去年の年末、六角橋ふれあい商店街(仲見世通り)の白楽寄りの二番目の角に出来た喫茶店で、茶房Chiffon(さぼうシフォン)というちっちゃな可愛らしいお店だ。よく前を通るものの、なんとなく入りそびれていたのだ。こちらは開店当初からランチセットをやっていてずっとそれが気になってはいた。キーマカレー・セット、サンドイッチ・セット、ビーフシチュー・セットと三種類あることは店頭に看板が出ていて知っていた。
今日は雨模様の午前中、家内が六角橋に用事があるというので現地で落ち合うことに。私が店に着いた時には家内はテーブル席の奥で文庫本を読んでいた。他に客はいない。店内は厨房が約半分の面積を占め、客席は4人掛けテーブルが二つ、計8席というミニマムな収容人員だ。Bill Evans TrioのWaltz for Debby(ヴィレッジ・ヴァンガードのライブ盤)がごく小音量で掛けられている。厨房カウンターの端にCDミニコンポがセットされていてそれから音が出ているらしかった。小音量でもScott LaFaroのウッドベースが明晰にゴリゴリと言うのでそこそこのクォリティのスピーカーと言えようか。
二人で頼んだのはキーマカレー・セット。待つこと暫し、サラダとカレー付け合わせの漬け物、いや和風ピクルスがサーブされた。サラダには山葵菜と季節柄か柿の実が小さく刻んで入れられていた。淡い甘みがサラダ全体の印象を柔和なものとしてくれる。和風ピクルスの皿にはらっきょうに胡瓜、キャベツ、茗荷などが盛られていた。いずれも丁寧な仕事が施してあった。
その後メインのキーマカレーがサーブされた。ドライカレー風にライスの中央に固めのカレーソースがトッピングされ、更にその中央には茹でた半卵が乗る。インドのキーマと言えばチキンなのであるが、これはどうも豚挽肉のようで甘みは強い。それ以外にはオニオンとピーマンの微塵切りが確認出来る。カレーソースの味は奇を衒ったものではなく、保守的なジャパニーズと言ってよく、インド風のスパイスは特に感じられなかった。錯覚かも知れないが八角の香りが僅かに感じられた。本来ならばカルダモンを強めに加えるとスパイシーでキーマらしい味が出るが、この優しいキーマも食べやすくてよろしい。
最後に珈琲がサーブされた。これは久し振りに美味しい珈琲で、今流行のジャーマン・ローストないしはフレンチ・ローストではなく浅炒りジャパニーズなのだ。店主の話しによると、珈琲の風味を最大限に生かすため少量ずつ生豆(きまめ)を自家焙煎して店で提供しているとのことだった。ブレンドとのことだが、高級アラビカ種=恐らくはジャマイカのハイマウンテン系の豆をベースとしたもので、酸味と苦みのバランスが絶妙、そしてビンテージ豆並みに強いグラス(青み)も芳しい秀逸な珈琲である。このクオリティの珈琲が通常価格=一杯400円で飲め、そしてキーマとセットとすると700円とは値打ちものだ。
珈琲を味わっていると、焼き上がったばかりだから・・、ということでシフォンケーキを小さく切ってサーブされた。ふんわりと優しい口触り、甘くはないのにほっくりとした旨味が口中に拡がる上品なシフォンだ。そういえば、この店の名前は茶房シフォン・・、そう、ここの女性店主はシフォンを焼くのが得意なのであろう。いや、カレーも珈琲も勿論お得意なのであろうが・・。
アダージェットの様にゆったりと流れる土曜午後の時間を久し振りに味わった。
茶房Chiffon(シフォン)
横浜市神奈川区六角橋1丁目7-1
TEL:045-423-6551
営業:9:00〜19:00
定休:水曜
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