mixiユーザー(id:3696997)

2009年08月05日12:16

97 view

【音楽】Schubert: Sonata ‘Fantasy’ Op.78 D894 Etc.@Andreas Staier

ハルモニアムンディのこの春の新譜から、シューベルトの幻想ソナタと4つの即興曲。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3545267

Franz Schubert:
Sonata 'Fantasy' op.78 D894
Four Impromptus op.posth.142 D935

Forte Piano: Andreas Staier

このCDはフォルテピアノによる演奏で、弾くのはムジクヮ・アンティクア・ケルンなどで永らくチェンバロを担当してきたアンドレアス・シュタイアーだ。

幻想ソナタはシューベルトが死の2年前に書いたとされる循環形式のソナタであり、何度も聴いてみたがやはりシューベルトが追求してきた高純度の和声と非常に綺麗な旋律が特徴であり、しかもその完成度は非常に高いものがある。勇壮に漲るようなエネルギー感はかなり後退しているものの静謐でゆったりとした歩の進み具合は晩年のシューベルトの心象が射影されているような気がする。

遺作であるインプロンプトゥ(即興曲)はどれもが著名な小品だが、これは4つの楽章からなる大規模ソナタそのものと言って良い。第三曲は有名なカルテット13番「ロザムンデ」1楽章をそのまま主題とした変奏曲である。前出の幻想ソナタよりは自由奔放な和声展開だが、やはりそこはシューベルトの作品の特徴である調和の取れた和声と旋律がロジカルに展開されるのだ。

このところ、バッハ作品を現代ピアノで弾くことの意義と功罪をずっと考えてきたが、実はシューベルトのピアノ独奏曲を現代ピアノではなくフォルテピアノで弾くというところに意外な結論が潜んでいたように思う。そう、ベートーヴェンやモーツァルト以降、ロマン派の時代の作家達が生前弾いていた鍵盤楽器=クラヴィーアはほぼ例外なくハンマー・クラヴィーア=フォルテピアノであり、作曲当時を偲びつつ聴くならピリオド・アプローチが最もしっくり来るのだ。バッハまでの作品はチェンバロで、それ以降はフォルテピアノで、そしてポストモダン〜現代作家の作品はモダンピアノで、という規範が成り立つのだろう。勿論聴き方を型に嵌めるつもりは毛頭ないが・・・。

閑話休題、この二つの作品をフォルテピアノで弾くことで得られるプレゼンスは大きい。フォルテピアノはアクション機構が脆弱な上に弦が細く、従って音量は小さくレンジも狭いのだ。特に顕著なのは低域弦の弱さで、現代ピアノで普通に得られる低域は全然出ないのだ。反面、中高域のまろやかで柔らかな質感は真綿にくるまれたような快感がある。シューベルト最晩年のこれらの作品はまさにフォルテピアノで弾くことを想定して書かれたしっとりした優美な曲達なのだ。これらを世の通例に従って現代ピアノでガチャガチャ弾くと曲想がまるで変わってしまう。ソリッドでメタリックな音の質感はこれらの作品には邪魔なだけだ。ということで、このCDはただ単に美しく優しい演奏というだけではなく、時代考証的にも現在考え得る最善の復刻を果たしているという点で価値が高い。

(録音評)
Harmonia Mundi、HMC902021、通常CD。使用されている楽器は1827年製コンラート・グラーフという名器のレプリカだそうだ。去年、テルデックス・スタジオでの録音とある。このCDはホンキートンク・ピアノのような柔らかく短めの残響が特徴のフォルテピアノの弦を様々な方向から克明に記録している。音色に彩色や演色傾向は感じられず、また中央に位置するフォルテピアノの音像も中庸の大きさ、残響は過度なものではないが幾分入っている。なかなか大人びた音質だ。


よい音楽を聴いて下さい! blogランキングへのご協力依頼:
こちらに行って赤いリンクまたはアイコンをポチッ! ヨロシクです!!
 ↓
http://musicarena.exblog.jp/

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2009年08月>
日 月 火 水 木 金 土
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031