MIRAREの新譜で、注目の新星ヌーブルジェのハンマークラヴィーア他だ。サントリーライブ
http://musicarena.exblog.jp/10844078 は本当に鮮烈な印象を残してくれたし、LFJでの演奏もただならぬものであったという。さて、ベートーヴェンの出来映えはどうなんだろうか?
http://www.hmv.co.jp/product/detail/3618551
Beethoven - Piano Sonatas Nos. 19, 20 & 29
Beethoven:
Piano Sonata No. 29 in B-flat major, Op. 106 'Hammerklavier'
Piano Sonata No. 19 in G minor, Op. 49 No. 1
Piano Sonata No. 20 in G major, Op. 49 No. 2
Für Elise (Bagatelle in A minor, WoO59)
Jean-Frederic Neuburger (piano)
CD + bonus DVD Journey into the Hammerklavier.
Subtitles, Fr & Eng, Format: NTSC, Total time: 51'40
A documentary directed by Jean Frederic Neuburger and François-René Martin
ひとことで言うと素晴らしい。全てはそれに尽きる演奏であり、昨今のハンマークラヴィーアの中でも出色の出来と言って良いだろう。瑞々しく清冽で強く、そして時に非常に深く静謐な解釈であり、ベートーヴェンのピアノ曲演奏の一つの頂点と言っても褒めすぎではない出来映えだ。
ヌーブルジェの場合、超絶技巧だとかアクロバティックだとか打鍵が綺麗だとか、凡そそういったテクニカルな論点は既に超越している。各スケールや和声、フーガ、カノンやトレモロ、トリル、分散和音、シンコペーションなど個々の楽譜の要素に込められたベートーヴェンのメッセージを深く解釈して抉り出そうという姿勢は素晴らしいし、事実それが著しいパフォーマンスとなって発露している。
付属のDVDとライナーノーツに語られているヌーブルジェの解釈と各パッセージが持つ意味合いの解説を見ると彼の演奏の秘密が更に明らかになる。各楽章の主要なパートについて一つ一つ丁寧に解説を施している。DVDにはルネ・マルタン自らも登場していることからもこのアルバムに掛ける意欲が並々ならぬものであることが分かる。
このアルバムは文字で絶賛してもあまり意味を持たない。その真価を知るには実際にこれを聴いてみるほか方法はないだろう。
(録音評)
MIRARE MIR080、通常CD。録音は2008年9月、場所は例によってMIRAREお得意のLa Ferme de Villefavard(仏リムザン地方)だ。使用されたピアノはなんとヤマハのCFIIISで、ライナーにはYAMAHAの広告ページが一枚挿入されているところを見ると何らかの楽器提供サポートを願い出た節がある。木質系で洋風ノーブルな味わいのホールであるLa Ferme de Villefavardに響き渡る和風ヤマハ・サウンドはハッとさせられる霊妙な取り合わせである。ヌーブルジェにはスタインウェイかプレイエルしか似合わないと勝手に思い込んでいたのだが、どうしてヤマハサウンドもなかなか良い。
音質だが、通常なら拡散気味のLa Ferme de Villefavardとしては実像系の捉え方で定位はかなり明瞭、しかもただならぬ臨場感があって、ヌーブルジェの演奏する気配がはっきりと捉えられている。息遣いや上半身を捩る音、床から伝わる低周波のペダリング・ノイズなど極めて迫真的だ。
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