夕べ、NHK教育テレビに回したらN響アワーでヌーブルジェがベトPコン1番を弾いていた。振っていたのは準・メルクル、収録は音の悪いNHKホールだった。やはりステージ映えするピアニストで、大胆かつ繊細な独特の高解像度ピアノ・サウンドはヌーブルジェならではだ。集中力が最後まで途切れないなかなか良い演奏だった。
ヌーブルジェといえば最近ではMIRAREの新譜
http://musicarena.exblog.jp/12351848/ に入っていたハンマー・クラヴィーアの演奏は出色だった。それで思い出したのだがハルモニア・ムンディUSAの新譜で辻井伸行のヴァン・クライバーンの音源を放置していたのを思い出した。ここにはコンペティション本番でのライブ演奏が集められていて、ハンマー・クラヴィーアがノーカットで入っている。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3627500
Chopin: Études Op.10:
No.1 in C Major
No.2 in A Minor
No.3 in E Major
No.4 in C-Sharp Minor
No.5 in G-Flat Major
No.6 in E-Flat Minor
Beethoven:
Sonata No.29 in B-Flat Major Op.106 "Hammerklavier":
1.Allegro
2.Scherzo
3.Adagio sostenuto
4.Largo - Allegro risoluto
Liszt: Paganini Étude No.3 - "La Campanella"
John Musto: Improvisation and Fugue
Nobuyuki Tsujii(Pf)
ハンマー・クラヴィーアとカンパネラは予選リサイタル、ショパンとマストはセミファイナルでのライブとのこと。ファイナルで何を弾いたかは知らないのだが・・。
ショパンはちょっと拙速で所々ミスタッチが目立つが剛健にして迷いのない鍵盤捌きは割と堂々としている。別れの曲(#3)はかなり破綻気味で内面の焦りが一気に表出したのであろう、とても残念な感じだ。しかし、日本人女流の一流どころと言われている人たちよりも巧いかも知れない。
ハンマークラビーアは多少単調なところもあるがこれまた集中力を高めて堂々とした演奏を展開している。ディテールの微細な描き込みに関してはまだまだ完成度は低く、これからリファインすべきパッセージはいっぱいある。しかし、あまり技巧に走ることなく真っ直ぐに、いま持っている解釈法を素直に全部出して体当たりしていると言う感じで好感は持てる。この際、ヌーブルジェのハンマー・クラヴィーアと比較するのは無粋と言うべきだろう(が、実際にはこの後に聴き比べてみたのだが・・)。
カンパネラは水準だったが、最後のマストの前衛作品は素晴らしい出来映えで、色彩感溢れる瑞々しいタッチに溜息がこぼれるほどだ。この人はひょっとしたら新ウィーン楽派やシュニトケ、タリク・オレガン、ペルトなどといった分野での方が才能を開花させられるかも知れないと思った。
(録音評)
HarmoniaMundi USA、HMU907505、通常CD。2009年6月7日、フォートワースのコンペティション会場にてライブ収録。このアルバムは完全な輸入盤ではあるが、キングインターナショナルが作った日本語混じり表記のカートンに収められて販売されており、そちらの番号はKHM997505(キングの番号?)となっている。
録音担当は名手Robian G.Young(Prod)、Brad Michel(Eng, Edit)とのクレジットがされているが、残念ながら普段のこのレーベルのセッション録音ほどのクォリティは達成されていない。また、カットごとの音質も著しく異なる。特にショパン・エチュードの収録は埃っぽい猥雑なものでよろしくない。ハンマー・クラヴィーアやカンパネラは水準と思うがちょっとオンマイク気味でスタインウェイがヤマハに聞こえてしまうほど太い音色だ。マストのトラックが最も音質的に整っていて、これならHarmoniaMundi USAの手によるものとすぐに分かる品質だ。という風にコンペティションの結果発表がされる前では元々リリースするかどうか分からない奏者の録音ということで仕方のないことなのかも知れない。
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