

さて、神尾のこれだが、素晴らしいのひとことだ。白眉は4番と13番、そして最終24番の神憑ったようなエネルギー集中はただ者ではない。神尾自身、DVD映像の中(=ライナーも同じ)で述べているが「パガニーニはより易しく聴こえるように演奏することが大切だ」そうで、確かに気持ちの高揚や緊張・集中といった厳しい雰囲気の中での録音ではあるけれど、どの部分もサラサラと気持ちよく流れていくのであって鈍重な響きや躊躇、苦悩などは微塵も聴かれない。全編を通してのダブルストップ、左手ピチカート、フラジオレットと超絶技巧の合わせ技オンパレードで、譜面を片手に多少分析的に聴くならまた別の楽しみがありそうだ。

(録音評)
RCA Read Seal(BMGジャパン)、BVCC40001-2、通常CD+DVD。録音は2009年2月19日〜22日、ニューヨークのAmerican Academy of Arts & Letters(中ホール)におけるセッション録りだ。このホールは極めて音が良く、神尾のタイトでドライなストラディヴァリがふくよかだったり透明だったりハードだったりと様々な表情を見せる。ひとえに残響の豊かさとその質の高さだろう。Philip Traugottプロデュース、Phoenix Audio LLCのTim Martynによるエンジニアリング http://www.phoenixaudiollc.com/ と、ソニーBMGの録音としては破格の高音質だ。

音色のクラリティ、音像定位のピンポイント性、鋭く透過的なビーム、豊かで消え入り端の美しい残響とどこをとっても完璧なVn録音だ。奏者の息遣いや床を踏み鳴らすノイズは殆ど拾っておらず、録音メディア作品としては極めて上質な仕上がりと言って良い。久し振りに完璧な録音を聴いた気がする。

実のところ、同梱のDVDの音声トラックの方が音質が格段に上であることはこの際言わないことにしよう。


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