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2009年07月22日17:06

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【音楽】21st Century Cello Concertos@Jean Guihen Queyras Etc.

ハルモニア・ムンディの新譜から、21世紀の作家によるVcコンが三題で、ソロを弾くのは新進気鋭のケラス。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3572396

(1)B.マントヴァーニ:チェロとオーケストラのための協奏曲
(2)シェーラー:風の目(チェロとオーケストラのための協奏曲)
(3)アミ:チェロとオーケストラのための協奏曲

ジャン=ギアン・ケラス(チェロ)
(1)ギュンター・ヘルビヒ(指揮)、ザールブリュッケン放送交響楽団
(2)アレクサンダー・ブリジェ(指揮)、フランス国立放送フィル
(3)ジルベール・アミ(指揮)、パリ管弦楽団

録音:(1)2005年9月、(2)2008年5月、(3)2006年9月

ケラスと現代音楽、取り分けアンテルコンタンポラン時代にブーレーズから受けた影響と薫陶に付いてはHMVなどに書いてある通りだが、別段現代音楽だけではなく古典派からロマン派まで幅広いレパートリを持つ現代を代表する新進気鋭のチェリストだ。

B.マントヴァーニの作品は重苦しくも音の数が多い現代曲で、12音技法でもなければトーンクラスタでもなく、なんとも不思議な音楽だ。敢えて言うなら不協和音を幾重にも重ねてその間に刹那的な調和を表現しようとした様な重厚な音楽で、ダイナミックレンジは極めて広い。案外と短くてすぐに終わってしまう感じのシングルトラックだ。

シェーラーの風の目という作品は冒頭から変わっていて、ずっと無音かと思って聞き耳を立てたら、なんとピアニッシモで通奏されるグランカッサなどの極低音が微かに聞こえるのだ。音量を上げて聴き直すとなにやら心臓の鼓動のような、また遠くで鳴り響く不気味な雷鳴の様な感じだ。この曲はパウゼが多く、空白という音符を有音の空間に散在させることによりネガ・フィルムのように明暗逆の描き方をさせているような技法だ。どちらかというとトーンクラスタ技法に似た方法を部分的に使っている、静寂と余韻が印象的な複数楽章からなる作品。

ジルベール・アミの作品は武満徹へのオマージュであると書いてあるが、言われてみると外形は似ている気がする。しかし、それは12音技法と言うよりはジョン・ケージらの偶然音メソドロジーに近いものだろう。無調性ではあるがクラスタ的にはどこかに調性が存在する気がしてならない。それはアルバン・ベルクの後期作品のような旋法のフレーバーが感じられるからかも知れない。

いずれの作品もチェロ・コンチェルトと言うには無理のある作品形態だ。しかし、そう言った型枠に嵌めた聴き方は敢えてしない方が良いと思う。こういった作品は先入観を取り去った方が案外楽しめるのだと思う。

(録音評)
Harmonia Mundiフランス、HMC901973、通常CD。音質はどれも極めて良好。トラックごとにオケも録音場所も異なるため音質はそれぞれ異なる。しかしそれぞれに調音が綿密に行われていて極端な差異が聴き取れないよう工夫されている。最後のアミの作品の音場空間の透明度は驚くべきもので、ステージ間近で聴くライブの現代音楽を彷彿とさせられる。このCDはオーディオ的な快感がマキシマムに到達すると突然壁抜けする。


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